- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022143020
作品紹介・あらすじ
16世紀、数万人が迫害を受けて死んだ魔女狩り。その狂気の時代に魔女と断罪された人々に寄り添い、医療の力で救おうとしたひとりの医師がいた──。精神医学の先駆者でもある実在した医師、ヨーハン・ヴァイヤーを描いた歴史ドラマがついに書籍化!
感想・レビュー・書評
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魔女狩りが行われていた時代に、信仰心を持ちながらも迷信に惑わされず、魔女とされる人達は病気であるとして医療の力で救おうとした実在の医師をモデルにした物語なのだそう。
魔女狩り。
魔女と断罪されたが最後、苛烈な拷問により自白を強要され、火炙りなどの残虐な方法で公開処刑されるばかりか、他の魔女の名前を強引に言わされる事で、次々と罪なき女が魔女として告発される悪夢のようなシステム。
現代の私たちから見ればとんでもなく愚かで残虐で、こんな事がヨーロッパ全土で行われていたなんて信じられない!と思うけれど、目に見えない不安をわかりやすい何かのせいにして、噂を真実のように思い込み、ターゲットを見つけて社会から排除する事で安心を得ようとする行為は、実はちょっとバランスを失えば現代社会でも容易に起こり得るように思えます。
そんな魔女狩りに、ある意味抵抗しようとした人がいたんだ、と言う事がまず衝撃でした。
作中では主人公のヨーハンは、幼い頃に仲良くなった女の子が魔女とされ、目の前で処刑されるのを救えなかった罪悪感から、魔女を火あぶりの刑から救った事のあるアグリッパ医師に弟子入りする、と言うことになっています。
「理解のできないものから目を背けるな」と教え、教会の権威を恐れず自らの正義を貫くアグリッパ師匠がとてもカッコいいです。
カッコいいですがこういう人はやたら敵を作るのでこの先心配(´・_・`)
この先の展開が気になります。
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Twitterの宣伝に無事ホイホイされた。上中下で2970円。お高い。けどレーベルのお仕着せでない、自分のために装いを凝らす漫画なら大歓迎。定価の表記までオシャレでにやけてしまう。
「Die Wahrheit über Hexen」にわくわく。魔女についての真実。
実在した医師ヨーハン・ヴァイヤーを主人公に据えた意欲作。魔女裁判に反対し、魔女の実態について、精神医学の先駆けとなる主張を行った人物とのこと。
限られた文献、史料に基づいてストーリーを編んで、当時の文化風俗で画面を彩る努力。たいていの歴史漫画が当然やっていることではあるんだろうけど、やはり計り知れないものがあるなとしみじみ思う。だってコマが充実してる。教会が絶対正義の世界観で、魔女の存在は当然想定されて恐れられているのがひしひしと伝わってくるせいで、読んでる自分まで中世人になりそう。そのうえ主役は今までにない人物で、タイトルは直球の「魔女をまもる」。痺れる。
師としてヨーハンを導くアグリッパの存在にも注目。魔術、オカルトをものした本にはたぶんよく出てくる名前。この人物の影響力を想像すると、検死解剖中の台詞の重みもまた計り知れない。 -
ヨーハン・ヴァイヤーが題材なんて珍しい!と思わず全3巻一気買いしてしまった。先が気になる~。
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ダヴィンチのプラチナ本から。取り上げられていたのは少し前だけど、ようやく入手・読了。これは面白かった。タイトルはファンタジー的で、作者もそういう世界が好きみたいだけど、本作はれっきとした歴史漫画。中世の黒歴史たる魔女狩りを描いた力作。言われてみると当たり前に思えてしまうんだけど、魔女迫害の歴史と精神科のそれが、ここまで関連しあっているとは。確かに、中毒症状を逆手に取れば、いかにも狂人チックに仕立て上げることも可能だろうし、知識として知らなければ、命に関わる大病として恐れられもするだろうな。