本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (340ページ) / ISBN・EAN: 9784006030889
みんなの感想まとめ
歴史的な視点から個人の思索を深く掘り下げた作品で、特に戦後の天皇に関する感情やその影響が明確に描かれています。著者は日記を基にしており、当時の個人の考えや感情がリアルに伝わってきます。戦争を経て人々が...
感想・レビュー・書評
-
勢古浩爾の「大和よ武蔵よ」によると「また『砕かれた神』という作品じたいも、二十歳のときに書かれた日記そのものではない。小さい頃からつけていた日記をもとに、五十歳前後のときに書かれたものである。渡辺清の自伝的三部作を、夫人は「ノンフィクション・ノベル」といっている」(182頁の(注))にあるが「砕かれた神」によると、この吉田清治のような男の「軍歴」は「ミッドウェー、珊瑚海、ソロモン、ブーゲンビル、マリアナ、そして昨年十月のレイテ沖海戦」(18頁)と称しているが「海の城」では「わたしは、ミッドウェーでも、スラバヤでも、ソロモン海でも一生懸命戦ってきた」(角川新書版437頁)だ。吉田清治の「朝鮮人慰安婦と日本人」を読んでいて彼が金九を護送するお話があるが刊行当時は既に「白凡逸史」の邦訳は平凡社東洋文庫から刊行されていたのに「上海仮政府の主席」という曖昧な記憶を元にでっち上げた物語だと気がついて白けたのと同じ。岩波現代文庫の解説を書いた人は、この軍歴詐称者の事を個人的に知っているはずなのに「海の城」(角川新書版410頁)では昭和16年4月30日に入団した事になっているのに「砕かれた神」329頁では5月1日といった「軍歴」の矛盾やスラバヤ沖海戦がいつあったのか、「シドニー爆撃」(306頁)が現実にあったのか、長門や五月雨、武蔵の正確な戦歴について知らなかったので気がつかなかったのだろう。でないと「『海の城』にあるが、無事合格して、十六年の五月、少年は横須賀海兵団の門をくぐり、つづいて同地の砲術学校を卒業し、一年後には実戦訓練のために艦隊勤務についたのである」と書かないだろう。あれだけ「華麗な軍歴」だと善行章どころか金鵄勲章や感状を貰っていてもおかしくないだろう。「海の城」の昇進の記述と違って「砕かれた神」によると二等兵曹まで「昇進」したそうだ。さぞ御立派な「水兵」さんだったのだろう、と言いたいが何故か水兵長の事を陸軍式の「兵長」という書き癖があるので本当に帝国海軍で在団していたのか?この男は?「海の城」と「砕かれた神」では昭和18年の武蔵に昭和天皇の行幸を仰いだ時の記述に違いがあるが、渡辺清自称二等兵曹は東京大空襲の日に照宮が信彦王を出産していたのに昭和20年11月27日時点で「もしマッカーサー司令部から、戦争犯罪人として指名逮捕されるようなことがなければ、天皇はやがて孫の顔をみることができるだろう」とおかしな事を書いている。フィリピンにいた(特に霧島の最後の艦長だった岩淵三次海軍少将が司令官のマニラ海軍防備隊あたりに配属された)設定ならまだしも昭和20年の元旦は「去年の正月は荒天の東シナ海の洋上だった」(165頁)で昭和19年に撃沈されたはずの駆逐艦早波に配属されて横須賀鎮守府にいたんでしょう?
「軍艦武蔵」の著者の手塚正己の講演会に行った時に出席者からの渡辺清の本について質問されると内容は忘れたが激しい口調で批判していた。氏の「『軍艦武蔵』取材記」には実際に武蔵の元乗組員から貰った「「武蔵』のことが書かれた数冊の蔵書を、形見にいただいた。東京に向かう電車の中で、本を取り出して見た。どれも「武蔵」本としては広く出回っているもので、わたしも所持していた」、「暇つぶしのつもりで、特に手垢で汚れた本を選んだ。ページを繰っていくと、多くの個所で赤線が引かれていて、余白には訂正の文字が躍っていた。鈴木氏の怒りが、伝わっているようだった。何気なく裏表紙を見ると、そこにはこれも赤色のマジックペンで、『ウソばっかりだ!これでは死んだ者も、戦った者も、浮かばれない!』と大書してあった」(35頁)とある。おそらく渡辺清の『鉄の城」か「戦艦武蔵の最期」(「砕かれた神」は入るかどうかは分からない)だろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学者が出す戦後史ものには絶対含まれない市井の個人的思索ものであるが、天皇のために戦争を戦った個人の戦後の感情とその理由が極めて明快に記述されている。
日記をベースにしているので、当日なり数日後の個人の考えが書かれていると思われるが、実際に出版されたのは相当あとなので、その編集時点でどれくらい変更されたかしりたいなと思った。
特に天皇の人間宣言に関しては、新聞を読んだ時点ではこの人は人間宣言という受け止め方はしておらず、「朕」を主語としている全体のメッセージに対して批判を加えている(この後の別の日には人間宣言という言葉を使っているが)。人間宣言との理解はその後のメディアの流れなのか、庶民にとっては単なる新年の挨拶程度の受け止めだったのか、そういう側面からの研究が待たれる。 -
4006030886 344p 2004・3・16 1刷
-
(まだ、読了はしていない)
歴史的資料として。信憑性について賛否があるようだが、しかし、資料にとどまらない完成度は高く評価できる。 -
そうだったのか!「常識」が揺さぶられるかもしれません。
この本が好きな人におすすめの本
渡辺清の作品
本棚登録 :
感想 :
