- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784010611661
感想・レビュー・書評
-
この詩集を本棚登録出来ましたことに、猫丸さんのお力添えがありましたこと、感謝、感謝でございます。
八木重吉の詩集を十代の頃、はじめて読んだ時、すとんと胸に落ちる、簡潔で美しい言葉に驚き、その詩の虜となってしまいました。
私の拙い言葉で八木重吉の詩の世界を語るのは、恐れ多く感ぜられます。心うたれる詩をいくつか書きつけます。
秋の瞳 より
花になりたい
えんぜるになりたい
花になりたい
壺のような日
壺のような日 こんな日
宇宙の こころは
彫刻みたい! という 衝動にもだえたであろう
こんな 日
「かすかにほそい声」の主は
光を 暗を そして また
きざみぬしみずからに似た こころを
しずかに つよく きざんだにちがいあるまい
きょうは また なんという
壺のような 日なんだろう
赤ん坊が わらう
赤んぼが わらう
あかんぼが わらう
わたしだって わらう
あかんぼが わらう
貫ぬく 光
はじめに ひかりがありました
ひかりは 哀しかったのです
ひかりは
ありとあらゆるものを
つらぬいて ながれました
あらゆるものに 息を あたえました
にんげんのこころも
ひかりのなかに うまれました
いつまでも いつまでも
かなしかれと 祝福れながら
ほそい がらす
ほそい
がらすが
ぴいん と
われました
空が 凝視ている
空が 凝視ている
ああ おおぞらが わたしをみつめている
おそろしく むねおどる かなしい 瞳
ひとみ! ひとみ!
ひろやかな ひとみ ふかぶかと
かぎりない ひとみのうなばら
ああ その つよさ
まさびしさ さやけさ
夜の薔薇
ああ
はるか
よるの
薔薇
稲 妻
くらい よる
ひとりで 稲妻をみた
そして いそいで ペンをとった
わたしのうちにも
いなづまに似た ひらめきがあるとおもったので
しかし だめでした
わたしは たまらなく
歯をくいしばって つっぷしてしまった
毛虫を うずめる
まひる
けむしを 土にうずめる
宇宙の 良心
宇宙の良心 ー 耶蘇
貧しき信徒 より
雨 の 日
雨が すきか
わたしはすきだ
うたを うたおう
春
雀をみていると
私は雀になりたくなった
桜
綺麗な桜の花をみていると
そのひとすじの気持ちにうたれる
素朴な琴
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかね(て)
琴はしずかに鳴りいだすだろう
豚
この 豚だって
かわいいよ
こんな 春だもの
いいけしきをすって
むちゅうで あるいてきたんだもの
涙
めを つぶれば
あつい
なみだがでる
秋のひかり
ひかりがこぼれてくる
秋のひかりは地におちてひろがる
(ここで遊ぼうかしら)
このひかりのなかで遊ぼう
無 題
神様 あなたに会いたくなった
、、、読んで頂いた皆様、ありがとうございました
詳細をみるコメント1件をすべて表示-
りまのさん皆様。私は、古い詩集の、本棚登録が、自分でできず、猫丸さんが、助けてくれました。猫丸さんに、感謝!でございます。ありがとうございました!皆様。私は、古い詩集の、本棚登録が、自分でできず、猫丸さんが、助けてくれました。猫丸さんに、感謝!でございます。ありがとうございました!2021/01/06
-
-
……どの詩を代表として挙げようとしても、できない。珠玉とか無垢とか信心とか、とにかく何かの一言では尽くせない。雨の日が嫌いだった私が、雨を愛おしく感じられるようになったのは、この詩集のおかげかもしれない。
-
幼い日
八木 重吉
おさない日は
水がもの言う日
木がそだてば
そたつひびきがきこゆる日