アジアの孤児 (岩波現代文庫 文芸346)

  • 岩波書店 (2022年9月20日発売)
3.50
  • (0)
  • (4)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 110
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784006023461

作品紹介・あらすじ

植民地時代の台湾に生まれた胡太明は、中国文化をルーツに持ちながら、近代的な教育を受けて成長するが、故郷では日本人と同等に扱われず、新天地を求めて渡った日本や中国でも、決して同胞とは見なされない。植民統治下の台湾人が生きた矛盾と苦悩を克明に描き、戦後に日本語で発表された、台湾文学の古典的名作。[解説=山口守]

みんなの感想まとめ

植民地時代の台湾を舞台に、主人公の胡太明が直面するアイデンティティの葛藤と歴史の重圧を描いた作品は、淡々とした筆致で進行し、人生の移り変わりを見事に捉えています。著者は、台湾の客家の名家に生まれ、二重...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「多くの台湾人、ことに農民のあいだには、依然として毒されない健全な精神があるというのが太明の考えだった。
    彼らには知識も学問もないが、大地に即した生活があった。(中略)大地に密着しているかぎり、決して彼らは動揺しない。」

  • 学があって中庸な考えで真面目が取りえなだけで、歴史の流れには逆らえない。当時の台湾人は皆この苦労をしたのだろう。中国で台湾人がスパイ扱いで、日本人にもなれず、厳しくなる一方の取り締まりだけは逆らうこともできず。こういう時代は、先に発狂してしまった方が楽なのかもしれない。

  • 半分にも満たない途中だが、北杜夫『楡家の人びと』のような淡々とした感じを受ける。
    人生の移り変わりがパッパッパと進んでいく。
    やっと読み終えた。
    日中戦争、太平洋戦争、と歴史と共に人の一生を描くにはこれくらいパッパッと描かなければならないのかな。
    佐藤が日本へ渡る前に太明に言った批判、父の妾との子が亡くなった後に太明が自身について述べたこと、長い小説を読む中でずっと感じていた事を述べてくれたなと思った。
    引っ込み思案で内省的、実践の伴わない理論は空理だと。




    【瑕瑾】かきん
    きず。特に、全体としてすぐれている中にあって惜しむべき小さな傷。また、短所。欠点。
    恥。辱め。名折れ。

    【健啖】
    好き嫌いなくよく食べること。食欲が旺盛なこと。

    【蝸牛角上の争い】
    小さい争い。つまらぬことで争うこと。狭い世界での争い事にたとえる。

    【慫慂】しょうよう
    そうするように誘って、しきりに勧めること

    【蹌踉】そうろう
    よろめくさま。

    【諄々】じゅんじゅん
    よくわかるように繰り返し教えさとすさま。

    【蕭条】しょうじょう
    ひっそりともの寂しいさま。

    【豁然】かつぜん
    視野が大きく開けるさま。
    心の迷いや疑いが消えるさま。

    【妍を競う】
    優美なこと。美しいこと。「—を競う」

    【溜飲を下げる】
    胸をすっきりさせる。不平・不満・恨みなどを解消して、気を晴らす。

    【木猴にして冠す】
    (「沐猴」は猿(さる)) 猿が冠をかぶっても不似合いなように、どんなに表面を飾っても、内面が充実していなければ、不釣り合いであることにたとえる。

    【呻吟】
    苦しんでうめくこと

    【囹圄】
    囚人を捕らえて閉じこめておく所。牢屋 。獄舎。

    【囲繞】
    まわりを取り囲むこと。

    【鬼籍】
    死んで鬼籍に記入される。死亡する

    【一瀉千里】いっしゃせんり
    「瀉」は水が流れ下る意。一度流れ始めると一気に千里も流れるというところから
    ① 川の流れが速く、勢いの激しいこと。
    ② 物事の進み具合の勢いが激しく、よどみなく一気にはかどること。

    【従容】
    ゆったりと落ち着いているさま。危急の場合にも、慌てて騒いだり焦ったりしないさま。

    【雌伏】しふく
    人に屈伏して従うこと。また、実力を養いながら活躍の機会をじっと待つこと。

  • 全編日本語で書かれている。
    かつて日本の植民地であった台湾の現実を著者は生命がけでつづる 1943年から書き始めて2年後に脱稿するまで
    主人公胡大明は台湾の客家の名家出身、二重言語の習得を余儀なくされ東京留学もする 知識人だ。
    東京でも台湾でも大陸でも本当にかれの故郷はなかった
    日本軍に学徒兵として志願せざるをえなくなる

    著者はいう 歴史は常に繰り返すので常に過去の史実に教えを求めるべきだ、と。
    非常に重い一冊だった。
    当時の名家出身男性知識人独特の考え方には戸惑うところが多い
    妻子を大陸にすてたり、母親の最後の願いにも冷淡なところなど理解に苦しむ

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/466241

全5件中 1 - 5件を表示

呉濁流の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×