村山富市回顧録 (岩波現代文庫)

制作 : 薬師寺 克行 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 21
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006033064

作品紹介・あらすじ

党内では、構造改革論争、新党問題…。首相在任中には、阪神・淡路大震災、戦後五〇年の総理談話、住専問題…。党内外、政権内外、国内外に問題山積、波乱の渦中にあった最後の社会党委員長、村山元首相がその当時を回顧する。なぜ、戦後五五年体制の一翼を担った社会党は衰退したのか。そこに見えるのは、当時の一断面だけではなく、まさに今現在の政治課題である。

感想・レビュー・書評

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  • 「あいつとは口をきいてない」「その会議には呼ばれていない」「その議論はしていない」等々、
    こんなにダメなひととは思わなかった。
    社会党滅亡史。

  • こんな人だったんだ、と初めてわかった気がします。

    「社会党の委員長」だったからだけで総理大臣になり、党として否定していたことを追認させられ、震災がおき、なにもしないうちに退陣することになった人、というくらいしかなかったイメージを変える一冊になりました。

    派手に1番を狙わず、必要と思うことを自分のできる範囲で続けた一人の生き方の記録になっています。

    自分を、取り立てて際立った存在だと思えない人、普通の人間が、それでも常に自分の考えや信念を続けていきたいと思った時に参考になるはずです。

    村山さんの横を、一時の風に乗ろうとして、また、反対勢力に勝つために闘いを仕掛けていくひとたちが、何人も描かれています。

    回顧録ですから、本人の都合のいいように書くことは割り引いて考える必要はあります。

    それでも、かなり村山さんの人物評は的を射ていると後世の人間の一人として感じます。

    組織で生きる、正義感が少しばかり強いことを意識している普通の人を自認している方に、お薦めします。
    総理大臣にも政治にも興味がなくても、その身の振り方のいくつかが、すぐに役立つ知恵にできるはずです。

  • 東2法経図・開架 B1/8-2/306/K

  •  2012年刊行の単行書の文庫化。聞き手の編者・薬師寺克行は元朝日新聞記者、村山内閣当時の官邸クラブキャップ。題字は村山本人によるもの。じつに味があるよい字を書く。

     大分の貧しい漁村で、11人兄弟の六男に生まれた人物があれよあれよという間に総理大臣にまでのぼりつめていく。さしずめ現代の豊臣秀吉というところだが、その語り口からも、無欲恬淡さとしたたかさ、筋を通すところと大胆な妥協を厭わないところが共存する深みのあるパーソナリティが滲み出ている。ギラついた個性もカミソリのような切れ味もないように見えるから、ある意味では担がれ、与しやすいと見られていたのかもしれない。しかし、いま改めて振り返れば、土井たか子と並んで、戦後の社会党を代表する政治家となっていたことは疑えまい。
     それにしても、歴史の巡り合わせは面白い。1995年の「戦後50年」が村山内閣で、2011年の「東日本大震災・東京電力福島第一原発事故」は菅内閣だった。すなわち、おそらくは自民党の保守政治家がどうしても権力を握っていたかったタイミングは、1955年以後ほんとうにわずかしかない非自民党政権の時期だったのだ。運命のいたずらか、それとも、歴史の狡知というべきなのか。

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