- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006032043
作品紹介・あらすじ
二〇〇五年二月、大阪の小学校で教師殺傷事件が起きた。犯人は対人関係にハンディキャップのある十七歳の少年。「凶悪不可解な少年事件」に少年審判や刑事司法はいかに向き合ったか。動機や責任能力をめぐり精神医学が直面した難問とは何か。真の贖罪・更生には何が必要か。綿密な取材から描く迫真のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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地裁の判決文に非常に苦労が偲ばれる。ただ、素人判断ではあるが、自閉症というより統合失調症に思えてならない (p.198で否定しているのは解離性障害ではないか?)。[more] そのためなのか判らないが、「人を刺す(ことで死亡する)」と「自分を刺す(ことで自殺する)」の2点が、どこまで一致していたのだろうかという疑問をぬぐえないままとなってしまった。この意味では高裁の「未必的殺意の限界線上」というのが司法の判断だろうか。
厳罰化が社会の要請としてあり更生の場として(少年)刑務所の充実が図られるのであって、弁護人の言う「拡充を持って逆送をしやすくなる」というのは本末転倒の解釈に思える。また、刑務の現状を持って減刑をするのも本末転倒ではないか。
ちなみに、犯行に及ぶ前のセーフティネットを拡充する必要性が最後にとってつけたように書かれているが、それも大事でありその点は他本の方が参考になると思う。 -
2014.11―読了
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摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99226932 -
NDC(9版) 326.23 : 刑法.刑事法
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広汎性発達障害や、少年法・刑法、矯正のありかたなど、丁寧に書かれており、引っかかるところが少なかった。広汎性発達障害という概念の登場で、教育、医療、法が今後変わっていかざるを得ないことが本書からもよくわかる。
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前作の、著者の考えや分析や洞察とかがよかったので、前作よりかなり少ないのがざんねんでしたが、
専門家たちの証言やことばインタビューなどはよかったです。特に十一さんのところ。
意見陳述?っていうのかな、
被害者のつらさしんどさはわかるけと、学校教育者なんだからもうちょっと言うことないの?うらみつらみばかりじゃない?
そこの部分で正直なところ思った感想です。
そんなこんなを含めて、考えることのできるよいルポです。 -
裁判内容の引用が感情的にならず的確だった。著者の主観が入りすぎず、事実に即して分析するだけに止めてある。これが読み進めていく上で邪魔にならず読みやすかった。裁判所は熟慮して判断を下したと言えると思う。読んでいて、この様な事件を扱った事例が少数であるためか裁判所側の困惑を浮き彫りしていると感じた。
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広汎性発達障害への理解が深まった。少年院と少年刑務所の違いもわかった。とてもよく整理されていて、作者が提起している問題も明確に示されていた。
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とてもよいルポルタージュになっている。きちんとした取材と感情的に傾かない論評が好感を持てる。裁判の引用が多いのがよい。レッサーパンダ帽の裁判はとてもひどいものだったが、それと比べるとこの事件はそれなりに前にすすんだ裁判内容になっている。がしかし高等裁判所の判断のしかたはあっけにとられてしまうくらいにドカチ頭杓子定規だった。