読書術 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 837
レビュー : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030247

作品紹介・あらすじ

急がば回れ、古典味読の精読術。新刊を数でこなそう速読術。臨機応変、読まずにすます読書術。原書に挑み、原語に触れる解読術。新聞・雑誌は看破術。難解本なら読破術。-書物の裏表を知りつくした著者が読書の極意を明快に指南し、読書と共にある人生のよろこびを語る。読書を愉む技術の徹底指南。

感想・レビュー・書評

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  • 加藤周一、二冊目。(角川ソフィア『文学とは何か』)

    買おうと思ったのは丸山眞男についての本で、ふと目に入ったのだけど、まあこの二人が繋がっていて面白い。

    「私のこれから会う人がたいていの偉い人でも、鷗外ほどではないのが普通です。」

    「鷗外の語るところを中断されるのが、残念なくらい」という筆者。笑った。本当だ。

    古典は遅く読む。

    現代文学は早く読む。書評を活用する。

    何冊も並行読みするべきだ。

    経験がなければ「分からない」文章はある。

    経験がなくとも「読んだふり」をして情報を引き出すことも大切である。

    中でも、自然科学の文章と、文学や哲学の文章の違いを挙げている所が面白かった。
    自然科学では、雑誌=今の情報が重要とされる。
    文学や哲学は、必ずしも今の情報を重要とはしない、そこに「私」という一人の人の存在がある。

    けれど古典だけに重きを置くものではなく、そこには不易流行が混在(語弊があるか)している必要がある。

    どれだけの量を読んでも、世界の知の全てを掌握することは最早不可能である。
    ならば、何を読むか。どのように読むか。
    後書きで、筆者は「日本語を読む」楽しみを挙げているが、何で読むか、も確かに大切だな。

    自分の人生を味わうために、重ねていく本が愛おしくなった。

  • 今は亡き「知の巨人」加藤周一が読書を愉しむ技術を高校生向けに著したもの。1962年出版のベストセラー。
    文章自体は平易なのだが、中身は相当広範囲な読書経験、知識経験がある読者でないと腹落ちしていかないような気がする。
    多少、テクニカルなところもあるが、術というよりは、「心構え」が整理されている。
    特に難解な本や、外国語の本をどのような「心構え」で接するのか?
    成る程、と思う箇所は少なくない。

    以下引用~
    ・「おそく読め」というのは、「古典を読め」というのと同じことになり、また逆に、「古典を読め」というのは、「おそく読め」というのと同じことになるでしょう。
    ・小林秀雄さんの「鉄斎」は万人に向けられたものではなく、「鉄斎」を見たことのある人、あるいは、少なくとも小林さんが「鉄斎」を見た時の経験とおなじような種類の経験を、ほかの画家を通じて持ったことのある人だけに向けて書かれたものです。
    ・要するに、私にとってむずかしい本は、その本が悪い本であるか、不必要な本であるか、どちらかです。
    私にとって必要であり、よく書かれた本であれば、それがむずかしいということは本来ないはずであろうと思われます。
    「むずかしい本をよくわかる法」は、ないかもしれません。私たちにとって、「必要なすべての本をよくわかる法」だけがあるのです。

  • 色んな人の読書術や”オススメ本に関する書籍には目がないオレですw

    本屋にいって特に気になる本が見つからなかったときなどはいつも誰かの読書術に関する本の中で紹介されている本を買ったりします。

    数ある読書術の本の中でも加藤周一さんの『読書術』は永久保存版でしょう。オレが言うまでもないことですがw

    持っておいて損はないと思います。



    ・おそく読む「精読術」

    ・はやく読む「速読術」

    ・本を読まない「読書術」

    ・外国語の本を読む「解読術」

    ・新聞・雑誌を読む「看破術」

    ・むずかしい本を読む「読破術」

    読書の技術としては以上の6つに分けて解説されています。

    どのジャンルの本を読むにしてもこれらのうちどれかを参考にできる形になっています。


    中でも、

    ・本を読まない「読書術」

    これがおもしろいです。




    オレも知り合いから、「一流の教養人になるには、読んでいない本でも読んだことがあるかのように内容を語るスキルが必要だ。」と言われたことを思い出しました。



    まあそうなるためには多読した経験という素地が必要なのでしょうが。



    とりあえず巷の読書術本と違ってずっと本棚に置いておき、たまに参考にしたくなるような本です。

  • 最近読書術に関する本ばかり読んでいるせいか、目新しい内容というのはあまりありませんでした。
    しかしこの本が最初に出版されたのが1962年ということを考えると、この時点で言われていたことが今でも通用しているということに驚くべきなのかも知れません。
    例えば「難解な本を読む技術」(2009年)を読んで凄く感心した「思想」と「科学」の違いについてもちゃんと書かれていました。
    ・自然科学の場合には、一度確認された事実がその時以来、万人の所有物になる。どうしてその事実が確立されたかということを、あとから来た研究者がたどってみる必要はない。結核の原因が結核菌であることを確かめたコッホの論文を読まなくても結核の治療はできる。
    ・哲学や文学の場合には、自然科学と同じ意味で万人の所有になるということはない。その仕事は作者の個性に結びつき、作者の個人的な経験と絡み合っている。シェークスピアの芝居が書かれたからといって、次の世代の作家はシェークスピアのやったことの先へ進めばよいというわけにはいかない。

    読書術に関してどの本にも書いてある共通の原則みたいなのが見えてきました。
    これがいわゆる「類書読み」の効用なのでしょうか。
    読むスピードも上がってきて四時間ぐらいで読み終えることができました。

  • 読書術 (岩波現代文庫)


    またまた、本を読む事がどういう事なのか?
    という「読書術」がかかれた本です。


    これもまた、月並みな表現だが、改めて
    本を読む事に発見があるという事を教えてくれた。


    本というのは「能動的」であり「積極性」が必要。
    「精読術」に始まり「速読術」にも言及。


    少し変わった所でいえば「本を読まない読書術」
    一見二見してもなんのこっちゃと思うが読んでいくと
    「成程成程」と感心させられた。


    しかも、読まないであたかも読んで書評までする
    というこんな事おおっぴろに書いていいの?
    とも思ったが、凄く為になるし、方法論は面白かった。


    「スノビズム」に「ドーセバカイズム」
    吹き出してしまった。


    また、外国語の本を読む時の解法や新聞、雑誌の読み方など
    あらゆるジャンルの読み方、楽しみ方など
    的を得ており、ただただ頷くばかりであった。


    この本を読むと読書というものは全く気負いする事必要もなく、
    ただただ、読書というものは素晴らしく、
    かといって鼻にかける事もなく、
    何といえばよいのか、一生かけて読み続け
    極めたいと思わせてくれる「書」でした。
    http://blog.livedoor.jp/book_dokushonikki/

  • 【読んだきっかけ】前から気になってはいたが手をとらなかった本。やっと読む気になった。
    【内容】戦後日本の碩学のひとり、加藤周一が読書について語った本。
    【感想】口述なのでとても読みやすい。本好きなおじさんが読書の愉しみを語りかけてくる、そんな感じがする。
    2000年発行のわりに語られる事例が古いな、と思ったら1962年に書かれたものの改訂版だった。もっとも、筆者もあとがきで述べているとおり、本の主題は決して古びていない。
    筆者は「本はできるだけ楽な姿勢で読むもの」「わからない本は読まない」などの見解を、体験からくる説得的な言葉で説明する。思わず笑みがこぼれ、本に対する気負いがなくなる。
    読書は愉しむもの、という当たり前のことに気づかせてくれる良書。

  • 速読や遅読、古典との付き合い方、難しい本がなぜ難しいか、など様々な視点から「読書」のあり方を説く。
    一貫して語られる「難しい本は読まなくてよい」「必要な本であれば自ずから理解できる」という論調には、救われた思いもした。

  • 日本を代表する知性の読書術。40年程前に書かれた本であり、引用される本は古典が多いのですが、今読んでも十分に共感することができました。速読術、遅く読む精読術、外書を読む解読術、新聞雑誌を読む看破術、また難しい本を読む読破術。読破術とはとにかく読まないことだそうです。自ら求めていない本であって、本も自分もどちらが悪いわけでもない、という言葉は加藤氏でもそういうことがあるのか、と思います。確かに読書は過去の知識の集約に立っているとすれば、また出会いの時期があるのだと思うことにしたいものです。

  • 文字通り本の読み方を教えてくれる本。多くの本が具体的に方法論としてどのように本を読むかということについて説明しているのに対し、この本ではいかに効率よく本から得られるものを吸収していくかということに重きがおかれている。ときには読まないという選択肢をとることの必要性や、早く読む本・遅く読むべき本の解釈の仕方まで教えてくれる。
    また、偏見が含まれるかもしれないが、岩波文庫という権威ある文庫から出版されている本からすると意外なことだが、場合によっては自分が読めない本は迷わず読まないことにせよという内容さえ含まれる。
    少し欲しい内容とは外れていたものの、読書に対する生きた知恵の詰まった本であると感じた。

  • 『読書術』
    加藤周一

    むかしパリで私がある詩人の家に住んでいたとき、談たまたま寝床で読む本に触れたことがあります。「あなたは寝台で本を読まないのか」と私は言いました。「とんでもない」と詩人は言下に応じました。「寝台ですることは二つしかない、寝るか、愛するか」——しかし、私は詩人には賛成しません。読書はまさにその二つの行為に似ている。第三の行為ではないでしょか。(p7)

    エピソード。辻原登教授も同じことを言っていた。面白い。

    「遅く読め」というのは、「古典を読め」というのと同じことになり、また逆に、「古典を読め」というのは、「おそく読め」というのと同じことになるでしょう。(p59)

    その通りである。そう読みたい。

    ……少なくとも一度や二度ゆっくり『論語』を読むのは、けっして時間の無駄にはならないでしょう。(p45)

    四書五経の第一は『論語』

    ……(西洋文化を指して)その源である古典は、申すまでもなく第一に聖書であり、第二にギリシャ思想を代表するいくつかの本であると言ってよいでしょう。(p47)

    やはり『聖書』と『ギリシャ神話』。基本中の基本である。

    ……キリストの現行を伝えた新約聖書が、いわば儒教の「四書」、ことに論語に相当するということになりましょう。(p46)

    ここで繋がるのか。興味深い。

    たとえば日本を理解するために、論語と仏教の経典、日本の古典文学のいくつか、また西洋を理解するために聖書とプラトンを、できるだけおそく読むことが、おそらく「急がば回れ」の理にかない、「読書百遍」の先祖の知恵を今日に生かす道にも通じるだろうと思われます。しかし、そもそも日本を理解し、世界を理解する必要があるのでしょうか。(p50)

    盛り上げといてこうくるとは。結論として、自己の悩みや苦悩の解消として古典は役に立つとなる。なるほど。だが私は日本、世界、自分を知りたい。

    一冊でなく、同時に数冊読む。(p82)

    基本だが、先に述べた『聖書』など遅読できるものを用意しておくのは新しい。「日本」「翻訳」「新書」「聖書」(など)がベターか。

    現代文学は速読すべし(p84)

    数があるしね。が一番の理由。物語を速読しても意味はないが、新書等はそうだろう。

    一冊だけ読むことが、読まない工夫の第一歩(p98)

    しっかり選書すること。やはり情報の選別は必須だ。基準を設けたい。

    わからない本は読まないこと(p172)

    わからなければ意味がない。しかし人によっては読みやすかったり、読みにくかったりする。あんま落ち込むなよ。ということ。物語には当てはまらない。

    「むずかしい本をよくわかる法」は、ないかもしれません。私たちにとって「必要なすべての本をよくわかる法」があるのです。

    必要と思う本、積極的に必要だと思う本を読むべき。「求めよ、さらば与えられん」と書かれている。

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プロフィール

評論家。「9条の会」呼びかけ人。

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