- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006031633
作品紹介・あらすじ
幕末の蝦夷地を十数年間も探検・調査し、アイヌ民族の風俗・文化を記録する中で和人による虐待を告発した松浦武四郎。大地に根を張り、固有の習俗を育んできたアイヌ民衆の輝きとは何か。なぜ彼らは抑圧の下で呻吟することを強いられているのか。記録者としてアイヌ民族の受難に向き合うなかで、自己変革を遂げていく松浦を描き出す入魂の評伝。
感想・レビュー・書評
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3.8/59
内容(「BOOK」データベースより)
『幕末の蝦夷地を十数年間も探検・調査し、アイヌ民族の風俗・文化を記録する中で和人による虐待を告発した松浦武四郎。大地に根を張り、固有の習俗を育んできたアイヌ民衆の輝きとは何か。なぜ彼らは抑圧の下で呻吟することを強いられているのか。記録者としてアイヌ民族の受難に向き合うなかで、自己変革を遂げていく松浦を描き出す入魂の評伝。』
『静かな大地』
著者:花崎 皋平(はなざき こうへい)
出版社 : 岩波書店
文庫 : 390ページ
ISBN : 9784006031633詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
松浦武四郎の功績のひとつが、アイヌ民族の搾取の歴史を歴史上、明らかにしたこと。
この本では、著者が、松浦武四郎が残した記録に沿って北海道各地を周り、当時松浦武四郎が残した史実を改めて明らかにしつつ、解説を加えている。
当時、松浦武四郎が残した書物は公にされず、松浦家にて保管されていた。
日本史の秘部にあたる史実をこのように知ることができることは貴重だ。
松前藩が採用した場所請負制の仕組み(そのような制度に至った背景)、搾取の実態、アイヌの婦女を妾に強要するなど、民族存続の危機に晒されていたこと等々、読んでいて気分を損なうところもあるのだが、歴史の暗部を避けず、そこから学ぶことが重要だし、学ぶことは多々ある。 -
アメリカに開国を迫られ、北方からはロシアの脅威が迫っていた幕末の時代。北方調査のために蝦夷、樺太を探検した松浦武四郎は、アイヌ民族に対する和人の圧政、虐待、間接的な虐殺を目の当たりにする。
本書は松浦武四郎によるアイヌの地の複数回に及ぶ厳しい旅路を追っていく。その中で和人に支配されていたアイヌの惨状やアイヌの暮らし、文化、風俗、精神をありありと描き出す。
圧政の中でも、アイヌとしての生き方を守り抜き、純朴な暮らしを全うしようとするために、命を懸けて抵抗する魅力的な人々も多く登場し、胸を熱くさせられた。
一元的な視点で歴史を見る時代は終わり、多元的な視点で、様々な立場から歴史について考えられる時代になったのだからこそ、もうひとつの視点を獲得するために、一冊読んでおいて損はないと思いました。 -
Blog"蚕の桑"<a href="http://blogs.dion.ne.jp/calimero/archives/2305177.html " target="_blank">2005-11-17(蚕)</a>
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「そこには「ただ真実を伝えたいと考えたためである」とアイヌのおかれた現状を真摯に伝えようとするルポルタージュ作家の姿、アイヌとの交流が今によみがえるかの如く描かれていた。<a href="http://blogs.dion.ne.jp/calimero/archives/2305177.html " target="_blank">...続きを読む</a>