生きることの質 (岩波現代文庫 社会160)

  • 岩波書店 (2008年1月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (260ページ) / ISBN・EAN: 9784006031602

みんなの感想まとめ

テーマは、終末期医療と人間の尊厳に関する深い考察であり、著者は日本の医療現場の課題を鋭く指摘しています。特に、延命治療が患者の生活の質を損ない、尊厳を奪っている現状に警鐘を鳴らしています。著者は「死は...

感想・レビュー・書評

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  • 1980年代〜90年代の講演を中心にまとめた本であるが、日本の遅れた医療の現場を鋭く指摘しつつ、ホスピスの必要性や、末期患者の尊厳について問うた本であった。本書の中で日野原さんは、日本の病院で患者が死に行くさまは悲惨であるとしている。延命に延命をかさねて、チューブが身体中に刺さり、酸素マスクがされた状態では、残されたわずかな時間で家族と対話することもままならない、と。本書が書かれた時代から、だいぶたっている。ホスピスという存在も認知度が高まった。しかし、やはり終末に不自由なまま、自分の人生を総括することなく、病院の天井を見つめ亡くなる人はまだたくさんいる。日野原さんは「死は行動である」と言っている。死はアクションのひとつであり、ゴールなのだという。どうしても人間は壮年期に活動も自由度もピークを迎え、老年期にはただ死を待つのみと考えてしまいがちだが、ゴールという目標に、どのような人生を送って飛び込むかということを考えさせられる本であった。

  • 日野原さんは二度、生命の危機に瀕したことがあるそうだ。
    二度目はよど号ハイジャック事件に遭遇したこと。
    生還した時、残りの人生は人のために、と挨拶状に記したとある。
    キリスト教の教えに支えられた言葉であったのかもしれないが、やはり感銘深い言葉だと思う。
    親は子供に「お返し」を期待してはいけない、その子が人や社会のために何かできれば、それで十分と考えるべきだ、とも。
    なかなかできない考え方だが、尊いものだと思った。

    本書は1990年前後のエッセイを編んだものの由。
    日本の終末期医療の問題を憂う内容が多い。
    必要のない医療を施し、QOLを下げているというのがその概要だ。
    二十年経ったが…現状はどれほど変わっているのだろうか。

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著者プロフィール

1911年山口県生まれ。1937年京都帝国大学医学部卒業。1941年聖路加国際病院内科医となる。学校法人聖路加国際大学名誉理事長、聖路加国際病院名誉院長、一般財団法人ライフ・プランニング・センター理事長などを歴任。予防医学の重要性を指摘し、医学・看護教育の充実、ターミナル・ケア(終末期医療)の普及に尽力。2000年には「新老人の会」を結成。1999年文化功労者。2005年文化勲章受章。2010年には国際コルチャック協会名誉功労賞受賞。2017年7月18日逝去。

「2022年 『2023年版『生きかた上手手帳』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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