読書術 (岩波現代文庫 社会 24)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030247

感想・レビュー・書評

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  • 普遍的な読書術

  • 時々、こういった読書についての本が読みたくなります。古典はゆっくり読む、わからない本は読まない(読んで理解できないものは自分には必要がない本であるため)というのが目新しく感じました。また「パリに住んでいた当時、現代劇を片っ端から見たが、二年の後にうちに興味を失い、というのも皆うちからどれも同じような劇的対立しか含んでいないと思うようなり、同時に古典劇に強い興味を持つようになった。古典劇以外に見たいものがなくなってしまった。それはこれまでの沢山の現代劇を見た経験によって発見されたことである」と著者が述べている箇所があり、私も近年現代のベストセラー作品から遠ざかっているのは恐らく、同じような理由なのだろうと納得しました。何を読んで、何を読まないかの選択は、限られた時間を有効に使うためにもかなり重要だと改めて思いました。

  • たくさん読まなければわからないことがある。だから速く読む。当たり前だけど極めて合理的。速く読むのが目的ではない。
    読みたい本、好きな文章だから、わかりやすく、興味がないから難しい本になる。
    読書の楽しみ。相手もいらない。お金もかからない。

  • 技よりも
    本を通じて
    作者との
    時空をこえた
    会話楽しむ

  • 何を読んだら良いのか、ではなくどう読んだら良いか、を説いてくれる読書術。
    古典は遅く読む、現代文学は速読する、なんなら本を読まないことも読書術のひとつ、わからない本は読まない…などなど、多岐にわたり筆者の読書術が展開されている。

    中でも面白いところをピックアップする。

    ・蔵書家はかならずしも多読家ではありません。(p.98)

    ・事実からは「見出し」は出てこないで、「見出し」をつくる者の見方から「見出し」が出てくるのです。(p.161)

    ・自分のわからない本はいっさい読まないということ、そうすれば、絶えず本を読みながら、どの本もよくわかることができます。(p.173)

    ・要するに、私にとってむずかしい本は、その本が悪い本である、不必要な本であるか、どちらかです。(p.207)

    難しい本を読みがちで、分からない時は自分の理解度の問題だと思っていたが、あえて読まないという選択肢が新しくて衝撃だった。
    今後理解のできない本に出会ったら、一旦脇に置いておくことにする。
    また、速読のひとつとして書評を活用するとあった。普段本を読まないような人でも短い書評であれば読めるのではないか?書評で読書体験できる新たなビジネスモデルを考えるのも楽しそうだ。

  • シンプル、なだらかな文章

  • 2021/2/13

    古本屋で加藤周一が読書についての本を出しているのか!と気になって即購入。

    ある学問の話をする時には前提となる作品は読んでおく必要があり(哲学の話をする時にデカルトを読んでいないとどうにもならない)、速読はそのためにある。自分にはこの土台が足りていないので、今はある程度の速読で乱読するフェーズにあると思っている。その中で精読すべき本を見つけ、生涯座右に置いて精読しようかなと。

    その他、危機に瀕している時にこそ人間の本質が現れるというのは納得がいくし、読者は経験から知っていることしか本を理解できないというのもよく分かる。特に、理由は異なるが全集を読め、というのは小林秀雄に通じる。

    ただほんの一部、時代錯誤感は否めない。

  • ものすごい昔に父親の蔵書のカッパブックス版で読んだ。いまの時代にはちょっとどうかと思う表現もあるがそれは時代の制約として仕方なかろう。が、たとえば、本を速く読まなければならない理由として挙げられている、情報量の肥大による人間への負荷の増大という事象は今も変わらないどころかその傾向のままに加速しているわけで、たとえは古くてもほとんどの洞察は現代にも適用できるものだ。読書についての”古典”として読み継がれるべきものであろうとは思う。自分のいまの読書の仕方にとても影響を与えている本だということを改めて思った。

  • 他の人がどのように本を読んでいるのか、ということはたまに気になるため、手に取った一冊。

    この筆者、ほんとうに賢いんやろうな、というのが、読後の最初の感想。

    そして、必要なものから読むのがよろしい、というのが、もっとも刺さったメッセージ。

  • 東大医学部卒の文芸評論家、作家であり、パリを始め様々な国を渡り歩いた「知の塊」…である加藤周一先生が、1962年に出版した読書指南書。

    以前読んだ、別の読書指南書の参考文献に載っていた本書。
    そこで出会わなければ、一生読む機会はなかったはず。

    いまいちわからない項目もあったけれど、それはまだ、加藤先生と同じ種類の経験を自分のものにできていないだけだ。

    とりあえず「読書は机を使わず楽な姿勢ですべき」という言葉に今は元気をもらった。
    今の力で理解できたことを、まず実行していこう。

    「ドーセバカイズム」のままでいたくない。だから、読んだふりもときにはしつつ、短い人生のなか、せっかくなら読書を愉しむ人になろうと改めて思った。

    心に残った言葉

    どれほどはやく本を読んでもはやすぎるということはなくて、はやく本を片づけることが、生きていくうえにほとんど不可欠なことのようにさえ思われてきます。(p65)

    「ドーセバカイズム」と博覧強記主義のあいだに、本を読まざる工夫あり、読まなくても読んだふりをする工夫があってしかるべきでしょう。「どうせ私はばかですよ」と言っていたのでは、いつになっても私はばかでなくならない。読まない本を読んだふりをしているうちに、ほんとうに読む機会も増えてくるのです。(p121)

    読書の愉しみは無限です。(中略)人生は短く、面白そうな本は多し。(中略)面白そうな本を読みつくすことは誰にもできないのです。(p217)

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著者プロフィール

評論家。「9条の会」呼びかけ人。

「2008年 『憲法9条 新鮮感覚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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