日本の軍隊 (岩波現代文庫 社会 81)

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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030810

作品紹介・あらすじ

敗戦とともに、日本の軍隊と帝国臣民の行動様式は消え去ったのだろうか?本書は敗戦わずか五年後、軍隊経験者との討論や、東西のさまざまな文献を通じ、人間を濫用する機構としての軍隊の、日本社会における役割を追究した先駆的研究である。比較文化研究の立場から明かされる日本軍隊の特質は、現代に何を語りかけるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 2003年(底本1950年)刊。著者は元東京大学東洋文化研究所教授。著者の教え子の軍人経験者(陸士卒2名、内1名は幼年学校から。海軍予備学生1名)と丸山眞男東大教授と南博日本女子大教授が参加する鼎談の第1部とこれを踏まえた著者の日本軍論が第2部。第2部は終戦後5年という時期を併せ考えると、それほど耳目を引く内容ではなかった。が、1部の体験談的叙述は、今見ることのできないものが多い。例えば➀純粋な軍隊教育下にある者は「全滅か、勝利あるのみ」で降伏や負けるのは眼中の外。②軍人の純心は家来としての純心に過ぎぬ。
    ③日本軍では、家族主義的紐帯を形成できた中隊組織を動かせないと勝てない。④「修正」という制裁は士官相互のみ。⑤日本軍、特に海軍において、女学生に慕われる貴族意識を持つスマートな士官が、女を買うこととは矛盾するとは考えられていなかった。⑥師団参謀による専門家の作戦立案は参考程度なのに、現場での退却は指揮官への軍法会議モノ。⑦砲兵上の新型兵器は、現場での職人的砲術担当の職を失わせるので、嫌がられる。⑧精神重視=物惜しみする日本軍。
    ⑨生命重視の米軍は落下傘やゴム層を何枚も重ね、漏れを防いだ軍用機の燃料タンクなど工夫。ゴムが足りないというだけで思考停止した日本軍との対比。⑩資材を送らないまま橋を賭けろと指示するのみの本部に対し、周辺の木を伐り橋を構築する部隊はまだしも、電信柱を引き抜いて(通電はどうするのか)橋を構築する部隊が、バレなければ懸賞される。⑪本土決戦用の上陸防禦令に、ⅰ長時日の塹壕戦、ⅱ現場住民の駆り出し、ⅲ3、4人のゲリラ部隊のみの編制と肉薄攻撃。
    ⑫負け戦(真珠湾攻撃など)を堂々と見せて、交戦意欲を高めさせようとする米国に対して、「勝った勝ったバンザーイ」というウソの情報を蔓延させて交戦意欲を保持しようとした日本の違い等。いやあ、色々出てくるもんだなあと。

  • 1945年の敗戦の5年後に出された研究書。日本の軍隊と帝国臣民の行動様式を、軍隊経験者との討論や東西の文献を通して解明し、日本社会における役割を追究。研究方法としても「今のうちでないと」の使命観がおもしろい。
    【志學館大学】ニックネーム:KA

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