龍のかぎ爪 康生 下 (岩波現代文庫 社会236)

  • 岩波書店 (2011年12月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784006032364

みんなの感想まとめ

政治的陰謀と裏切りが渦巻く中で、康生の複雑な人間性が浮き彫りになる物語が展開されます。下巻では、人民共和国建国から康生死後の六四天安門事件までの歴史が描かれ、特に康生の最期の裏切りが印象的です。彼は長...

感想・レビュー・書評

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  • 上巻の感想を書き終えたので次は下巻の感想。
    下巻では人民共和国建国から康生死後の六四天安門事件まで。
    下巻で最も面白い章は第二十一章の康生最後の裏切り、という章であろう。今まで協力してきた江青や張春橋を裏切り者として告発しようとする場面は、康生の自分以外は誰も信用していないところがうかがえる。もしも毛沢東が窮地に陥ったら、康生は何かしらの罪で告発して毛沢東を裏切るつもりでいたのであろう。
    毛沢東死後に四人組は逮捕されたが、著者はもしも康生が毛沢東死後に生きていたとしても、何らかの罪を四人組に被せて逮捕されずに生き残っていたと推測しているが、私もこの意見に同意する。

  •  毛沢東の顔色を窺いながらのキャンペーン。果たして毛からみた康生はどんな人物だったのか、毛が利用していただけなのか、気になった。
     自らの手足として動いていた人間をも切り離し、蹴落としてゆく残虐性。政治土壌かもしれないが、中国人がどの舌でものを言っているのか、懐疑的にならなければならないという事、何度となく繰り返されてきているこの事、またもや痛感した。
     一党内の派閥抗争はすさまじいが、政策が失敗しても、独裁である限り毒消しにはならない。康生を悪人にしたことで、生き残りも・・・
     年表、人名索引などが充実している。
     
     

  • ジョン・バイロン/ロバート・パック(田畑暁生訳)
    『龍のかぎ爪 康生(上・下)』(2011/1992原著)を読む。
    魔力のある本である。

    中国現代史の暗黒面を
    毛沢東の背後で一手に引き受けた感のある男、それが康生だ。
    1975年、77歳で死去したとき、
    毛沢東、周恩来に次ぎ中国共産党序列三位であった。
    その名は意外なほど知られていない。

    康生は権力を手に入れるために謀略の限りを尽くす。
    裏切り、拷問、略奪はモスクワ仕込みである。
    農民、軍人出身の政治家が多数を占める中国共産党で
    康生は知的であり洒落者であり芸術を愛する。
    書と画の腕前もなかなかであった。
    いまでもすべての謎が解明しきれていない文化大革命の、
    最初の火付け役を背後であやつったのも康生である。

    もし彼が病に冒されず、
    毛主席の死後、最高権力者の座を手に入れていたとしたら……?
    歴史ではタブーの「もし」を僕は考える。
    おそらく中国、日本、東アジア、そして世界は
    いまの構造、パワーバランスとは異なるものになっていたろう。
    田畑光永(現代中国研究者)が解説の最後にこう書いている。

       党内における権力の不透明性、
       党外の反権力に対する躊躇なしの実力行使、
       いずれも康生の育てた土壌である。

                       (p.302)

    死後5年で党籍剥奪、反革命集団の主犯。
    現代中国の権力者たちは康生を遠い過去の遺物にしようとする。
    しかし「民権」に関する限り、
    中国の暗黒面は変わっていないと田畑光永は指摘する。

    本書は訳者・田畑暁生が大学院生のとき
    出版のあてもないまま翻訳した原稿が元になっている。
    それからおよそ20年後、
    岩波書店編集部・林建朗が出版を実現した。
    原著者二人とも連絡を密にして仕上げた労作の日本語版。
    文献一覧、書誌、人物注解、
    康生年譜、事項・人名索引がきわめて充実している。
    中国現代史の理解を深めるために必読の書である。

    原題は、

       THE CLAWS OF THE DRAGON
       Kang Sheng, the Evil Genius behind Mao
       and His Legacy of Terror in People's China1992
       by John Byron and Robert Pack

    Dragonは毛沢東であり、
    Claws=かぎ爪は毛の汚れ役を引き受けた康生である。
    「康生、毛の影にいた悪の天才と人民中国における恐怖の伝説」。
    副題が内容を簡潔に要約している。
    本書は僕が信頼する書評家のひとり坪内祐三が
    『週刊文春』に連載するコラムで知った。

    (文中敬称略)

  • 康生を通して現代中国史が見える。下巻も康生を白日のもとに晒すという意図が見え見えの筆癖はありますが・・・。
    康生死後の天安門事件すら、康生の亡霊があるかのような書き方。
    最終的には、現在の一党独裁の中国を批判することで終わっているようです。
    たびたび、中国の歴史を持ちだして、康生も歴史に習って・・と言っていることで、中国の過去も現在も、すべてに難癖をつけているようだ。
    執筆されたのが1991年ということで、まだまだ生々しい時代だったからかもしれませんが。

  • 目 次

    地図(中華人民共和国全図/康生の北京)

    第三部 皇帝の庭で

     第10章 家庭の事情
     第11章 佞臣の復活
     第12章 ロシアという切り札
     第13章 演劇愛好家
     第14章 破壊のリハーサル

    第四部 文化大革命の後見人

     第15章 演劇、事件
     第16章 「混乱を恐れるな!」
     第17章 蜘蛛が巣を作る
     第18章 地獄の王
     第19章 康生コレクション
     第20章 林彪の陰謀
     第21章 最後の裏切り
     第22章 康生の遺産


    訳者あとがき

    解説         田畑光永

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