余白の春 金子文子

  • 岩波書店 (2019年2月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (398ページ) / ISBN・EAN: 9784006023041

作品紹介・あらすじ

「私は生を肯定する。……生を肯定するが故に、生を脅かそうとする一切の力に対して奮然と叛逆する。」 無籍者、虐待、貧困――過酷な境遇にあって、自らの生を全力で生きた金子文子(1903―26)。パートナーの朴烈と大逆罪に問われ、獄中で自殺するまでの23年の生涯を、裁判記録や取材を織り交ぜ描く、不朽の伝記小説。

みんなの感想まとめ

過酷な境遇を生き抜いた金子文子の生涯を描いたこの作品は、彼女の強い生命力と内面的な葛藤を通じて、深い感動を呼び起こします。文子は虐待や貧困に直面しながらも、心許せる人との出会いによって救われる瞬間もあ...

感想・レビュー・書評

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  •  自身の手記「何が私をこうさせたか」で金子文子がなぜ捕えられ、獄中死を遂げたのかわからずこの本を手に取ったが、手記と文章がそのまま引用されている前半は長く、文章も変に読みづらく、読んでも意味がないのではないかと訝った。瀬戸内氏が自ら文子ゆかりの地に赴き取材していることもあまり意味をなさないのではないかと思われたが、後半からは事件に関連する内容が多く、実際に人を殺めたり、テロを行った形跡もないことが不思議でならなかったが、ようやく大逆罪の内容を知ることができた。
     実際には1ミリも遂行できなかった叛逆の計画も本来は単なる妄想のレベルであったようにも思われる。だけどこの人の場合はそれ(死)以外の道は許さないというか、死への誘惑から逃れられない精神状態といえそうで、現代に生きていれば病名もつきそうなものだが、自死への道を性急に転がっていったようにも思われる。

     本人の手記による文子像は知的で理論的であったが、その早口なことや落ち着きのなさなさ、人の命令には従わない態度など、もう人とは縁を結んでいけない境地までおいやられていたのだろうと思う。これほどの不幸な生い立ちであればもう、本当に絶望的な生だったというしかないのかもしれない。より良く生きる術がなく、彼女の経験とその結果である彼女の思考回路は頭が抜群に良いというだけでは済まされない。次元が違っていた。良いとか悪いとかいう問題ではなく、書物の主張には心を砕いて読み込みもするが、生身の人間の意見には耳を貸すことのできない彼女の生であった。
     
     朴烈が鼻で笑って恩赦状を受け取ったとき、彼女の恋ももしかして終わったのかもしれない。いづれにしても、そこには死のみが彼女の求めるものであった。

     砂を嚙むような読後感。



     

  • 映画を観て金子文子に興味を持ったため読みました。
    辛い生い立ちの中で心許せる人がみつかって、それだけでも文子は救われたのかな。
    瀬戸内寂聴さんは初めてよみました。瀬戸内寂聴さんの普通の小説が読んでみたいな。

  • 金子文子は過剰な生命力故にこのような人生だったのか。恵まれたとは言えない生活環境故にこのような気性となったのか。圧倒される。

  •  瀬戸内静寂の本を初めて読んでみたが、さすがに女性を描く力、見る力は凄いと感じさせられた。金子文子の獄中手記「何が私をこうさせたか」の内容を現地踏査をふまえて掘り下げている。
    瀬戸内によると、文子自身は、小さい頃から貧乏に苦しめられたが、文子の母の実家は、それなりの裕福な家であったらしい。文子の手記の中に着物についての表現があったが、全くの貧乏の家では、このような着物を目にすることもないだろうと思われた。その通りであった。
    文子は家庭を破壊し尽くした父母について、辛辣な言葉を吐いている。完全な父、母との決別と読んだが、これは文子自身も気づいていないかもしれない父母への満たされることのない求愛だったとの瀬戸内の指摘は、なるほど、文子23歳でしかなかった。
    1人の人間として考えを完成させた、思想主義、権威によらず、そのほか何ものにもよらず、自分自身を生きるとした文子。故に最後は縊死せざるを得なかったことが、瀬戸内のこの本でより理解することができた。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000070313

  • ブレイディみかこの「両手にトカレフ」を読んで金子文子を知った。23歳で夭折するも、何と凝縮された人生だったことか。映画も見てみたいと思った。

  •  ブレイディみかこの「女たちのテロル」を読んで以来気になっていた金子文子の生涯について瀬戸内寂聴が書いた本。初版は昭和47年。ブレイディさんが先日のラジオ番組で、瀬戸内寂聴さんの功績として、「こういった大正時代の女性について小説を書き、それを流行作家として出版し多くの人に読まれたこと」と言っていたので読んでみた。
     「女たちのテロル」よりも、ルポルタージュっぽい。残されている詳細な裁判の調書と、寂聴さんが文子と朴烈にまつわる土地を訪ねて関わりのあった人に取材をすることで丁寧に書かれた本だった。
     文子の強烈な生き方に衝撃を受ける。彼女がその才能と生命力があって、今の時代ならどんな生き方をしたんだろうと思う。

  • 金子文子すごすぎる。天才。しかし惜しい人ほど夭折してしまうのだなぁ。わが身と比べてあまりの違いに愕然としてしまう。『女たちのテロル』でブレイディみかこは、文子のことを、朴烈との愛よりも自分の生き方を透徹した目で見ていたというような書き方をしていたと思うが、瀬戸内寂聴は「愛に生きた」文子という見方をしている。『女たちのテロル』よりこちらの方が詳しく文子の生きざまを描いているが、前者のような気がする。とはいえ、後者でないともいえない。どっちにしても、本当に恐れを知らないすごい人だ。今の時代でさえ類を見ないと思うのに、あの時代に自分の気持ちのままに生き、それを堂々と語る勇気と、あの若さで理路整然とした考えがつまっている頭の良さに感嘆するしかない。

  • 金子文子ノート:現にあるものをぶち壊すのが私の職業です
    http://blog.livedoor.jp/chokusuna0210/archives/52504477.html

  • 難しい。挫折。甘粕ってラストエンペラーの人だと思っていたら、満州に行く前人殺ししていたんだ!クソだな。関東大震災の時の朝鮮人はかわいそうだったな。

  • 著者:瀬戸内寂聴(1922-、徳島市、小説家)

  • 映画『金子文子と朴烈(パクヨル)』公式サイト
    http://www.fumiko-yeol.com/

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    「私は生を肯定する.……生を肯定するが故に,生を脅かそうとする一切の力に対して奮然と叛逆する.」 無籍者,虐待,貧困――過酷な境遇にあって,自らの生を全力で生きた金子文子(1903―26).パートナーの朴烈と大逆罪に問われ,獄中で自殺するまでの23年の生涯を,裁判記録や取材を織り交ぜ描く,不朽の伝記小説.
    https://www.iwanami.co.jp/book/b432938.html

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著者プロフィール

1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で女流文学賞、92年『花に問え』で谷崎純一郎賞、11年『風景』で泉鏡花賞を受賞。2006年、文化勲章を受章。2021年11月、逝去。

「2022年 『瀬戸内寂聴 初期自選エッセイ 美麗ケース入りセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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