ゆびさきの宇宙――福島智・盲ろうを生きて (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032814

作品紹介・あらすじ

目が見えず、耳も聞こえない。ヘレン・ケラーと同じような障害をもつ東大教授・福島智。三歳で目に異常がみつかり、四歳で右眼を摘出。九歳で左の視力も失う。一四歳で右耳、そして一八歳ですべての音も奪われる。無音漆黒の世界にただ一人。果てしない宇宙に放り出されたような孤独と不安。それを救ったのが母の考案した「指点字」とその「通訳」の実践だった。これまでいくつものバリアを突破してきた。生きること自体が戦いだ-。彼に引き込まれ、追いかけながら、考えた。生きるって何だろう。

感想・レビュー・書評

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  • 全盲ろうの東大教授、福島智氏の半生を、朝日新聞社の記者が描いたドキュメンタリー。今まで黙殺されてきた「盲ろう」者たちに焦点を当てる。

    わずか9歳の時に全盲、18歳で全盲ろうとなる。何も見えず、聞こえない。
    真っ暗の宇宙にただ一人取り残される恐ろしさ。人とコミュニケーションが取れなくなる、というのはどれほど恐ろしくて辛いことだろう。

    夫婦げんかのエピソードとかすき。

    生きていくうえではユーモアが大切。

    最後の方に丹後半島で田舎暮らしをしてる梅木好彦さんと全盲ろうの妻、久代さんがちらっと出てきてた。
    ちょうどNHKのドキュメンタリー「見えず聞こえずとも〜夫婦ふたりの里山暮らし〜」を観たばかりだった。
    朝から愛妻弁当を作って、仲良く朝ごはんを食べて、連ドラを触手話で通訳してもらって、旦那さんが出かければ一人で掃除も針仕事もする。お昼には旦那さんの仕事場にメールを送る。
    久代さんは壮絶な人生を送ってきたはずなのに、いつもにこにこしていて天真爛漫。好彦さんが救われた、というのもわかる。
    支え、支えられて生きるということ。

  • 【展示用コメント】
     「ぼくの指にきみの指が触れたとき そこにことばが生まれた」

    【北大蔵書目録へのリンク】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2001638112&key=B151608120923873&start=1&srmode=0&srmode=0#

  • たいへん感銘を受けた。
    本の主人公、福島智(さとし)さんは、
    盲ろう者(盲聾者)。
    見えず、かつ、聞こえない。

    そのようなハンデキャップを持ちながら、
    たくましく生きている。

    指点字という手段でコミュニケーションする。

    福島さんにとって、生きる上での力となっているのは、
    次の三つとのこと。
    1 ユーモアのセンス
    2 常識にとらわれない自由な発想
    3 自分の生きていることには、なにか必ず意味があるにちがいない、と確信すること

    「生きているっていうことがクリアされていれば、もう本当に80~90%以上、人生は成功してる」
    こんな言葉にも感銘を受ける。

    NHKの
    「課外授業 ようこそ先輩 みんな生きていればいい」
    を見たい。著者の
    「課外授業」です。

    あー、そーそー。
    本文で気になることが。

    日付を記すに「04年」「08年」と表現している。
    日本の年号で書けないもでしょうかね。

    著者も日本人だし、読む者の多くも日本人なのにね。

  • 「しさくは きみの ために ある」。
    4歳で目の異常のために右目を摘出、9歳で左の視力も失う。14歳でこんどは右耳が聞こえなくなり、18歳ですべての音を奪われた、盲ろう者・福島智。
    盲ろうになった直後、失意のうちにあった福島に対し、その手のひらに盲学校の友人が、指先で一文字ずつ書いてくれた。
    「思索は君のためにある」。
    友人のこのあたたかい言葉が、どれほど励みになっただろう。
    福島は、現在東京大学で教鞭を執る。研究分野は「バリアフリー」。思索は続く。

    光もなく音もない。宇宙空間に放り出されたようなものだ。自分の存在意義を考えずにはいられない状況だ。
    そんな彼だから言える「生きることが最大の仕事」という言葉が心に響く。多くの人に届けたい言葉だ。
    しっかり生きたその足跡こそが後世への最大の遺物になる。ぼくもあなたも。

  • 福島智さん・・・、本当にすごい人を知ってしまいました、という感じです。生井さんもプロの書きてで、感動してしまった。

  • 本人ではなく、第三者が追って書いてる視点が新鮮で、興味深く読みました。
    梅雀さんのドラマみて、原作の奥さんの著書を読んだのが、ずいぶん前になるので、
    その後のことや現在のことも、大変驚きつつ読みました。
    今もインタビュー続いてるのかな。次作もぜひ読みたい。

  • 令子の日記:誰も彼の今の苦労はわからないだろうワードと叫びたいだろう。目奪われ、言葉を失い、この上何を奪おうと言うのか、神はあるのか
    もうろう者は、他社と触れ合っていない状態では、完全な静かな夜の世界に入る。しかし、そこにコミニケーションが始まれば、窓が開かれ、現実世界と接続する。その移り変わりは劇的で、瞬間的になされ、しかも双方向だ。
    苦悩には意味がある。
    私は生きた点字 -いのちを持った会話の大切さを、盲ろう者とともに 広く社会に問い続けていきたいと思っている
    あとがきに「本書は、筆者が2008年に東京大学に提出した博士論文にかなり加筆訂正を行なったものである。」と書いている。
    508頁のボリュームは、驚き。352頁から巻末資料。感想文、指点字、成績表、新聞記事など多彩。渾身の力作です。

  • 「生きること」ができていれば「人生というテストの点数」はそれだけでもう90点
    光を奪われ、その上、音も奪われて盲ろうの世界を生きる福島智さん。東大でバリアフリー教育や障害学を研究する大学教授だ。
    福島さんの言葉は私たちの社会全体が、どのようになれば暮らしやすくなるかに直結している。「生きることが最大の仕事。より良く、豊かに生きる。そのために支え合う」そしてそこには「ユーモア」が不可欠なのだ。
    実際の盲ろう者は外出ひとつでも命懸けだし、死と隣合わせの生活は想像以上の苦労があるとは思う。けれど本書は障害の有無がサイドストーリーに思えるほど「生きること」そのものを肯定してくれる。

  • 全盲ろう(ヘレンケラーのような)の福島智さんの歩みなのですが、
    様々なことを考え、
    心があらわれるようでした。
    人の可能性とは、潜在的な力とは……。

  • 見えない、聴こえない・・・・。
    いかほどの苦難かと思われるのに・・・。

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