見ることと見られること (岩波現代文庫 社会 157)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006031572

作品紹介・あらすじ

かつて人は、共同体のなかで他者の視線を浴びながら自己を形成していた。メディア社会の現代では、見る/見られる関係は大きく変容する。視線を浴びる人と見るだけの人に分化した現代人の危機。どんな時代でも、誰かのまなざしに見守られることが人間には必要である。映画評論の第一人者による視覚文化からみた現代社会論。

感想・レビュー・書評

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  • かつての日本では、晴れがましく見られる機会が文化の中にありました。結婚式、成人式、花見などです。見ることと見られることのバランスがとれていました。ところが、こうした文化が廃れ、見られる人となる機会は減り、TVを使って一方的に見る人になる機会は増えました。見ることと見られることのバランスが崩れるとよくないと筆者は説いています。

    この後、本では「喋ることと喋られること」、「笑うことと笑(え)むこと」について語ってから、筆者の本業である映画評論と絡めて、映像文化のこと、「撮る人と撮られる人」などについて書いています。

    一本筋の通った読み応えのある評論を読みたい人におすすめです。
    詳しくは http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120613/1339560741

  • 見る・見られるの関係性を、視覚だけでなく映像文化や伝統儀式、その推移から考察しているのが面白かった。その点、さすが映画評論の第一人者。本来目的にしていた見る・見られるについての論述よりも、芸術・映像文化がその担い手とともにどのように変遷していったのか、の歴史が興味深かった。次の本の動機になった気がする!

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著者プロフィール

1930年、新潟市生まれ。「映画評論」・「思想の科学」の編集にたずさわり、その後、映画評論家として活躍。日本映画学校校長を歴任。数多くの映画人を育てる。1996年に紫綬褒章を受章。アジアや中東の映画にも精通し、映画文化の世界的な貢献にも寄与。主な著書に、「日本映画史」(岩波書店)「黒澤明の世界」(朝日新聞社)「映画をどう見るか」(講談社)など多数。

「2009年 『意地の美学 時代劇映画大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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