女の民俗誌 (岩波現代文庫 社会 44)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030445

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  • 名も知れない、歴史に残されなかったいわゆる庶民の女性の生き様、生活を綴った内容。今と比べると、出てくる女性達は皆貧しかったのだろうけれど、でも逞しさというか芯の強さ、そしておおらかさがあって、かつ著者に対しては女性へのあたたかい眼差し、尊敬の念を文章に感じられるので(解説文はちょっと上から目線なのに対して)嫌味がない。多分、お母さんがほんと立派だったんだろうなぁ。
    この本の中の言葉ではないが、「民衆の世界が世間に知られるのは不幸によってである」この一文には胸に迫るものがある。日本残酷物語、ちょっと読んでみたい。
    飛島の女はちょっと切なく哀しくなった。阿蘇の女は、阿蘇を旅した情景とセットに読める楽しさがあった。

  • 農村の女たちの生活を明るくする法
    時間にとらわれていないこと
    歌を持つこと

  • 宮本常一、2冊目。良く調べてるなぁ。

  •  宮本の書いたもののうち、女性に関する文章を集めた本。娘宿のことなど、赤松啓介の夜這の話には出てこないような女性の性や出産に関する話も多数。
     「戦後の女性」(p190)に、戦後の婦人参政の話題があり、このことについて世間では当時、

    「女に選挙権を与えても、投票のときは亭主の投票する人と同じ人を選ぶことになるのだから、意味のないことで、夫婦が別々に人を選ぶようになれば家族の争いのもとになる」

    と言われていたそうな。21世紀に生きる私は驚愕したのだけれど、同時に夫婦別姓に関する議論を連想した。たったの65年でこんなに人の認識というのは変わるものなのだなぁ。

著者プロフィール

1907年(明治40)~1981年(昭和56)。山口県周防大島に生まれる。柳田國男の「旅と伝説」を手にしたことがきっかけとなり、柳田國男、澁澤敬三という生涯の師に出会い、民俗学者への道を歩み始める。1939年(昭和14)、澁澤の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、五七歳で武蔵野美術大学に奉職するまで、在野の民俗学者として日本の津々浦々を歩き、離島や地方の農山漁村の生活を記録に残すと共に村々の生活向上に尽力した。1953年(昭和28)、全国離島振興協議会結成とともに無給事務局長に就任して以降、1981年1月に73歳で没するまで、全国の離島振興運動の指導者として運動の先頭に立ちつづけた。また、1966年(昭和41)に日本観光文化研究所を設立、後進の育成にも努めた。「忘れられた日本人」(岩波文庫)、「宮本常一著作集」(未來社)、「宮本常一離島論集」(みずのわ出版)他、多数の著作を遺した。宮本の遺品、著作・蔵書、写真類は遺族から山口県東和町(現周防大島町)に寄贈され、宮本常一記念館(周防大島文化交流センター)が所蔵している。

「2022年 『ふるさとを憶う 宮本常一ふるさと選書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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