逆命利君 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006031022

作品紹介・あらすじ

命に逆らいて君を利する-住友商事の常務だった鈴木朗夫は抜群の企画力、折衝力、語学力と自己の美学をもち、屈従と非合理が支配する陰湿な日本的企業社会に対する果敢な挑戦者であった。ジャン・コクトーに心酔し、自分をムッシュウと呼ばせたこの気障な教養人の誇り高き生と死のドラマを描く佐高人物評伝の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 住友商事の常務を務め、56歳の若さで亡くなった鈴木朗夫の生きざまを描いたノン・フィクション作品です。

    コクトーの美学に傾倒し、恋愛に関しては「スタンダール的倫理観」にのっとり、自分の「弱さ」を棚に上げて被害者ぶる人間を嫌った鈴木は、およそサラリーマンの範疇を越えているというほかありません。そんな鈴木と彼を用い続けた伊藤正とのコンビを、著者は「社畜」批判という文脈の中で読み解いています。また、彼らのような存在を許した住友商事という会社の歴史を、その個性派の系譜を紐解いています。

    鈴木という男の生きざまに惚れるという読者も多いのではないかとと思いますが、こうしたタイプの美学を「社畜批判」という観点から捉えることに、若干の疑問も感じました。左翼という土壌では、よほど風通しを良くしておかないと鈴木の体現していたような美学は腐敗してしまうように思えます。個人的には、左翼にはやはり潔癖な左翼でいてほしいように思います(反対に保守に対しては、福田和也の言うように粋がっていてほしいと思います)。

  • 住友商事の常務まで昇りつめ、想い半ばに病に倒れた鈴木朗夫氏の伝記。

    学生時代に一度読み、今回、社会人になってからの再読ですが、本書を読んでの感想は、学生時代にもったものとは大きく異なる気がします。

    引用となる以下の文章は、特に今回、印象的でした。

    「男が生涯を通じてビジネスにコミットする以上、其処に厳しい倫理と端正な哲学がなければ何の意味もないと思いました。多くの人たちが思想を離れ、哲学で飯は食えないよとうそぶく軽薄の時代に、哲学ある利潤を求めることはとても意義のあることであり、津田さんがそのような価値ある挑戦の場として、我々に住友商事を与えてくれたものと理解しました。」

    一体自分が、何のために、どういう理由で、どういったやり方で、その仕事をしているのか。
    日々の中に見失いがちな物事の本質を、改めて思い起こされたように思います。

  • 再読。保守的な自分に危機感。命に逆らいて君を利する。住友商事の常務だった鈴木朗夫は抜群の企画力、折衝力、語学力と自己の美学をもち、屈従と非合理が支配する陰湿な日本的企業社会に対する果敢な挑戦者であった。

  • ジャンコクトーを愛し、男と仕事の確固たる哲学を持った住友商事の常務まで上り詰めた鈴木という男のかっこよすぎる生き様。

  • 住友商事の鈴木氏の物語。こういう人に私もなりたい。
    強い敵は尊敬される。タフネゴシエーターになる。
    頑張るところは頑張って、相手に損愛を認めさせるところからネゴシエーションは始まる。
    鮮明に自己主張する。
    対決の場面では理由なく譲歩することはしない。
    投げられた玉はホールドせず即座に投げ返す。
    妥協する場合は情緒的な妥協でなく必ず論理ある妥協をする。
    相手に押し付けられた、損をしたと思わせてはいけない。良いDealをしたと思わせる。

  • 住友商事の常務、鈴木氏の生涯を綴ったもの。

    ジャンコクトーに心酔し、自身をムッシューと呼ばせた文科系商社マン。
    こんな人もいたのかと思うと、住友の環境はやっぱりすごいと思う。

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著者プロフィール

1945年、山形県酒田市生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。高校教員、経済誌編集長を経て、現在、ノンフィクション作家、評論家として活躍中。「憲法行脚の会」呼びかけ人の一人。「週刊金曜日」編集委員。著書に、『西郷隆盛伝説』『安倍晋三と翼賛文化人20人斬り』『誰が平和を殺すのか』『平民宰相 原敬伝説』『敵を知り己れを知らば』、共著に、『安倍政権を笑い倒す』『難局の思想』『戦争と日本人』『原発と日本人』など多数。

「2018年 『佐高信の昭和史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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