誤読日記

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 195
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022500328

感想・レビュー・書評

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  • 「週刊朝日」と「アエラ」で足かけ5年連載された斎藤美奈子さんの書評集。
    2頁に1篇という短さだがそれでも175冊分ある。
    選書の幅の、まぁ広いこと。目次だけでも見応えがある。

    タレント本、幸せ探し本、暮らしのハウツー本、文芸書、
    ベストセラー本、児童書&YA、ニュース関連本。。。
    2000年から始まった連載なので、タレント本にいたっては「ああ、そういう本もあったわね」と昔のことのように思い出してみたりする。
    自分では決して手にとらない種類の本。
    褒めちぎる書評を読んでは「そんなはずはない」と秘かに反発した本。
    でもまさか、そんなことはおくびにも出せないベストセラーの数々。
    斎藤美奈子さんが一切媚びずに評してくれる。

    タイトルに「誤読」と付けたのは万一どこかから苦情が来た時の逃げ口上らしい(笑)
    脱線読み、見立て読み、ひらめき読み等々と、前書き部分で誤読の方法に触れているが、これは軽く流して先へ。そして、笑った笑った。
    本によって論調が多少変わり、硬軟取り混ぜてある点もさすが。
    硬の方だと若干歯切れは悪い。
    もしや朝日に忖度?それとも生真面目さをさらしてしまうのか。
    そんなわけで、あのぶ厚い「本の本」のような疾走感は薄れる。

    2001年ハルキブックスから出た「ダジャレ練習帳」について。
    「ダジャレは一種の生活習慣病。患者が中年に多いのは、ホルモンだかの加減で中年過ぎると何かを抑制する力が弱るのが原因ではないか。つまり場の空気を読めなくなる。座は白ける」

    過激さで出版停止になった、中村うさぎの「屁たれどもよ!」について。
    「こんなに穏当な本が、なぜ出版停止になったのだろう。
    うさぎさんは自分の悪口を書いているのが一番面白い。大人なんだよ」

    なんて調子だが、ピタッとはまる書評も多くて笑っているだけでは済まない。
    例えば松本清張の「砂の器」。
    小説と映画とTVドラマとの比較になっている。これは私も読んだし、見た。
    「はっきり言えば『砂の器』がハンセン病の差別と偏見を助長した部分もないとは言えないのだ。この難問にドラマはあえて挑むのか。それとも避けて通るのか。今となっては武骨に見える小説の方が、抒情性がない分、大人かも」
    ・・・はい、ここは参りました。三作とも見て読んで、特に清張ファンでもないのに原作を支持したくなったのはコレだったんだ。

    とは言え、斎藤さんの書評の真似などは出来るはずもない。
    読みたいと思う本に出会っても、レビューの書き方はトヨザキさんの言うとおりにしておこう、と自分に言い聞かせる。
    メンタル強くないし、こんなハイレヴェルな闊達さが今更手に入れられるとはとうてい思えないし。ケタケタ笑って、うんうんと納得して、読んだ後は忘れてしまう。
    面白い書評集という読み方でよろしいかと。
    この人の作品を読むと、レビューをあげることの難しさを思い知る。
    いつもそこが最大の収穫だが、読んだ後からやって来てしかも結構重いのだ。

  • 38606

  • 本は誤読してなんぼだそうだ。「おもしろい/つまらない」「役に立つ/立たない」等の二者選択で判断するのではなく、誤読して楽しんで読む事も大事だと解説してくれている。
    例えば、小林よしのり「新ゴーマニズム宣言」では、「論敵の研究などは弟子に任せ、自分は椅子にふんぞり返って宣託を下すのが今日その役目」とバッサリ切り捨てている。さらに「この際だ、いっそ小林善法謎に改名して本当に新宗教を立ち上げてたらどうか」と忠告までしてくれている。
    これが、正しい誤読の方法である。いや、本当に楽しい誤読です。

  • 2005年以前に発行された書籍170冊の書評。
    1冊あたり2,3頁の書評だが、独特な切り口ですごく面白いし、また、共鳴できた。
    が、自分が読んだことのある本が2,3冊しかなかったため、中だるみしてしまい、途中から興味ありそうな本の書評のみを抜粋して読む。
    ちょっと残念でした(って、自分が本を読んでいないのが悪いのだが)。

  • 読みたくなる本が、有りませんでした。
    不作の時期?

  • 途中まで読んで今ちょっと頓挫してる。
    読みきれる自信がなくて、他の人はどうなのかと思ってレビュー見たらなんか好評っぽい?
    もうちょっと頑張ってみよう。

  • 『チーズはどこへ消えた?』『バカの壁』を始めとした自己啓発本・タレント本・携帯小説など、出版界を騒がせた本・175冊を、著者がワイドショー感覚で紹介する書評本。

    取り上げた本とは”誤読”というかたちで一線を引きながらも、ブラックユーモアと皮肉と愛情たっぷりに容赦なく切っています。今となっては手に取ってまで読むまでもないかなぁと思っていた一昔前の話題本の数々を、気軽に・簡潔に・要点を押さえて紹介してくれるオトクな1冊。

  • とにかくいろんなジャンル いろんな本の辛口レビュー本著者の意見は辛口だけど納得できる部分が多くておもしろかった。
    読みたい本が増えました

    レビューでご飯食べていけるんだと
    また違う衝撃をいただいた。
    さらにいいところを挙げると分厚いのに軽いところです(笑)

  • 10年ほど前の本のレビューをいっぺんにしてくれる
    多読を最近の趣味としている私としては、読みたい本の指南役となった。
    何冊か図書館で予約させていもらいました。

  • 書評集。
    といっても斉藤美奈子だから素直な書評じゃないですよ
    文体パロったり色々やってくれます。

    ベストセラーものが多くて楽しめました

    窪塚クンの本の詩について
    「何かいいたいことがあるんだろうな、と思う。
    それだけしかわからないのがつらい」
    笑いました。

    読みたくなった本が数冊。
    桃尻語訳百人一首
    は絶対読む!

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

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