ご冗談でしょう,ファインマンさん 上 (岩波現代文庫 社会 5)

  • 岩波書店
3.89
  • (380)
  • (404)
  • (395)
  • (47)
  • (11)
本棚登録 : 5539
感想 : 392
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030056

作品紹介・あらすじ

20世紀アメリカの独創的物理学者が、奇想天外な話題に満ちた自らの体験をユーモアたっぷりに語る。持ち前の探求心と、大のいたずら好きは少年時代から変わらぬまま。大学時代や戦時下の研究所生活でも、周囲はいつもファインマンさんにしてやられる。愉快なエピソードのなかに、科学への真摯な情熱を伝える好読物。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 物理学の世界で有名なファインマン先生の自伝エッセイ。
    学生時代の話に始まり、原爆の研究、いわゆるマンハッタン計画に携わっていた期間の話、教授時代の話など、面白いエピソードに事欠かない。

    ファインマン先生の、ユーモア好きでいたずら好きな人間性が垣間見えるエピソードが多く、こういう人に学問を教わることができた学生は羨ましいと思う。

    ファインマン物理学は名著と言われているが、ついぞさぼり癖の大学生活を送ったせいで、いまだに読んでいない。

    思い返してみれば、自分が研究開発の道に進まなかったのは、大学時代に科学の面白さをイマイチ実感できなかったからだと思う。
    それは、大学の講義や教科書が、理論の伝授に偏っており、具体的にそれが現実世界とどのように関係しているのか理解できなかったからではないか。

    本書の中のブラジル時代のエピソードでは、ファインマン先生が教えたブラジルの大学の学生は、教科書に書いてあることをコピーして暗記することはできるが、その理論は世界をどのように説明しているのかを、理解していないという記述がある。

    本書の中での具体例では、学生は「物質が砕かれたり擦られたりした際には摩擦発光と呼ばれる現象が起こり、発光する」という知識はあるが、暗室で砂糖を砕いたときに砂糖が光ることを知らない。

    さらに言えば、この現象は液晶ディスプレイやLEDなど現代の光に関する技術において必須となっているが、そのような対応関係を認識できていないということだ。(もちろん私も本書を読むまでそんなことは知らなかった)

    線形代数はどのような意味あり何に活用されているのか、微積は?熱力学は?電磁気学は?・・・科学に興味を持つためには、数式を覚えるのではなく数式が世界をどのように表現しているのか理解し、そして自分の手を動かし、実験したり工作してみることが不可欠だ。

    もう少し早くこのような本を読んでいたら、自分の人生も変わっていたかもしれない。

  • 天才物理学者が生い立ちと内面をユーモアたっぷりに語る。

    理系は全般ダメなので、物理学そのものについて書かれた本は読んでいないが、こういう周辺のお話は好きで良く読む。

    物事に対する見方、考え方などはなるほど、と思う点が多い。

  • 子どもの頃科学や物理が好きで、ファインマン少年のように自分の部屋を実験室のようにして遊んでいた時期があったなぁと。

    結局、自分は研究者という進路には進まなかったけど、純粋無垢な好奇心、周りを取り囲む奇人変人、いっときなにを言ってるのか分からない理系文章も含めて、自分が研究者の道に進んでいたとしたらー...と、一つの"もしも"を想像するにはとても楽しい読書体験でした。

    実際の研究職はこんなにときめき溢れていないし、それゆえのこの本の魅力なのだろうけど。
    私にとっては少年の頃の自分に再会し、一緒に読み進めているような、楽しい時間を過ごせた気がします。

  • 1 ふるさとファー・ロッカウェイからMITまで

    ・考えるだけでラジオを直す少年
     修理すること自体は特に面白くない。どこが故障の原因かを考えることが楽しい。同感!
    ・いんげん豆
     単純作業はつまらない。インゲン豆とジャガイモを効率よく切る道具を作ってしまう。
    ・ドア泥棒は誰だ?
     アインシュタインの助手に重力の問題を出して困らす。
    ・ラテン語? イタリア語?
     イタリア語っぽく適当に話す。大人は何語だ?と考えるが、子供たちはお見通し。
    ・逃げの名人
     夢の筋道を逆にたどって始まりを見つけたいと思う。夢をコントロールすることにチャレンジしてみる。
    ・メタプラスト社化学研究主任
     物理学者なんかに職はなかった時代、社員4人のプラスチックにメッキをする技術を持った会社に入った。

    2 プリンストン時代

    ・「ファインマンさん、ご冗談でしょう!」
     見た目は立派でない手作りのサイクロトロンに感激。いたずら心のアイデア実施で実験装置を壊してしまう。
    ・僕、僕、僕にやらせてくれ!
     催眠術にかかったふりをしてやったが、結果としてかかったことになる行動をとってしまう。
    ・ネコの地図?
     生物学にも興味があり論文を書くほどの遺伝子関連の実験に取り組む。結局は物理が一番好きだと確信する。
    ・モンスター・マインド
     初めて受け持ったゼミに、ラッセル、ノイマン、パウリ、アインシュタインが来ると聞いてさすがにビビる。
    ・ペンキを混ぜる
     赤と白を混ぜると黄色になる?そんなはずはないのだが、つい真剣に何か未知な理由があると考えてしまう。
    ・毛色の違った道具
     他人が知らない微積分の方法を習得し、とても役に立った。
    ・読心術師
     手品師の技を巧みに聞き出すおやじに感服。
    ・アマチュア・サイエンティスト
     子どものころの自宅の「実験室」という遊び場の思い出。顕微鏡でいろんな物を観るのが楽しかった。同感!
     アリの行動の観察を一日中やってるおかしな子。

    3 ファインマンと原爆と軍隊

    ・消えてしまう信管
     陸軍で兵器を設計する話。
    ・猟犬になりすます
     人間の嗅覚がどの程度かを自分の鼻で確かめる。
    ・下から見たロスアラモス
     良いことだという目的意識で原子爆弾の開発を無我夢中で行い、その完成に喜んだ。
    ・二人の金庫破り
     ファインマンさんは金庫破りの名人。3つの数字のコンビネーションの見つけ方。パスワードの決め方と同じくその人になじみのある数字の確率も高い。
    ・国家は君を必要とせず!
     徴兵検査で精神鑑定医師をおちょくる。結果、問題ありの判定はまずいと、なんとか健康上の理由ということにさせる。

    4 コーネルからキャルテクへ ブラジルの香りをこめて

    ・お偉いプロフェッサー
     教えることから、初歩的な事柄を考え直すことができる。新しい見方を発見できる。
     何の役に立つかなど関係なく、ただ面白いから夢中でやっただけのことがノーベル賞に選ばれた。
    ・エニ・クウェスチョンズ?
     週一回の出張講義をすることになり、出張先で存分に楽しむことにする。ちょっとした誤解で金払いのいい男ということに。
    ・一ドルよこせ
     特許を政府に1ドルで譲渡するという文書に署名したが、そんな予算はとっていないという理由で1ドルが払われない。で、考えたこと。
    ・ただ聞くだけ?
     バーでナンパのレッスンをする。自分の常識とは違った形で物事は動いていくことを体験。

  • 最初、天才物理学者の本という事で身構えでしまったが、途中から急に読みやすくなった。文章が上手くなったのか、こちらが慣れたのか^_^ 失敗談なども多くて、人間味溢れる人柄に惹かれる

  • 恥ずかしながらファインマンという人物に関して、本書を通じて知った。マンハッタン計画に関わっていた物理学者で『ファインマン物理学』は物理学徒で知らぬものはいない名著とのことである。特徴的なのはその好奇心と探究心で本質に近づくことを生業としている。彼がイタズラ好きだったのは、予測できない他人の反応などへの好奇心が由来だったのではないかと感じた。

    日本人として複雑な心境ではあるが、一物理学者として偉大な方だと思う。改めて目の前の物事に疑問を持つことを意識させてくれた。文体から滲み出る万能感だけが少し苦手であるか…。

  • ノーベル物理学賞を受賞したファインマンの自伝。理系ならタイトルだけは知っている人は多いはず。

    天才の自伝というと、子どもの頃から「人とは違った」エピソード満載なことが多いんだけど、この本は本当に等身大のファインマンをさらけ出しているように思った(もちろん、謙遜の部分はあるんだろうけど)。

    いらずら好きで目立ちがり屋、面倒なことは嫌いな1人の少年、ただ、人より少し好奇心が強く、行動力がある。このわずかな積み重ねが偉大な物理学者を生み出したんだなと。

    ファインマンが覚えているエピソードが並べられているんだけど、たぶん誰もが似たようなエピソードを持っていて、読みながら「久しぶりに昔得意だった〇〇やってみようかな」と好奇心を刺激される本。

  • 中盤の物理学話は難しい。ロスアラモスの有名人の日常エピソードが藤子不二雄や石ノ森章太郎が住んでたトキワ荘ぽい。

  • 僕たちは「できるけどやらないだけのことさ」といつも自分に言いきかせているわけだが、これは「できない」というのを別な言葉で言っているだけのことなのだ。

  • 物理で有名なファインマンの本なので手に取った。
    格別字が大きいなどはないのに、文章がとんでもなく読みやすくするする読める。
    ファインマンの半生のエッセイだけれど、小さい頃からラジオを直したり、夢をどこまで知覚できるのか試したり、金庫破りをしたり何かに夢中になっている。有名人がたくさん集まる中で発表する時も、数学のことを考えはじめたら緊張も吹き飛ぶらしくすごく楽しそう。
    奥さんが病気で毎日3時間かけて入院先まで会いに行っているの、大変そうなのにあっさりと記述しているのもすごい。
    決して楽な事ばかりではないのに、思考がシンプルで顔色を伺わない性格は生きやすそうだなと感じてしまった。

全392件中 1 - 10件を表示

リチャードP.ファインマンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
デールカーネギ...
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×