自分で調べる技術: 市民のための調査入門 (岩波アクティブ新書 117)
- 岩波書店 (2004年7月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784007001178
作品紹介・あらすじ
資料を調べる、データを探す、フィールドワークに出る、プレゼンテーションをする-行動派社会学者の情報収集・整理のノウハウ。
感想・レビュー・書評
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読了 20210124
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本書が出版されたのは2004年。(手元にあるのは2008年の10刷) 本書の出版当時よりもなおさら「調べる」という作業におけるインターネットの比重が大きくなっていて、それ以外に発想しようがないぐらいにまでなっている人も多いのではないかと思う。
本書は「資料・文献調査」「フィールドワーク+アンケート調査」「まとめかたとプレゼンテーション」という形で、市民が自ら何かを調べる際に取り得る方法の全体像を解説する。
「資料・文献調査」としては例えば雑誌記事や論文、書籍、新聞記事、統計データ、インターネットなどの具体的な調べ方やそれぞれのメリットの解説がなされている。具体的な情報源が示されていたり、練習問題がついていたりとリテラシーを高めるための工夫が織り込まれている点も良いし、実際問題として重要だと感じるのはそれぞれの調べ方に「メリット・デメリット」があることを理解することでしょう。
フィールドワークについてもそうで、アンケート調査がフィールドワークの章の中に含まれているのだが、市民活動団体では気軽にアンケートがなされることが多いが、アンケートは簡単なものではなく、設計を十分にしていないアンケートから導かれる数字は単なる調査もどきにしかならないという点をはっきり指摘します。
ただ、一方でアンケートの効用についても触れている点が良い。アンケートをすることで意見の多様性やポイントに調査者自身が気付くというフィールドワークの一環としての効果があるということ。これは市民活動団体では確かに必要なことだと感じる。ごく少数の当事者に触れることで始まる活動が多く、それ自体は全く間違っていないが、それを社会課題化するアプローチを取るのであれば、それなりの手順をきちんと踏むべきであり、その手順にはそれなりのしんどさもあるけれど、必要なことだと学ぶことのできる一冊です。
2020年10月に岩波新書から『実践 自分で調べる技術』という改訂版?が出ているようなのでそちらも読んでみたい。 -
ネットを使えばなんでも簡単に調べられると思ってはいるが、いざ欲しいデータがなかなか探せなかったので、この本に書かれている「検索サイト」は使えそうだ。
また単なる検索サイトの紹介だけでなく、情報の洪水を取捨選択し、自分で考える力を養う姿勢も書かれている。
中でも「アンケート調査の功罪」の章は興味深い。当たり前のように行われているアンケートに実は多くの誤りがあることに気づかされる。思わず”あるある”と笑ってしまった。 -
まず驚いたのはこの本が発刊されてから10年ちょいの間に情報技術が目覚ましい発展を遂げていたこと。
リアルタイムで経験していたすべてが、もうobsoleteな手段になっている。
しかし、使えるツール、調べた後の情報の組み立て方はまだ健在である。
★本と言うのは本来こまぎれの情報を最初から最後まで通して読むことを目的に編まれており、ひとつの閉じた世界を作っている。それが本の醍醐味であり魅力、という旨のことが冒頭近くに書かれており、最も印象に残った。 -
請求記号:SS/002.7/Mi86
選書コメント:
社会科学の基本的なツールとして必要な(社会)調査について、実践的、かつ、分かりやすく書かれています。初学者が最初に手に取る本としてふさわしものです。情報収集や整理、文献の探し方、統計データの入手方法、現場でのフィールドワーク、メモのとり方、ヒアリングのやり方まで、広範囲の内容を網羅しています。
(環境創造学部環境創造学科 齋藤 博 准教授) -
特に新しい学びはなかったが、簡潔で読みやすく、高校生くらいに読んでおきたかったなと思う。また、自分たちの社会を自分たちで作っていくために、まず調査してみようというコンセプトはとても共感できる。それは課題意識から始まる、本質的な課題の発見であり、私たちの社会も活動もそこからしか生まれないのだと思う。
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文字通り、自分で調べたいと考える市民のための本。かなり具体的な技術が詰まっていて、実際に調べてみようという気になる。ただ、websiteの紹介なども多いため、今でも使える技術かどうかは、実際使ってみないと分からない。
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一口に「調査」と言っても奥が深い!机上論になってはいけないが、今の時代、根拠となる裏付けデータは絶対に必要!仕事は勿論プライベートでも。