ボタン穴から見た戦争――白ロシアの子供たちの証言 (岩波現代文庫)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032968

感想・レビュー・書評

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  • これが戦争か、とひしひし感じる
    平和に暮らしていたある日開戦し、わけもわからぬまま
    逃げ出し、場合によっては捕まり、銃殺され
    理不尽な非日常が日常になっていく

    子供の目線でのことなので
    誇張もなにもなく、あったことをそのまま
    ありのままに淡々と書かれているので
    本当にこれが戦争なのだ、と思える一冊
    語り継ぐべき記憶が埋もれず本になってくれたことに感謝

    この作者さんの他の作品も読んでみたいと思いました

  • 2016.03.23
    ノーベル賞作家アレクシェーヴィチ『ボタン穴から見た戦争』読了。ナチスに侵攻された白ロシア(ベラルーシ)の当時の子供達101人の証言。あまりの残酷さに何度も中断した。そんな状況下での人間の優しさに何度も涙。読書中の電車でも涙。前も言ったが彼女がノーベル賞で選ばれた意義は大きいと思う

  • 今もシリアの難民たち、そのなかでやはり多くの子供たちが死んでいる状況が続いている。地球から戦火が消えない日は来ないのであろうか。なんの罪もない子供や老人が安心して暮らしていける世の中はおとずれないのであろうか。生き残った子供たちは凄まじいPTSDに苦しめられたに違いない。それを想うと暗澹たる気持ちに陥る。

  • ソ連で第二次世界大戦を生きた子供達をインタビューした本。
    戦争は誰が起こしたのか、と一言で言えるものではないが、少なくとも子供達は完全に巻き込まれた被害者であることは間違いない。
    そんな子供達の視点だからこそ、戦争の悲惨さがわかる。
    自分は良い大人だが、勇ましくもなんともないので、祖国のために戦った女達より、ただひたすら運命に流された子供達の方が共感し、戦争の恐怖を感じた。
    ソ連で第二次世界大戦を生きた女達を書いた「戦争は女の顔をしていない」は、戦後の「戦争に参加した女性に対する社会の扱い」「大祖国戦争という祖国を守った誇らしい戦争であり悲惨さより栄光を伝える社会」など問題点にも焦点があたっていたが、こちらは戦争の悲劇が主な焦点だと思える。

  • 戦争は女の顔していない」に続くスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチの2作目。
    独ソ戦で大きな被害を受けた白ロシアの子供たちの証言集。
    そのまま読んでも相当なものだが、大木毅「独ソ戦」などで背景を知っておくと、彼らが置かれた状況がいかに過酷だったかがよくわかる。

  • ★4.0
    ナチス・ドイツの侵攻を受けた当時に少年少女だった、ソ連白ロシア(ベラルーシ)の子どもたちの証言集。個々が覚えていることは断片的で、当然ながら個人的なものばかり。それでも、全ての証言から切実さと深い悲哀、大きな痛みが感じられる。記憶は改竄されるものなので、子どもたちの語りの一部は補正されたものもあるかもしれない。が、例え補正があったとしても、子どもたちに強い衝撃を与えたのは紛れもない事実。そして、本書で語ることが出来た子どもたちだけでなく、命を落とした多くの子どもたちが居たことも忘れてはならない。

  • 2015年ノーベル文学賞受賞 ウクライナ生まれのスヴェトラーナ・アレクサエーヴィチの1941年にナチスドイツの侵攻を受けたソ連白ロシア(ベラルーシ)の当時15歳以下の子どもだった101人の証言集

    子どもの記憶と侮ることなかれ

    お母さんの喉から出る声を両手できいていた

    子どもだったから、覚えてる。子どもの時に戦争に遭ってパルチザンに入って精神的なショックを体験したから

    子ども時代も青春時代もありませんでした。私は、初めから大人だったような気がします。いつも大人の仕事ばかりでした

    子どもは何かを感じ、じっと見ていた
    普通の子どもの普通がこんなことであった時代
    タイトルが秀逸

  • 「戦争は女の顔をしていない」をとても興味深く読んだので、同じ著者の本が読みたい…と読んだもの。子供の頃にこんなに耐え難く悲惨で怖い時間を過ごし、それでも生き抜いて証言してくれた101人の人達に、話をしてくれてありがとう。
    言葉の意味やニュアンスがわからないまま読み進めているところが多々あるので、そういうものもちゃんと理解しとかないとほんとはイカンのだろうなぁ…
    この著者の本、出てるものは全部読んでみたい

  •  はじめに、の次2行文でやられました。これは刺激的な内容の様です。
     世界は今も戦争している。戦争は歴史上途切れることなく続いている。
     1941年ナチスドイツの侵略をうけたソ連白ロシア(ベラルーシ)で子供たちの証言を一つ一つ拾い上げたこの本。
     何とも言えない。歴史の教科書をもっているがこの事実は一行も書かれていない。それはなぜか。戦争は日常であり、歴史の転換点でしか取り上げられないからだ。日常の中にどれだけの犠牲があるかを考えさせられた一冊。

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