フードバンクという挑戦――貧困と飽食のあいだで (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032975

作品紹介・あらすじ

まだ十分安全に食べられるのに、ラベルの印字ミスや規格に合わないなどの理由で生まれる大量の「食品ロス」。その一方で、たくさんの困窮する人々や食べられない子どもたちがいる。両者をつなぎ、「もったいない」を「ありがとう」に変える、フードバンクという挑戦が日本各地で徐々に広まりつつある。携わる人々の思いと活動の実際、これからの課題をわかりやすく示す。

感想・レビュー・書評

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  • 川に流れてる赤ちゃんの話が、説得力あるフードバンク事業の意味を示していた。
    もし川に流れてる赤ちゃんがいたとしたら、川に投げ込んだ悪いやつを止める人が必要だが、今すぐ川に飛び込んで助ける人も必要だという話。

  • 「おにぎり食べたい」と日記に書き残して亡くなったひとり暮らしの男性のニュースは記憶に新しい。
    アメリカではフードバンクが誕生してから40年以上経っていて、システムも出来ている。
    日本にもフードバンクをと立ち上がったのはひとりのアメリカ人だった。似たようなシステムはもちろん日本にもあったが、企業が参加しシステムとして活動するにはアメリカでのノウハウが必要だ。ただ日本の企業はフードバンクに対しては弱腰のところが多いらしい。
    この本が刊行されたのが2008年。つい最近の新聞には日本で年間632万トンの食品ロスがあり、そのうちの約半分の302万トンは家庭から出たものだという。やはり日本には定着しないのか。

    2017.2.3…3

  • 新年一冊目にふさわしい本。
    フードバンクやパントリーの充実は急務。
    残念ながらこの国の格差と貧困は拡大していくでしょう。
    成長しきった大人にホルモンを投与して無理な成長を強いる戦略。思惑で市場を操作し都合の良い数字を取り上げて政策成功を捏造。実体経済から乖離した電脳市場で繰り返されるイカサマ賭博。
    それらを放置すれば一部の富裕層と権力者は潤うが、しわ寄せは今後も中間層以下を打ちのめし続ける。

  • 食品ロスとフードバンクのことを勉強する必要があって読みましたが、フードバンクの実情の勉強になるだけでなく、寄付や弱者救済といった「いいこと」をするためにも様々な観点や立場による意識の違いがあることに気づかされた一冊。日本と欧米の感覚の違いも面白い。
    フードバンクを必要以上に美化したり持ち上げたりすることなく、フードバンクというシステムの抱える課題や本質的な問題点についても真摯に記しているのがよかった。

  • 賞味期限、消費期限切れ、パッケージ不備などの理由で廃棄される食料品を回収して、各種施設へ配る仕組みをフードバンクという。諸外国では当たり前の仕組みだが、日本ではまだまだの状況という。東京のフードバンクを立ち上げたチャールズさんの人生が壮絶で非常に感銘を受けた。社会貢献について考えさせられる一冊。

  • 2007年時点のフードバンクの取り組みについて書かれている。文庫版ではその後の日本での動きにも触れられている。フードバンクについての調査もいいが、セカンドハーベストジャパンの社長のチャールズさんの生い立ちにインパクトがあって本として少しブレているような気がしなくもない。この本の印税はフードバンクに寄付されるとのこと。私もボランティアや寄付に取り組んでみたい。

  • 同じ地平線に立ったとき、見えるものがある。
    それは遠いどこかの話でなく、私の話。

  • ◎話題のフードバンクは日本の何を示すのか?

    フードバンクの考え方が高まり始めたこの日本で、かなりタイミングよく文庫化されたと思う。
    フードバンクとは「まだ十分食べられるのに、売り物にならないから捨てられる食べ物を預かり、食べ物に困っている人たちに無料で配る仕組み」のこと。最近、東北地域の市民生協事業連合でも取り組みが始まり、新聞報道で盛んになってきた印象がある。
    本書はアメリカのフードバンクの立ち上げと発展を歴史的に紐解いた上で、日本に応用できるだろうかということを実際の事例から解明している。

    特徴的な点を言えば、アメリカのフードバンクの立ち上がりが「貧しさを自分たちで解消するためにできることを考えた結果」であることに対し、日本のそれは貧困も解決しようとするのだが「無駄な食品廃棄をしなくてもいいようにするために考えた結果」であることがとても面白い。
    また、立ち上がりの過程で企業や個人からの寄付により団体を維持しビジネスモデルを作りつつあるアメリカに対して、日本ではその寄付が少なく民間団体についてはなかなか広がるのが難しいという現状もなんだか日本らしい。

    ただ、日本らしいとも言っていられない。
    日本でも貧困層が増えている中でフードバンクの考え方は重要性を増す。「生活保護を受けてしまうと抜け出すのがなかなか難しい。その手前で救えるのがこの活動」と語っているのも印象的で、弱い人の立場に立って、なんてよく言うが、行政も民間も本当に弱い人の立場に立った活動・業務ができているのか今一度考えさせられた。
    行政の取り組みも群馬県太田市の例が出てくるもののそれ以外目立った事例は出てこないし、国での検討もまだ始まったばかり。これから発展していく活動なだけに、大いに関心を持ちたいし、活動に参画できるならそうしたい。

    あとがきより以下を紹介する。
    「私たちはどんな社会に住みたいのだろう。
    あなたは、どんな社会に住みたいですか。」
    この質問に答えることが、フードバンクの未来につながる。

    (2008年7月に岩波書店から出された単行本を文庫化)

  • 本当にもったいない・・・・。

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