ことばを鍛えるイギリスの学校――国語教育で何ができるか (岩波現代文庫)

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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032517

作品紹介・あらすじ

独立した個人を目指し、生きる力を身につけるイギリスの子どもたち。圧倒的な密度で行われる国語教育で、創造性、想像力、論理力が日々鍛えられる。著者の三人の息子たちのナーサリー(保育園)から大学までの経験をふまえ、その教育の実態を具体的に紹介する。アップデートされたナショナルカリキュラムの内容と最新情報を含めた改訂版。

感想・レビュー・書評

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  • イギリスの初等・中等教育について、国語教育を中心に、政策的な背景やカリキュラム・現場の教えかたなどを、筆者が現地で子育てをした経験も交えて紹介した本。
    日本と比べて違いは色々あり(たとえば、中学と高校というふうにわかれてない。15-16歳の頃に学ぶ科目は3-4科目にしぼる。プロジェクト型の課題も多く出される。レベル別にクラス分けされることもある。等)個々のやり方についてどちらがいいと一概にはいえないと思うけど、根底にある教育の目標として、教室の中だけでなく人として生きていくにあたり支えになるような知識やスキルを習得させようとしてるんだなと感じた。

    そしてその方法としては、とにかく実践を重ねることと、そのときに目的や技法を意識すること(メタ認知といわれるやり方に近いのかなと思った)が大事にされているようだった。

  • 英国の教育システムについて、著者とその子供達自身の体験も踏まえて分かりやすく記述されている。

    いかに自分の考えを持ち、それを発信するかに重点が置かれているといえる。
    日本とは対極的ともいえる教育哲学であり、参考にすべき点が多い。

  • イギリスの学校教育について、息子たちを育てた経験からのレポート。特に全ての科目の中心にある国語教育について。読んで面白い本では無いけど、興味深い本ではある。異国の教育事情を具体的かつ淡々と述べているからこそ、教育ってなんだろうと考えるヒントがある気がする。
    何よりも「読むこと」「書くこと」「話すこと」「聞くこと」といった国語力は日本ももっと重視した方が良いと確かに思った。

  • イギリスでの初等、中等、高等教育が概観できた。
    どこの国も同じだなぁ・・と思うのは、行政が試行錯誤して次々に法律などを変えるので、現場や子供たちは、いつも悩まされている。
    意外だと思ったのは、イギリス人の反日感情。
    第二次大戦では、捕虜となったイギリス人がずいぶんひどい眼に合わされたらしい・・・・。

  • 図書館で、タイトルから興味を惹かれて読んだ。
    自分が言葉を扱うのが苦手なので、そこに力を入れてる海外の話が気になってのこと。

    ◯興味深かったところ
    ・赤ちゃん言葉を使わない。子供から話を聞き出す。 幼稚園のときから、一言日記。読み聞かせは、ただ読むだけでなく、展開を想像させる。行動の理由を問う。→子育てする上で参考になりそう。
    ・中学生のときの村の調査体験談。プロジェクトからの学び、反省も報告対象。報告に必要な項目は予め提示あり。→中学生でここまでの調査学習はなかったな。学校の中だけのお勉強だけ。仮定、調査、報告、チェックを実地で行なっていて、イギリスは生きていく、仕事していくのにつながっていると思った。イギリスのこんな教育受けてたらすごい仕事できそうだけどどうなんだろ。
    ・自分は、就活のときに初めて自分をアピールしたり、グループディスカッションしたりで、苦手だし、お作法わからず太刀打ちできなかった。まぁ出来る人は出来るだろうけど、日本では自分で気付いて身につけていかないといけない。イギリスは、教育の中で身につけられるようになってて、元々できない人でも底上げになってるのだろうな。紹介されていたイギリスの教育目標は、コミュニケーションや思考で求められること。言葉を使うにあたって必要なことがあげられていると思えば、能力改善のヒントにもなるかも。

  • イギリスでの国語教育の全体像がよくわかる。とくに政府主導によるカリキュラムづくり。欲を言えば、もう少し学校の現場からの視点がほしいかな。学校の現場としてどうような意図をもって実践しているのか。やや著者の子どもの主観に偏っている感。

  • 日本と同じように小さな国があちこちの国を占領し、英語を使わさせ、さらには世界共通語にさせてしまった。私にはそんなイメージのある国、イギリス。その国ではどんな教育をしているのか。
    著者が長年、イギリスで生活し、子供を学校へ通わせる中で見える、イギリスの教育法や考え方が見えてくる本だった。
    書籍の中に書かれている学校では、本のタイトル通り、本当によく言葉、母語である英語を鍛える授業が多かった。こんなにも幼い頃から英語を徹底しているのでは、言語で、イギリスには到底太刀打ちできないのではないかと思わされてしまった。
    いつまで続くかは分からないが、少なくとも私が生きている間は、英語は世界共通語である。その言語をやはり学ばなくてはいけないが、それを母語とする民族には到底かなわない。だから、英語を学びながらも言語だけではなく、歴史や技術やさまざまなことを身につけていきたいと思った。
    それから、他の国を見る事で、日本とはどんな国なのかということも今後、考えていきたいと感じた。日本語もしっかり書けるようにならなくては。

  • 著者は1986年からイギリスに住み、その後、同国の大学に勤め、息子三人をイギリスの学校で教育を受けさせた。その経験から著者が知ったイギリスにおける英語教育のパワーを紹介する書である。
    著者の観察によれば、イギリスにおける教育理念は、<span style='color:#ff0000;'>確固たる自己を持つ「個人」をしっかり作っていくことにある。社会の中で自分の場所を持ち、集団内でもコミュニケーションを通じて貢献していくことができる「個人」である。</span>それには<span style='color:#ff0000;'>英語を自在に扱う力</span>が最も重要となる。英語を用いて、事実を調査分析し、それに基づいた自己の意見を組立て、構成を整えて効率的に伝達する、もしくは創造的に美しい表現で新しい概念を産み出すことができるような人材を作っていくことが望まれているのである。
    そのためにイギリスの学校では、<span style='color:#0000ff;'>「読み」「話し」「書く」を徹底して教える</span>。
    読むことについては、幼児と呼べるような早い時期からステップを踏んで、その分野でもっともすぐれた作品、時代や場所についての感覚を拡げるような作品について、豊富な読み聞かせ、読書が奨励される。十代になれば、シェークスピア、演劇、詩など伝統的な文学についても濃厚に触れる機会が与えられ表現技法についても学ぶこととなる。目標は自分の<span style='color:#0000ff;'>オリジナルな読み方ができる「識別のできる」読者</span>になることである。

    話すことについては、身近な題材から始まり、課題研究の発表にいたるまで、適切な構成と内容で伝えることが重視される。教師の丁寧な方向付けとフィードバックが重要である。
    書くことについても同様である。構成、修辞、説得力や魅力のある書き方について、作文やプロジェクトペーパーの作成をみっちりとやらされる。

    こういった教育こそイギリスの伝統なのであろう。

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