記憶の政治 ヨーロッパの歴史認識紛争 (岩波オンデマンドブックス)

  • 岩波書店 (2024年4月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (242ページ) / ISBN・EAN: 9784007314346

作品紹介・あらすじ

ナチ・ドイツを撃退したソ連軍は解放者だったのか、それとも新たな占領者だったのか。EUとロシアの境界に位置し、複雑な記憶が幾重にも交錯するバルト諸国の状況を通して、ヨーロッパにおける歴史認識の抗争を見る。

感想・レビュー・書評

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  • バルト諸国の事例を通して、記憶の政治の複雑さを感じた。複雑すぎてまだほとんど理解できてないです。

    間違ってる可能性もありますが、メモとして書きます。

    ロシアの歴史観は、1944年の独ソ戦をナチスドイツの占領からバルト諸国を解放し、ファシズムに勝利した誇り高き大祖国戦争という認識。
    一方バルト諸国は、ナチスドイツの占領も、その後のソ連による50年近く続く圧政もどちらも全体主義と捉え、ロシアも加害者とする認識。中には、むしろ、ドイツの親衛隊をソ連から解放してくれた英雄と捉える民軸主義者もいるそう。
    この歴史観に、ロシアは憤懣。

    バルト諸国では、1900年代のスターリン政権のソ連の圧政により、現地住民がシベリアへ強制移住させられ、人口が少なくなってしまい、その穴うめのため、ロシア人を移住させ、工業などに従事させた。

    そのロシア人の子孫が今もバルト諸国に住んでいる。この様な仕方ない状況だったロシア人に対して、バルト諸国独立後に、リトアニア以外の、エストニア、ラトヴィアは、ロシア人には国籍を与えないという厳しい措置をとる。その後、ヨーロッパ諸国が人権的観点から、改善を要求。EU入りを目指す
    バルト諸国は、ロシア人への国籍の付与の基準を緩和し、ロシア人の国籍取得率は上昇。

    ブロンズの夜。2007年、独ソ戦で戦ったソ連兵の像。ブロンズの兵士像の移転の抗議運動。エストニアで発生。
    今もエストニアに住んでいるロシア人にとっては大祖国戦争のソ連の英雄は、彼らのアイデンティティ。そのモニュメントを移転させることは彼らのアイデンティティを奪うこと。バルト諸国を再建したのは俺たちロシア人だ。と常に不満を持っている。ソ連からの独立後、かつてあった優位な立場は否定され、国籍すら奪われた。ブロンズの兵士の移転は、ロシア語系住人に追い討ちをかけた。

    コーノノフ裁判。
    ラトヴィア生まれ。曾祖父がロシア人。戦後、ラトヴィアから起訴され、戦争犯罪人として法的地位が確定する。その後、ロシアのバックアップの元、欧州人権裁判所でも裁判をするが、ここでも違法とされた。ソ連時代には、英雄とされていた。彼は、英雄と罪人という二重性を持つこととなった。この結果にもロシアは憤懣。

    各国が被害者性を強調した犠牲者意識ナショナリズムを主張していけば終わりのない対立しかない。歴史認識の共通化ではなく、むしろ多元化された歴史と記憶の共存の可能性を模索する必要があるが、その試みの成否は今のところ全く不明。

    いま我々が直面させられている歴史と記憶に関わる紛争化は、冷戦後の時代の世界的な平和と秩序への希求と模索といういかにも重たいグローバルなアジェンダとともにあるのであり、そこでは先進的な範型に倣って己のありさまを反省するこれまでのあり方を超えた、およそ容易ならざる解法の考案が求められる。

  • EU企画展2024「ときめき☆バルト三国をめぐる旅」で展示していた図書です。

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BD07413387

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著者プロフィール

橋本伸也(はしもと・のぶや)
1959年生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。博士(教育学)。現在、関西学院大学文学部教授。専門は、ロシア・東欧史、メモリー・スタディーズ。主な著書に『帝国・身分・学校—帝制期ロシアにおける教育の社会文化史』(名古屋大学出版会、2010)、『記憶の政治—ヨーロッパの歴史認識紛争』(岩波書店、2016)、『紛争化させられる過去---アジアとヨーロッパにおける歴史の政治化』(編著、岩波書店、2018)、訳書に、ヤーラオシュ編『高等教育の変貌1860-1930--拡張・多様化・機会開放・専門職化』(共監訳、昭和堂、2000)、コスチャショーフ『創造された「故郷」--ケーニヒスべルクからカーリニングラードへ』(共訳、岩波書店、2019)などがある。

「2022年 『灰燼のなかから 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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