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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784006023027
みんなの感想まとめ
深い心理描写と人間関係の複雑さが織りなす物語が魅力の作品で、主人公グレイスの神秘的な美しさとその運命に引き込まれます。彼女は30年もの間投獄され、赦免された後も過去の影に苦しむ姿が描かれ、読者はその心...
感想・レビュー・書評
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「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている」
というニーチェの言葉を思い出した。
今でいうところの「多重人格障害」なのだろうか…。
グレイスという女性の魅力…それに尽きるのだろうか…結局のところ精神科医は何のために?
謎を解き明かす…どころか、彼女の魅力に次第に翻弄され、あらぬ妄想にかられ、しまいには不倫の沼へ。女性に詰め寄られることを避けて逃げ出し、南北戦争への従軍で記憶喪失に…それでもグレイスの面影を求めている…とは。。。
グレイス…
生真面目で信心深く美しい女性。
数奇な運命によって30年にわたって投獄され、やがて赦免。その先に待っていた人は…占い通りJの頭文字の人だったとは…。
実際に起こった殺人事件を元に書かれた小説。
その謎を解くミステリー仕立てのこの物語りは、心理描写に長けていて、ひっそりとではあるが確実に迫ってくる「その日」に焦点をあて、止まることなく人の心に潜むあらゆる感情を炙り出してゆく。
やたらとグロテスクであったり、突飛であったり、目立つことで気を引くサスペンスとは違い、本当の深淵は人間の精神であることを教えてくれる。
静かにゆっくりとその深みにおりてゆく…
巧みな性格の描写が不安感をあおる。
まさに、「本物」といえる作品だと思う。
上質な作品を味わった後はどこか清々しい気持ちが湧いてきて、やっぱり凄腕の作家とは、素晴らしいな…との想いを再確認した。
情報過多の現代にあって、南北戦争前後のこの時代の生活様式や、自然の描写は、ドロドロとした人間関係の中で、一服の清涼剤だった。
視覚化されるとどうなるのか?
興味があるのでNetflixでの映像も観てみようと思う。
追記。
映像化された作品も素晴らしかった。
グレイスの謎めいた美しさと素朴な美しさに溢れる情景と、時代の生活様式が世界観に深みを与えたと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
催眠術でグレイスから真相を聞き出すことになり、いよいよ佳境へ。しかし彼女の口から出た言葉は・・・。ここで起こったこと自体は予想の範囲内だったけれど、ではそれが憑依なのか多重人格なのかそれともグレイスの狡猾な芝居なのかとなると見分けはつかない。まあグレイス自身が得をする話ではないので芝居の線はないのかもしれないけれど。
ただ実体がどうであれ「グレイスの中のメアリー」がそれを行ったというなら、やはり罪を償うべきはグレイスだと個人的には思うのだけれど、たしか海外では多重人格者の別人格が犯罪をおかした場合当人は罪に問われないという例は聞いたことがある気がする。ひとつ矛盾を感じるとしたら、メアリーは確かに気は強かったけど嫉妬で人を殺すような残忍な娘じゃなかったよね?という点かな。
いずれにしても、どこからが嘘で、何が真実か、誰にも見極めることはできないまま。グレイスがサイモン医師に語った内容も彼に「受けそうな」内容をあえて創作したのかもしれないし、疑い出せばそもそもグレイスの生い立ちからして証明する家族は誰も出廷しておらず自己申告のみ、名前も過去も嘘ではないと断言できないし、メアリーの墓石はあるけれど、それが本当にグレイスの語ったメアリー本人だということも証明できる人間はいない。
ジェローム・デュポン博士がジェレマイアだというのもグレイスの妄想かもしれないし、そもそも行商人自体はどこの屋敷にも来ただろうけど、そのすべてがジェレマイアだったかどうかも怪しい。とはいえ行商人のジェレマイアは、スナフキンみがあって好きだったし、彼が本当に名前を変え仕事を変えひょうひょうと生き続けているのならそのトリックスターぶりはとても好きだった。
りんごの皮むき占いで、イニシャルJの男性と結婚すると出たグレイスが、Jのイニシャルを持つ人間に過度に期待していたのかもしれない。共犯のジェイムズ、笛吹き少年ジェレミー、ジェームズ・サイモン医師、そしてジェレマイア。でも牢獄のことも英語では Jail とも言うし、人生の大半を監獄で過ごしたグレイスは監獄と結婚したと言えるのかもしれない。
裁縫が上手で、家事仕事をてきぱきこなすグレイスのことは個人的には嫌いではなかったのだけれど、しかしやはり殺されたナンシーの服を平然と着て法廷に立つ感覚には、やはりゾッとするものを感じた。終盤、彼女の赦免のために奔走してくれた親切な娘さんに対しての、とても優しいけれど美人ではないという内容の述懐などにも、なにか致命的な欠落のようなものを感じて、二重人格だろうがなんだろうが、それを生み出したのは彼女自身だし、結局グレイスはやはり「女殺人犯」だと思った。
それにしてもサイモン医師の使えなさっぷりときたら酷い(彼とその周辺だけが架空の人物だけど)。グレイスからではなく、家主の人妻から、どうせ逃げるならもっと早い段階で逃げ出すべきだったね。冷静に自己分析できるということと、その分析を自分の人生に生かすこととは別問題らしい。 -
サイモンとグレイスの入れ替え戦。
さすがです。 -
長かったが面白かった。女性であること、下層であることがどれだけ悲しいことだったか。今でもか。
とはいえ、その女性に押し付けられた手仕事、家事の描写は美しかった。裁縫も料理もそこに楽しさはあったに違いないし、そう信じたい。洗濯や掃除もそこに入れていいだろうか。 -
面白かった。
ネットフリックスの動画は、かなり原作に忠実なんだなー。 -
いやー凄い。
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上下巻纏めて。
実際にあった事件をモチーフにした長編小説……というと、実録もののミステリを連想するが、本書は当時の社会情勢やジェンダー論に主眼を置いている(つまりパズル的〝真相はこうだった!〟的な〝結論〟は、本書の構造としては、無い)。
『侍女の物語』『オリクスとクレイク』辺りとはかなり雰囲気が違うので、最初は戸惑うが、こういうタイプの長編も面白いので、『昏き目の暗殺者』も文庫にならんかな〜などと……。
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マーガレット・アトウッドの作品
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