老子―自由訳

著者 :
  • 朝日新聞社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (124ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022502698

感想・レビュー・書評

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  • 新井さんの訳はとてもわかりやすい。
    老子の思想がスッと入ってきた。
    「上善若水」
    最も良いのは水のように生きること。
    水は色んな形に変化できるし、何者にも抵抗することがない。
    こんなふうに生きられたら、最強だと思った。

    「無為の為」すなわち、何もしない。
    行動には二つある。何をすることと何もしないということ。
    何もしないとは、何もしないことをするという解釈。この文を読んだ時、何もできない自分を肯定できるなと思い、心が少し救われた気がした。

  • 本書は、『老子』を「重複を整理単純化し、重要不可欠な全十八章に分類」し、「老子が説こうとした”いのちの哲学”のコンセプトを厳守しながら、できるかぎりわかりやすい日本語に自由訳した」もの。(「はじめに」より抜粋)
    30分で読み終わるような短い本で、老荘思想の超入門書とも言える。

    中国思想の「気」とか「道」はあまりにも抽象的で、どんな説明を読んでも、私は呑み込めずにいた。
    本書では、老子思想の核である「道(Dao)」を、宇宙をあまねく流れるいのちの大河、と表現する。抽象的な表現であることには変わりないけれど、初めて「道(Dao)」をうまくイメージできた気がする。

    本文も十分わかりやすいが、あとがきでは、老子がすすめる生き方や、道と徳の本質がさらに簡潔にまとめられていて、目から鱗が落ちる。老子がこんなに身近なものだったとは。
    個人的には、著者の母親が説く「人生三期説」も感慨深かった。

    さっぱりとした穏やかな語り口が心地よく、平易でいて美しい日本語を書かれる方だと思う。
    老荘思想をどこまで正確に表現しているかは私にはわからないが、ゆったりと生きるためのヒントを与えてくれることは間違いない。
    こんな本に出会えれば、もっと多くの人が老子に興味を持てるだろう。

  • 短く読みやすく書かれているので、ちょっと読んでみたいな、という時にぴったり

  • 「人生に躓いたら老子を読め」というアドバイスを受けて読んでみました。水のように生きよ、という言葉が印象的。老子を読んで実行している上司のもとで働いてみたい。そして自分は君主論を読んだ部下でありたい。

  • 夏休みシリーズ第二弾で一度は読みたいと思っていた古典に挑戦。今回は新井満さんの自由訳編。新井満さんは上智大学学生寮の先輩でもあるご縁。あの「千の風になって」の訳詞をされ学生寮50周年記念式典でご一緒させて頂いてから、有り難いことに御本を頂戴したりするのだが、この本も新井さんらしい解釈の仕方だった。印象に残ったのは「曲なれば全し」。真っすぐなだけの木は材木として価値があるため材料として切り倒されてしまう。曲がった木は趣があり人々に愛でられて天寿を全うする。曲がった木自身も謙虚に生きるだろう。これは起業家のような生き方に似ているなあと。また、真の指導者は「氷の張った川面を渡るように慎重である」「四方を敵に囲まれたときのように用心深い」「他所の家に客として招かれたときのように端然として乱れが無い」「山から切り出された原木のように飾り気が無く親しみやすい」。これも心に残った。

  • 世の中にはたくさんの本があるが、自分の生き方、考え方に衝撃をあたえ、それを全く転回させてしまう本に出会えば幸福なことといえよう。これはそんな本のうちの一冊です。
    私の心に響いた言葉を挙げます。
    「もし悲しいことがあって生きる気力がなくなりかけたなら道(Dao)のことを想いなさい。そして道から生きるエネルギーをいただきなさい。
    もし判断をあやまり道に迷ってしまったなら道(Dao)に訪ねなさい。道はきっと教えてくれるだろう」
    「学問をおさめると知識の量は日に日に増えてゆく。しかしだんだんとつまらない大量の知識にしばられて、精神の自由は奪われて身動きがとれなくなってしまう。
    ところが道(Dao)に目覚めた人は日に日に余計な知識の量を減らしてゆき、最後には無為の境地にたどり着く」
    「才能の光はやわらげておきなさい。世の中の脚光を浴びるような天才としてではなくどこにでもいるような凡人として控え目に生きなさい」
    「道に目覚めた人はいきなり大きな仕事をなそうなどとは考えない。自分のなすべきことを考えて眼前にある小さなことからなしてゆく」
    「罪のある人を断罪するのは人ではなく、天なのだよ。もしあなたが天に代わって断罪しようとすればきっと大怪我をすることだろう」
    「世の中の人々は幸福にこだわるが、幸福なんてものはね、不幸があるから不幸もあるのさ。無為にして無心。あるがままを受け入れて、何ものにも動じることなく、あるがままに自然に生きてゆく、ゆったりとおおらかにね」
    「最高の政治家とは、国民から、その存在を意識されない政治家である。」
    「天下の大事は、必ず細より起こる」

    心が広くなる一冊です。

  • 例えが分かりにくい

  • 11002

    01/09

  • 道教(TAO)について、分かりやすく簡単な言葉で書かれています。
    漢字にふり仮名がないので、あんまり小さい子どもには難しいと思いますが、
    小学生高学年以上なら十分理解できるくらい、平易な言葉が使われています。

    ところどころにある、写真がとても美しく、癒される一冊、という感じです。
    クライアントさんへのプレゼントとして使っています!

  • 図書館で借りた。
    中国古典の老子を分かりやすい日本語にして
    章の関係も整理してある。
    すっきりと言葉が伝わってきて読みやすい。

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著者プロフィール

1946年、新潟県生まれ。上智大学法学部卒業。電通入社後、音楽・映像プロデューサーとして活躍。1987年『ヴェクサシオン』で第9回野間文芸新人賞、1988年「尋ね人の時間」で第99回芥川賞受賞。作家活動以外に、作詞・作曲家、写真家、環境ビデオのプロデューサーとしても活躍中。

「2015年 『生きている。ただそれだけで、ありがたい。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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