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Amazon.co.jp ・本 (300ページ) / ISBN・EAN: 9784006032838
感想・レビュー・書評
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著者のことは、佐原真と共同でいくつかの共著と「日本考古学事典」という重要な仕事をしているということで、親しみがあった。てっきりバリバリの考古学研究者だと思っていたので、むしろ考古学と役所との橋渡し的な仕事が長かったということを知りビックリした。しかしだからこそ、柔軟な発想をする佐原さんとは馬が合ったのかもしれない。
重要なことが幾つも書かれていた。
考古学は極めて実証主義的な科学的な学問ではある。が、それでも領土問題という極めて政治的ナショナリズム的な問題に、考古学研究者が動員されて来た。イスラエルやナチス・ドイツ、そして中国における南沙諸島、北朝鮮の壇君陵等々。考古学は、その扱う対象の性質から民族主義、国家主義、地域主義の影響から離脱することが極めて困難な学問であることは、知っておくべきことなのかもしれない。
日本文化財保護の歴史についても、まとまった論文がここに置かれてあった。知らないことも多かった。
80年代では、発掘に科学的な知見を応用するのは、非常にまれだった。田中さんたちの努力があって、今は当たり前のように理化学的な技術が動員されている。
ここに収められた文章の多くは、田中琢全集が発刊されない限り陽の目を見ないような様々な場所に書かれたものばかり。佐原世代の考古学者の問題意識がわかる好著だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
考古学で現代を見る
田中 琢
岩波現代文庫
ISBN978-4-00-603283-8
2015年3月17日で第一刷発行
刊行にあたって
Ⅰ ナショナリズムと考古学
考古学への途
グスクとシロとチャシと
ナショナリズムと考古学
領土・民族・考古学
海外調査と国際協力
アルタイの旅
ソ連考古学のゆくえ
アメリカ考古学へのある視点
Ⅱ 文化財保護法と世界遺産
生きている文化遺産
日本文化財保護小史
遺跡の保護と開発技術者
一点豪華主義の世界遺産
復元主義か歴史主義か
名勝――自然と人為
石見銀山遺跡を歩く
Ⅲ 発掘調査、いまむかし
考古学、みかけだけのはなやかさ
藤原京とその調査
平城宮跡発掘二〇年
木簡第一号発見のころ
焼山古墳群の調査
考古資料への視点
水中考古学――開陽丸の「発掘調査」
発掘調査と報道ブーム
Ⅳ 文化財科学の出発
文化財と探偵
アナログとデジタル
発掘を科学する
「ハイテク考古学」というけれど
原始時代は天国だったのか
ある考古学研究者のパーソナルなコンピュータ史
Ⅴ 学んだ人、学んだこと
梅原末治さん――刻苦勉励の人
小林行雄先生の仕事
小林さんと小林先生
坪井清足さん――考古学研究者とテクノクラート
横山浩一さんとの対話
考古学研究者 V・G・チャイルド
解説
初出一覧
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/6032830/top.html -
考古学は歴史学・・・と当たり前のことを再認識。
ハイテクが助けとなるが、基本はローテク。
田中琢の作品
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