戦下のレシピ: 太平洋戦争下の食を知る (岩波アクティブ新書 37)

著者 :
  • 岩波書店
3.67
  • (14)
  • (24)
  • (30)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 186
感想 : 31
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784007000379

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久しぶりに読み返してみて、やっぱり面白い。戦時中の料理は「食感無し・味無し・ぬるい」。雑誌の引用文に良く出てくる川島四郎大佐は栄養学の分野で有名な方らしい?

    毎日の暮らしの中で「戦時中」とはどういう事なのか?食事のメニュー・素材・調理方法を丁寧に調べて書いてあり、とても興味深かった。
    戦時の雑誌や新聞に掲載された食に関する知識人のかなり強引で自己陶酔的な文章も多数引用してあって、当時の一般の人々はこれら雑誌や新聞の文章を読んでどんな気持ちだったのだろう?と考えさせられた。

  • 内容はタイトル通り。
    奇抜&切羽つまった感あふれる工夫料理の数々。実際、レシピなんてあるようでなかったんだろうな~…ってのが分かる。
    一番の衝撃:「うどんかん」
    ネバネバもっちり「里芋お萩」は、「おいしそう!食べてみたい!」と横から覗き読んでた友人が言ってました。

  • 婦人雑誌のレシピから戦争当時の状況を知る興味深い本でした。
    普段、何を食べていたのか?日常のこと故に、その苦しさが見えてきました。面白い切り口です。
    日本の状況がわるくなるほど、レシピというか、材料もやばくなる。想像越えてました。

  • 戦前から発行され、戦時中も休刊・廃刊に追い込まれなかった婦人雑誌の料理ページをもとに、戦下の食生活をひもとく、という一冊。漠然とただ「食糧難」の一語でしかイメージしていなかったが、さまざまな側面が見えて興味深く読んだ。
    難を云えば、本文と雑誌記事からの抜粋で構成された段組みの紙面が読みにくい。
    印象に深く残ったのは、社会がどんなに困窮し、食糧が不足して料理ページが貧相になっても「素晴らしいお味です」「お客様にも大いばりで出せます」「お子様も満足です」と品をとりつくろって書いている婦人雑誌の語調・論調だ。誌面に取り上げられる料理が開戦時から徐々に質の低いものになってゆき、終戦前後には芋のツルや雑草混じりの雑炊といったものになるにつれ、虚勢ともとれるその語調は次第に悲しささえ感じさせるものになってくる。
    しかし不況の現代で節約レシピを説いたり、原発事故以降節電を声高に主張したりしつつも、懸命に明るく努めている昨今のマスメディアも、本質的に似たようなものかも知れない。

  • 婦人雑誌は日本の誇る近代文学で栄養の大切さを婦人たちに教えた。
    戦争が厳しくなるにつれて、それらの雑誌のページ数も少なくなったしカラーでなくなった。
    「我が地方」の料理として朝鮮、満州の料理も紹介されていた。当時は日本だったのだ。
    節米の呼びかけで、穀物を米に混ぜていた。
    コメ不足の原因は、朝鮮の凶作にあった。
    祖母は戦後にもう砂糖は食べられないんじゃないか、と言っていた。祖父は戦争中にカボチャばっかり食べていたから、カボチャが嫌いだった。
    父も餓え死に寸前だったそうだ。母も痩せているのは、戦争の食糧不足だ。だから、私も痩せているのか。。
    もう戦争は絶対にダメだね。日本人のアイディアと戦後復興はすごい。
    美味しい料理が腹いっぱい食べられる現代日本に感謝。

  • [ 内容 ]
    雑炊、すいとんだけではなかった戦争中の多彩なメニュー。
    米がない!
    食料がない!そのとき人々はどうしたか。
    日中戦争、太平洋戦争、敗戦までの食生活史を網羅。
    こんなものまで食べていた!
    究極の非常食を再現。
    戦争中の味がリアルに体験できるレシピ満載。
    写真で見る戦争中の暮らし。
    食べられる野草図鑑つき。
    「ぜいたくは敵だ」の時代の台所と食卓に迫る読めて使えるガイドブック初登場。

    [ 目次 ]
    1 昭和のモダンな食文化(戦前のレシピ)(農村の食と都市の食;婦人雑誌と家庭の料理)
    2 総力戦は節米から(日中戦争下のレシピ)(料理にも大東亜共栄圏の影;節米料理ってなんだ ほか)
    3 お台所の戦闘配置(太平洋戦争下のレシピ)(配給時代の食生活戦争;たんぱく源を結集させろ! ほか)
    4 壮絶な決戦非常食(空襲下のレシピ)(戦争末期はサバイバル;いもとかぼちゃの下剋上 ほか)
    5 戦争と食生活(焼け跡のレシピ)(戦下のレシピから見えるもの;なぜ戦争は食糧難を招くのか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 戦争初期の都市部の妙に滑稽な料理とか、食べられる草とか、戦争末期のなんでもすりつぶして粉にして、調理せずに増やして食べる、という料理まで、すいとんだけじゃないんだなという、様々なレシピが興味深い。

  • 戦争末期の食糧難の時にも料理レシピが載っている婦人雑誌が出ていたことがおどろき
    わら半紙で薄く綴じることになっても出版するのは主婦啓蒙への執念かな。。
    それもちょっとこわいけど
    だんだんと食料が乏しくなっていくのがわかりやすく、
    乏しくなるほど手間がかかっていく過程にもうなずける
    あとがきの作者の言葉に同感です

  • 婦人雑誌のレシピから戦争を読み解く新書。「食べられるもの」の境界線がどんどんアバウトになり、終いには野草やどんぐりまで食べつくし、レシピの文章自体もどんどんヤケクソになっていく。「戦争の影響で食糧がなくなるのではない。食糧がなくなることが戦争なのだ」。きっとそうなんだと思う。

  • 太平洋戦争中に婦人雑誌に掲載されたレシピ?!えっと、戦争中にも雑誌って発行されてたの?お料理記事なんてのんきなページもあったの??ええ、あったんです。のんきでも何でもなく、大真面目で。祖父母やおじおば、両親がこんな時代を生きてきたのかと考えただけで、涙がでてきます。全国民必読の一冊。

全31件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×