この人から受け継ぐもの

  • 岩波書店 (2019年4月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784006023058

作品紹介・あらすじ

多彩な文学作品・戯曲と、社会に向けた積極的な発言を数多く遺した作家・井上ひさし。深く関心を寄せた人物をめぐる講演・評論を収める。吉野作造の憲法観、宮沢賢治の生き方、丸山眞男の戦争責任論、そしてチェーホフが追い求めた笑い……直截かつユーモラスな表現により、真摯な胸の内が率直に明かされる。(解説=柳広司)

みんなの感想まとめ

多彩な文学者や思想家をテーマにしたこの作品は、井上ひさしが尊敬する人物たちの思想や生き方を深く掘り下げています。吉野作造の「大正デモクラシー」や日本国憲法の正当性、宮沢賢治の環境問題への視点、丸山眞男...

感想・レビュー・書評

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  • 吉野作造、宮沢賢治、丸山眞男、チェーホフ、と井上ひさしが尊敬する思想家や作家について、彼の視点で想いを述べている。学校で習った歴史上の人物について、新たな位置付けを見いだせ、周辺の歴史も学ぶことができる。

    井上ひさしのように、事実に基づき自分の意見を持って主張できるようになりたいと思う。

  • 2021.2.14. 古書汽水社にて購入。単行本。

    吉野作造、宮沢賢治、丸山眞男に関する講演記録と、朝日新聞夕刊に連載されたチェーホフに関する投稿と、未完だが『図書』に連載された「笑いについて」というエッセイを纏めた一冊である。

    吉野作造に関する03年の講演記録では、「大正デモクラシー」思想の正当性や、日本国憲法が押し付けられたものではない事実を強調されている。

    宮沢賢治の章は、89年の講演記録。読者の幅が広く、世界的にもファンの多い賢治作品の魅力はどこにあるかを説明されている。さらに、賢治の生涯や思想から環境問題への繋がり(人間・動物・自然を同一視している)が述べられる。前章の吉野作造編の「憲法」に続き、「環境」も、現在の社会問題として存在する事で、その重要性に気付かされる。いまだに、スッキリと解決していないところが辛い。

    丸山眞男の章は01年の講演記録。戦争責任について述べられている。筆者によれば、丸山眞男は「やさしい態度を持って厳しい事を書く学者」だと言う。そのまま筆者の姿勢のようにも思う。筆者が手に入れた「箱根会談」の資料(連合国側と手を結ぼうとするソ連に対し、日本側に引き付けようとする思惑を持った、表立ってはいない会談)を元に、日本側の情報不足による認識の甘さが語られている。

    チェーホフの章では、彼の、苦しくても懸命に生きる人々にスポットを当て、笑劇を通して人間模様を描く一貫した姿勢が述べられている。チェーホフに関しては不勉強で、偉大な劇作家としてしか把握していない。「笑い」のフィルターを活用した作家だとは知らなかった。生活ぶりも、無料で診療したり、手出しで小学校を建設したりしている。大いに興味が生まれた。

    「笑いについて」は、イギリスの喜劇作家、ジョン・ウェルズ、哲学者アリストテレス、ルイ16世、ヴォードヴィル(アメリカではなくフランスのヴォードヴィル)作家のスクリーヴを取り上げて(他の登場人物も多数)、「笑いの正体」を考察しようと試みた一作。後半には、笑いを作る方法について述べられていると書かれているが、残念な事に未完の為、話はそこまで進まずに終わっている。しかし、笑いのポイントの解説は仔細にわたり読み応え十分だ。

  • 1 憲法は政府への命令―吉野作造を読み返す
    2 ユートピアを求めて―宮沢賢治の歩んだ道
    3 戦争責任ということ―丸山眞男に私淑して
    4 笑劇・喜劇という方法―私のチェーホフ
    5 笑いについて

    著者:井上ひさし(1934-2010、山形県川西町、小説家)

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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