梅原猛の授業 仏になろう

著者 :
  • 朝日新聞社
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レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022500960

感想・レビュー・書評

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  • 面白く読んだ。

  • 名前が本のタイトルになっているけれど、はて、この人は誰だろう、とわかりませんでした。
    宗教系でタイトルに名前がつく人と言ったら、大川隆法しか思いだしませんでしたが(失礼!?)、著者略歴から、京都の国際日本文化研究センター所長だと知りました。

    タイトルといい、表紙の写真といい、なかなかとっつきにくい印象を受けますが、カルチャーセンターでの講義を元にした文章だということで、読み始めてみると、受講者に向けた語り口のわかりやすい内容になっており、すいすい読み進められます。

    京大の哲学科で学び、西田幾多郎の後輩として、西洋哲学と東洋哲学を極めたのち、仏教研究に携わるようになったという著者。
    その豊富な情報量には驚くばかりです。

    どうにも及び腰になってしまうタイトルは、『葉隠』にある「武士道とは死ぬこととみつけたり」にならって「仏教とは仏になることと見つけたり」という意味からだとのこと。
    確かに、キリスト教やイスラム教などの宗教では、信者は誰もあがめている神になろうとは考えませんが、仏教は仏に近づこうと人は努力しているような気がします。

    良い人間のお手本として、ブッダは存在しているわけですね。
    ほかに神道や儒教、道教も同じ方向にある宗教だそうです。
    神道は神々と人間の区別はあいまいで、儒教の成人は孔子や孟子。道教は仙人を目指すためだから。

    仏教教義だけでなく、日本の歴史にも造詣が深いため、宗教・歴史・文化を複合的に教えてもらえます。
    カルチャーセンターの講師は、こんな風に蘊蓄に死角なしの知識人でないと務まらないのでしょうか。
    市川猿之助のスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」は著者の作品だと知って、驚きました。
    多才な人ですね。

    「古事記」を読むと、嘘を言って相手をだますのはたいてい大和朝廷側だという指摘には瞠目しました。
    神武天皇もヤマトタケルも必ずだまし討ちにしており、土着の縄文人は騙されてばかりだそうです。
    民度的には、縄文人の方が高かっただろうと著者は話しています。

    法然も親鸞も道元も、子供の時に親を亡くした不幸な生い立ちの人ばかりだというのも、気がつかなかった視点でした。
    道元の母親は木曽義仲の妾だったそうです。
    義仲は殺される時も、十代の妾可愛さに彼女を手放さなかったと、「平家物語」に書かれているとのこと。
    その母親が、宮廷政治家のもと再婚して産んだ子供が道元で、そういった生い立ちや政治の駆け引きが嫌で出家したのではないかとのことでした。

    五木寛之の『親鸞』は読み、法然も作中登場しましたが、道元のことは詳しく知らなかったので、今度彼の生涯についての物語を読んでみたいです。

    歴史の授業で学んだ龍樹(ナーガルージュナ)と鳩摩羅什。
    どちらも、仏教発展のために力を尽くした人として覚えており、清廉なイメージを持っていましたが、実際には二人とも、女性への愛欲、煩悩にどっぷりとつかって生きた人だと知って、思っていた姿と違ったことにショックを受けました。
    僧侶の妻帯については許可したり許可しなかったりと、かなり頻繁に規制が変わっているようです。
    ほかの宗教でも同じかもしれませんが。

    奈良時代からの神仏習合、明治時代からの廃仏毀釈など、どうも四角四面に捕えていたような事象も、著者のフィルターを通して、彼の思考を通して語られると、生き生きとした歴史に変わり、興味が高まります。

    今の恵まれた中高生に、托鉢をさせればいいという考えは、斬新ですが、なるほど一理あると納得しました。
    8回に分けて行われた、仏教講座。
    読み終える頃には、かなり仏教についての情報が雑学とともに身についたような気がします。

  • 著者が朝日カルチャーセンターで行った講義をもとに作られた本。一般向けの市民講座なので、現代のさまざまな話題を取り入れながら、分かりやすく話を進めている。のだけど、やっぱり仏教の教えを形式的に理解しようとすること自体に無理があるのか、「貪」「瞋」「痴」と言われても、なかなかピンとくるものではない。生きている各瞬間において欲を捨て、怒りを捨て、瞬間ごとに切り替わる自分の状態(五感+精神)を把握し、すべては無常だと諒解することが求められている、のだと理解したが…。言葉が躍っているだけともいえる。(この本が悪いわけではない)

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著者プロフィール

梅原 猛
哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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