イシ―北米最後の野生インディアン (岩波現代文庫―社会)

制作 : 行方 昭夫 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 106
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030858

感想・レビュー・書評

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  • 北米最後の野生インディアンの記録。著者は『ゲド戦記』の著者の母親。

    前半部分、白人がインディアンを虐殺していくところは読んでいて辛かった。あの時白人がインディアンにしたことは、ジェノサイド。

    絶滅したと思われていた野生インディアンが白人の前に姿を現してからのところは面白かった。最後まで名前を明かさなかった「イシ」。イシが一番親しかったという医師ポープの医師への評が美しい。

    <blockquote><span style="color:#ff0000;">彼は文明人を”知恵の進んだ子ども、頭はいいが賢くはない者”と見ていた。われわれは多くのことを知ったが、その中の多くは偽りであった。イシは常に真実である自然を知っていた。彼の性格は永遠に続くものであった。親切で、勇気があり、自制心も強かった。そして彼はすべてを奪われたにも拘わらず、その心にうらみはなかった。彼の魂は子どものそれであり、彼の精神は哲学者のそれであった。</span></blockquote>

    「あなたは居なさい、ぼくは行く」という言葉を残して、この世を去ったイシ。彼はその生き様で無言で私たちに大切なことを語っているのではないだろうか。

    役者が最後に書いているが、
    <span style="color:#0000ff;">イシの属した北カリフォルニア・インディアンのヤヒ族を「野蛮人」と呼んだ「文明人」が、世界各地で性懲りなく蛮行−−ホロコーストに匹敵するインディアン撲滅と変わらぬ蛮行−−を繰り返している現代世界に生きる人間にイシはどういうメッセージを与えてくれるだろうか。ル=グウィン女史は、イシの足取りについて「侵略者が長靴を履いた足でどしんどしんと大またに歩くのとは違って、地球という共同体の一員として、他の人間や他の生物と心を通わせながら軽やかに進む歩き方」と述べている。</span>
    こういうイシの歩みから、学ぶべきことを学べる賢い者となりたい。


    [private]amazon書評より転載
    書棚の中の本書が気に掛かり再読しました。白人はインディアンを放逐し、生活の糧を奪っていきました。インディアンは白人から羊や騾馬を奪い、食料や衣服にしました。白人は報復隊を組織し、また、軍隊に依頼し、インディアンを殺したり、奴隷同然に使役したりしました。白人が入植する前まで平和に暮らしていた各部族は、次々と全滅の憂き目に遭ったのです。

    現在、我々が直面している文明が引き起こした危機、放射能汚染、金融危機、体制崩壊など、本書は文明の持つ本質の1つを警告しているように感じます。強い「火」を持った者が弱者を支配する構図や、高度な社会システムや科学技術に支えられた文明が、その社会システムや科学技術により危機に直面している様は、我々「文明人」は当時のインディアンより優れていると言えるのか大きな疑問を投げ掛けてきます。

    自然と同化し、恵みへの感謝、家族への親愛など純朴な人間らしい生き方をしてきたインディアンのコミュニティーを破壊したのは銃を持った文明人でした。現在に生きる我々も、より高度に発達した社会システムや科学技術に滅ぼさせる運命なのかもしれません。様々な知識や知見を手に入れた人類の現状からは悲観的にならざるを得ないと感じます。

    著者のシオドーラ・クローバーはカリフォルニア大学で心理学と経済学を学んだ。『ゲド戦記』のル=グウィンの母でもあります。『ゲド戦記』に見られる無意識の世界の描写はイシの生き様が1つのモデルになっているように感じました。[/private]

  • [ 内容 ]
    白人の西部開拓に追われ、潜伏生活を送っていた最後のヤヒ族、イシ。
    本書は、孤独に堪えかね20世紀初頭の文明社会に姿を現したイシの聡明な精神、「文明人」との友情を描く。
    著者の娘の作品『ゲド戦記』はここから生まれた。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • すばらしくジェントルマンな野生インディアン、イシの暮らしぶりが胸にせまる。文明との出合いにより滅びゆく者たち。悲惨です。

  • 人間の尊厳について知る1冊。

  •  タイトルの通り、北米最後のネイティブインディアンが、アメリカの人々に発見され、そしてなくなるまでを描いた本。
     著者は、イシ(本名ではない)の友人でもあり、保護していたクローバー博士の妻。
     博士本人はあまりにもつらいことであるから書けないということだった……。

     全編にわたって深い悲しみはあるけれど、それでもユーモアのある、イシがすごい。楽しいという意味ではなく面白かった。

     序文がル・グインで、なぜだろうと思ったら彼女は著者の娘。クローバー博士の娘さんなのだそうな。驚いた。
     

  • ル・グィンのご両親。
    最後までイシの本当の名前は出てこない。
    でも、誰かは知っていたと思いたい。

  • ル=グインのお母さんが書いた本。
    気ままな拾い読みだったので時間がかかってしまった。

    2008年10月読了。中古で560円。(線香のにおいが染み付いている)

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