ボクは算数しか出来なかった (岩波現代文庫 社会 60)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030605

作品紹介・あらすじ

著者は幼い頃から数に特別の興味を示し、豆を数えて遊んでいたという。小学校時代は算数以外できず、学校も嫌いだった。数学者となってからはプリンストン高級研究所に招聘され、フィールズ賞を受賞する。数々の業績も「数学の世界に遊んでいるうちに何となく自然にできた」ことだという。数学三昧のユーモアあふれる自伝。

感想・レビュー・書評

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  • 2002年(底本1987年)刊。

     日本初のフィールズ賞受賞者による自叙伝。日経新聞連載「私の履歴書」をまとめたものである。

     読後感は、天才は天才しか判らず、の意を強くするというものである。
     なるほど表題には「算数しかできなかった」とあり、いかにも他の科目ができていないようなそれだが、一論文が米国研究者の目に留まって米国大学へ招請されたり、湯川秀樹や朝永振一郎らとの親交、数学が得意というだけで旧制第一高校理科乙類を一位で合格しているなど、凡俗には想像がつかない人物だったことは想像に難くない。

     もっとも、高校レベルの数学の証明問題に関する暗記の推奨(勿論、暗記というのは、その証明の過程や意味の理解を伴ってというもの)や小学校(特に低学年に妥当か)教育への提言は大いに首肯できる。

  •  ノーベル賞には「数学賞」がない。そこでジョン・チャールズ・フィールズは「フィールズ賞」を創設した。つまり「フィールズ賞」とは数学の世界ではそれだけの権威がある章なのだ。そのフィールズ賞を受賞した日本人は3人いる。そして、最初に受賞した方こそ本書の著者でもある小平邦彦さんである。
     恥ずかしい話ながら、僕は小平邦彦というその人のことを全く存じ上げなかった。聞いたこともなかった。知っている人からすれば「何を今更」となるだろうが、この小平氏、実はとんでもなく偉大な方なのだ。東大名誉教授でホプキンス大学教授でスタンフォード大学教授で……とかって、凄すぎて逆に意味がわからない、そんなお方。

     本書『ボクは算数しか出来なかった』は小平さんの自伝だ。タイトルからわかるようになんとも謙遜がすぎる。本書を読んでわかったのは、小平さんは「算数も出来た」という事実である。ちぇっ。

     こんなトンデモナイ人が隠れているなんて、日本人ってスゴイ。まだまだ僕の知らない日本人はたくさんいるんだろうな。


    【目次】
    はじめに
    数への興味
    父・権一
    祖父・金井汲治
    五中時代
    代数学
    (以下略。見出しは32項目あります)
    解説 上野健爾

  • 日本人で初めてフィールズ賞を受賞した小平邦彦の本。
    タイトルから、勉強が苦手だった小平が学問の道に入っていく経緯が描かれているのかと思ったが、そうではなかった。学ぶところの少ない本。
    中学生時代から、数学の名著を買ってきて自ら勉強するような小平は、大学でも数学を専攻し、卒業後はもう一度、物理学科に入りなおす。小平自身はモラトリアムで物理学科に入りなおしたと書いているが、このあたりの勉強に対する貪欲さはすごい。
    また、本書の後半で「学生の学力が落ちている」と嘆いている。今も大学生の学力低下が問題になっているが、全く同じことを50年前の小平も言っている。
    学生の学力は50年前から落ち続けているのだろうか。それとも、いつの時代も年配者には学生がバカに見えるのだろうか。

  • 突き抜ける っていうのは スゴイ。

  • 算数だけでなく、音楽もできたじゃん。努力していないように見えたけど、頑張ったじゃん。運命をひきつけるものがあったじゃん。

  • 今回も解説は必読。何が人間を育てるか、また、評価するか、考えさせられた。

  • 座右の一冊にほぼ近い。有名な魚の話もあった。人格が伝わってくる自伝。必読。

  • 「生活環境と学問はあまり相関関係はないようである。」本当に素晴らしい本。何度も読み返したい。

  • ドッグイヤーをたくさんした。小平先生には説得力がある。

  • 自叙伝。読み物なので数学の話は無い。なぜ読むリストに入っていたのだろうか。酔っ払った時に読んだブログのリンク先で推薦されていたのだろうか。飄々とした文体はエッセイとして読みやすい。

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