シャドウ・ワーク―生活のあり方を問う (岩波現代文庫)

著者 : I.イリイチ
制作 : Ivan Illich  玉野井 芳郎  栗原 彬 
  • 岩波書店 (2006年9月15日発売)
3.60
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006031381

作品紹介

家事などの人間の本来的な生活の諸活動は、市場経済に埋め込まれ、単なる無払い労働としての"シャドウ・ワーク"へと変質している。そのような現在の生活からの脱却を企て、人間の生き方として、言語・知的活動から、平和の問題までを縦横に論じる。鋭い現代文明批判で知られるイリイチの思想理解への格好の書。

シャドウ・ワーク―生活のあり方を問う (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 貨幣交換的なやりとりが支配的な現在の社会の中で、貨幣的でない交換形態をいかに実現するか。そのことを考えていきたいと思うのだが、本書では、あまりそのことについては触れられていないようである。以下の文章をヒントにしつつ、このことについて具体的な事例に即しつつ考えていくのが、私たちの仕事なのかもしれない。

    「成長志向型の仕事は、その活動が賃金の支払われるものであるとなかろうと、いやおうなしに活動の企画化と管理をもたらすのである。
     コミュニティが人間生活の自立と自存を試行する生活の仕方を選ぶときには、いまとは正反対の仕事観が広がってくる。その場合には開発を逆転させること、消費財をその人自身の行動に置きかえること、産業的な道具を生き生きした共生の道具に帰ることが目標となる。そこでは賃労働と<シャドウ・ワーク>はそれこそ影をひそめるだろう。なぜなら、賃労働と<シャドウ・ワーク>によって生み出される生産物である商品やサーヴィスは、ひとつの目標すなわち従順な消費として評価されるよりも、むしろ主として、創意に富んだ活動のための手段として評価されるからである。そうなると、レコードよりもギターが、教室よりも図書館が、スーパーマーケットで選んだものよりは裏庭でとれたもののほうが、価値あるものとされる。」(pp.51-52)

  • 「平和とは貧しい者とその生活の糧を、戦争の暴力から守るということを意味していたのだ」p.31

    ひとくちに「平和(パックス)」といっても、宗教によってその定義は違うし、このごろは経済的な平和(パックス・エコノミカ)が平和の定義の主流になっている、というのはわかりやすかった。
    本当の「平和」は、個々の人々の暮らしによって異なるに違いありません。
    911、311以後は「経済」の危うさが実感として日本人の中にあるように思います。経済や文明の発展の影(シャドウ)に隠れた、私達が本来求めている生活、平和はなんでしょう?本書の副題は「生活のあり方を問う」なのですが、私たちにとっては、まさに「見直し、問わなければい」タイミングにあり、一読の価値アリだな、と思いました。オススメ!

  • 賃金労働だけで現代社会を分析することの狭さを提起している点において有効である。
    社会は,お金だけで支配されている分けではないことを見落とすと,社会が薄っぺらくなってしまう。

    イリイチは社会と生活をうまく組み立てていこうとしている。

    翻訳者の玉野井芳郎がめざすところが,イリイチの方向性とうまく組合わさっている。

  • 備忘のため、登録しました。
    読んだのは、いま、ではありません。

  • 読了メモ。I.イリイチ『シャドウ・ワーク 生活のあり方を問う』。サービス・サービス・サービス。生活のあらゆる場面にあるサービスという抽象化された賃労働=市場における経済関係。そこにのらない具体的な働きは無価値なのではない。人間として歓びを共にして生きるヒントを散りばめた一冊。

  • 436夜

  • イヴァン・イリイチが亡くなって、すでに7年が経とうとしていますから、当然のことですけれど、最近は彼の著書を書店でも見かけたことがありませんでしたが、岩波現代文庫に2006年から入っていたのですね。

    私が読んだのは1982年刊行の単行本ですが、ええっと、影の存在のような家事・育児など日常生活の様々な活動は、表立った市場経済の陰に隠れて、低い価値のないもののようにおとめられている。そこから脱却しないと、本当の意味の人間の生き方は出来ないと喝破したものでしたが、(こんな感じで良かったのか、何しろ高3の時に読んだきりですので、あまり当てにはなりません)実は、この本より先に、注目して読んだ本がありました。

    それは『脱学校化の社会』(1971年刊行、日本での翻訳刊行は東京創元社より1977年・小澤周三訳)という本で、ちょうど学校に対して不満や疑問を抱いて拒否しようとしていた時に、まだ最終的な分析がなされた訳ではありませんが69年前後の全共闘運動の一応の限界性を踏まえて、一方でコミューンや共同体や結社に関心を持ちつつ、他方でシュタイナー教育やフリースクールあるいは自由大学とか、片っぱしから首を突っ込んでいる時に、衝撃的に出会った本です。

    目から鱗、とは、このことを言うのですね。簡単なことでした。学校なんていらないんだ、です。

    あっ、今ヒョッコリ浮かんできましたが、学校とは資本主義にとって都合のいい人間を作るだけのもの、資本主義の奴隷製造工場だ、って言ったのもイリイチだったかどうかは思い出せません。

    ・・・・・

  • 「戦争はすべての文化を同一化する傾向があるが、平和は、それぞれの文化に独自の、他とは比較できない方法で花を開かせることを可能にする。」
    平和とは輸出できない。平和の輸出は必ずや戦争を意味する。
    パックスエコノミカは、人間生活の自立を志向するものに「不生産的」、自立的なものに「非社会的」、伝統的なものに「後進的」というレッテルを貼る。

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