- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022140241
感想・レビュー・書評
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「火の鳥」は、生命とは何かというテーマを追求していくシリーズであると同時に、さまざまな恋人たちの愛のかたちを描いたラブストーリーでもある。どの話にも魅力的なカップルが描かれるが、ヤマト編のオグナ、カジカの2人も大好きな2人である。ツンデレのカジカは手塚ヒロインの中でもっと評価されてもいいキャラだと思うがあまり彼女推しという声をきかない。実は隠れファンが多かったりして。。ヤマト編は火の鳥の中でも割合ギャグティストの強い作品で長さも短いが、コンパクトながらテーマもストーリーも完璧。さすが手塚治虫。宇宙編は殺人事件のからむミステリー仕立ての中編で、大型宇宙船から一人乗りの脱出艇で脱出した4人の登場人物たちが、4機の脱出艇に乗りながら通信で会話をするところを同時並行して描く表現手法が素晴らしい。圧倒的な絶望感を味わわさせてくれるSF感あふれるラストも素晴らしい。
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小学生のとき、宇宙編を読んでとてつもない衝撃を受け手塚治虫ファンになりました。
斬新なコマ割、ミステリー要素、残酷な展開
どれをとっても素晴らしかった
何度も読んでいますが、今日読んでもやっぱり面白かったです -
【読間】
『ヤマト編』
……「火の鳥」は、高校時代に読んだq高校時代に文庫版で読んだのが唯一の記憶。
全巻読んだのだったか?途中までだったか?は、不明。1~2冊だけではなく、少なくとも4~5冊は読んだはずだけれど……中身の記憶はほぼ無い、という感じ。
ここ数日で「黎明編」と「未来編」を約20振りに読み返して、“ああ、たしかにこんなハナシだったな”と・・・。
さて、『ヤマト編』 。王墓の人柱にされた者達が何ヵ月にも渡ってうたい続け……そして最後の一人が力尽きる・・・そのラストシーンだけは、強く心に残った記憶のままだった。
【宇宙編】
……おそらく初読のはず。斬新なコマ割りが読みにくくて、途中で投げ出した記憶が(笑)。
……今読むと、斬新で、かつ臨場感のある優れた演出だとは感じたけれど。
今作からは、残念ながら崇高なテーマ性を感じることは出来なかった。牧村のキャラ設定が不明瞭だし齟齬があるし・・・。
★3つ、7ポイント。
2016.10.17.借。
※未来永劫同じ異相に生まれ、子々孫々まで永久に火の鳥と関わり続ける“猿田彦”……、醜い異相が異性を寄せ付けないとのことだが……どうやって子孫を残しているのだろう? -
途方もない時間と空間、全くかけ離れた話しかと思いきや、全ての話が繋がっていく様が鳥肌もの!
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未来の話は全部怖いな...
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『火の鳥 ヤマト編』
■背景……執筆時期;1968年/時代設定;紀元5世紀頃/舞台;ヤマトの国、クマソの国。
■梗概……ヤマトの国のオグナは、正しい歴史書を書き綴っているという川上タケルを討つためクマソの国に出向く。そこでタケルの妹カジカと知りあい愛しあうようになる。オグナはタケルを討ち取ったあとヤマトに帰り、父である王の墳墓建立計画を阻止しようとする。しかしそこへ、兄の仇を取るため男に変装して忍び込んだカジカが現れる。
■死……クマソのタケルとヤマトのオグナのあいだには敵味方を超えた心の絆があった。が敢えてオグナは自分の使命のために不意打ちしてタケルを刺し殺す。/王の墳墓のいけにえのために80人が生き埋めにされる。オグナとカジカも共に埋められるが土の中で愛を確かめ合いながら死んでいく。
■セックス……宿敵であるはずのオグナとカジカのあいだに一瞬にして恋の炎が燃え上がり愛を交わす。
■見どころ……湖の真ん中の小島でオグナが素っ裸になって火の鳥のために笛を奏でる。美しいがうえにも美しい。/オグナとカジカのラブシーン。ため息が出るほど美しい。
■その他……今回猿田彦の末裔は出てこない。/ギャグシーンが多い。笑える。/クマソの国の最長老は『黎明編』の最後で深い穴から脱出したあの男であった。
■総評……何度でも言う。とにかく異常に画がうまい。/短くも波乱万丈だったオグナの人生は土の中に生き埋めにされて一巻の終わりとなる。しかしまさにその瞬間、オグナは幸福と永遠の愛を同時に手に入れることになる――というすごい設定。
『火の鳥 宇宙編』
■背景……執筆時期;1969年/時代設定;2577年/舞台;ペテルギウス付近の宇宙空間〜流刑星フレミル。
■梗概……恒星間宇宙船が漂流物に接触。人口冬眠していたクルー4人が緊急覚醒すると、当番で起きていた牧村はすでにミイラ化して死んでいた。クルーは壊れた宇宙船を捨て、個別の避難カプセルに乗り込んで脱出。しかし彼らのあとを延々と、死んだはずの牧村の避難カプセルが追ってくるのであった。
■死……フレミルの立派な鳥人間たちがクズ人間牧村の手によって皆殺しにあう。
■見どころ……個別の避難カプセルに乗る宇宙飛行士同士のやりとりが、見たことのない独特のコマ割りでスリリングに描かれる。/メタモルフォーゼした囚人の成れの果ての姿が気持ち悪くも美しい。/猿田が槍で赤ん坊をグサグサ突き刺すシーンは強烈。
■総評……まさかのSFミステリー。しかもしっかり火の鳥が動機となっている。牧村ひとりの贖罪の物語だと思っていたら、物語の終わりかけで猿田とナナが大きく浮上。結果、悲劇が二重、三重と拡大する。 -
何度読み返してもヤマト編で活躍するカジカちゃんが本当に可愛くて大好きです。
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「ヤマト編」1968年COM連載。
古代史がテーマゆえ古典的なギャグタッチという形式で語ろうとしたのだろうけど、古典ギャグと社会パロディと深遠なテーマとがかみ合わないことこの上ない。
「宇宙編」1969年COM連載。
マンガの未来系を表現するようなコマ割。
ヤマト編と対をなしているようで面白い。
ちなみに「2001年宇宙の旅」は前年公開。
アポロ13号事件は翌年。