過労死は何を告発しているか――現代日本の企業と労働 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
4.43
  • (4)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 64
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032623

作品紹介・あらすじ

なぜ日本人は死ぬまで働くのか。なぜ過労死は依然として減らないのか。本書は過労死問題の第一人者がこの四半世紀を踏まえて、働きすぎのメカニズムを検証する。労働時間について、会社のあり方について、その実態を正確につかむことがまず求められている。過重労働とストレスがもたらされる要因を具体的に解明し、過労死・過労自殺をなくす方策を展望した本書こそ、全勤労者とその家族必携の一冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 同シリーズの熊沢誠の本に比べて概説的
    どちらかといえば熊沢本のほうが好き

  • 日本の長時間労働の実態、過労死研究、実際の過労死事件や過労死対策に一貫して取り組んできた著者の長年の労作ともいうべき著書。データを交えて分かりやすく書かれており、しかもこれまで著者が取り組んできた情熱が迸り、読者にも事の重大さがヒシヒシと伝わってくる。残念ながら故人となった今、著者は、やっと途についた「働き方改革」をどう見ているのだろうか。

  • 公平な契約や法体制で成り立っているはずの現代日本において、過労死がなぜ生まれるのか。一つ一つのケースとその背景・構造を我が身に引き当てながら、重い気持ちで読み進めた。

    基本法の制定に加えて、男女雇用機会均等や介護の問題と同様に一人一人の意識の変革が必要な問題であると感じた。

    追記:「過労死等防止対策推進法」が本書発行後の2014年11月1日より施行されている。

    ・ILOの有給休暇条約
    ・賃金不払い残業は最大の企業犯罪
    ・豊田労基署の相談員に豊田関連の天下りOBがいたという問題。
    ・労働者の権利の軽視と消費者の利益の重視。
    ・2012年3月の大卒者のうち、60%が就職者。内定率9割に惑わされてはいけない。
    ・15~34歳の死亡原因のトップは自殺で、先進7カ国では日本のみ。
    ・労働基準監督官の圧倒的不足。5%前後の事業所しか見れない。

  • しんどかった…
    特に寝る前に読むのはダメ。お勧めしない。
    でもみんな読むべき。就職前の子供には、これのダイジェスト版なんかあったらいいな。

  • 戦後に本は人権尊重と個人の尊厳が定着する前に企業組織だけが突出して成長し、企業の価値規範が社会生活全般を律するまでになった。35

  • ここにこうして改めて過労死について学ぶと、日本という国で働くことが本当に嫌になる。
    戦後の高度経済成長のときから、日本人は働きすぎることをむしろ誇りにしていたのでしょうか。
    戦後復興のために身を粉にして働く。
    それは戦中の意識と大差ないではないか。
    お国のため・・・・・・。
    経済成長が生んだ負の遺産ともいえる「会社奉公」
    お国奉公。
    現代もその亡霊に悩まされ続けている。
    経済も大事だけど、亡国となってしまっては身もふたもない。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1944年3月24日 大分県大野郡大野町(現在・豊後大野市)に生れる
1962年4月 香川大学経済学部に入学
1966年3月 香川大学経済学部を卒業
1966年4月 京都大学大学院経済学研究科に入学
1969年9月 京都大学大学院経済学研究科博士課程を退学
1969年10月  大阪外国語大学助手、のち講師
1974年4月 関西大学経済学部講師
1983年4月 関西大学経済学部教授
1996年 2月 ~2014年 8月 株主オンブズマン代表
1998年 4月 ~2001年 3月 経済理論学会代表幹事
2004年10月 ~2006年 9月 関西大学経済学部長
2006年 9月~2013年 7月 働き方ネット大阪会長
2013年 7月~2018年 8月  NPO法人働き方ASU-NET代表理事
2014年3月 関西大学を退職
2015年 5月~2018年 6月 過労死防止学会代表幹事
2018年8月1日 死去

「2019年 『雇用身分社会の出現と労働時間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森岡孝二の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×