指先からソーダ

  • 朝日新聞社 (2007年7月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (276ページ) / ISBN・EAN: 9784022503107

感想・レビュー・書評

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  • 次から次へと
    生まれては、あっという間に消えて行く…。

    ソーダの泡をじっと、見つめていると
    その非情なる短命さに、同情はするものの、

    特に
    儚い、とも
    空しい、とも
    思えない。

    全て割り切ったように、はじけてるから?

    どーせすぐ、新しい泡が生まれてくるから?

    いや、そうじゃないな。

    彼女のエッセイを読んでいて感じたのは、

    満たされているから。

    限られた器に、なみなみと溢れそうな思いがそこにあるから。

    弾ける思いは、
    言葉の泡と化して
    誰かの心へ次から次へと飛び込み、

    そして
    消えてゆく。(あるいは、消えてないかも?)

    透明感ある、潔いエッセイは、とても読み心地がスッキリでした♪

  • ナオコーラさんはとても可愛い人だ。
    ご自身のお母様や妹さんを「天真爛漫」とおっしゃっていたけれど、ナオコーラさんも負けずに「天真爛漫」かつ良い意味で「自由」な方だと思う。

    中でも『栞が導くいろんな世界たち』の、本についての話に共感した。
    子供の頃から現実逃避できる「読書」が好きだった、というナオコーラさんの「本は勉強のためにあるのではないよ。戻る気があれば、本を逃げ場にしてもいいんだよ」は強く心に響く。
    本を読んで自分の世界を広げ、元気になってからまた現実の人間関係の中へ果敢に飛び込む。
    そうだよね、それでいいんだよね。
    逃げるばかりではなくいつか戻ればいいんだよね…。
    ナオコーラさんのキッパリとした文章に救われる。

    可愛がっている妹分のお喋りを隣で聞いている気分で、気軽に読めるエッセイ集だった。
    また小説も読んでみたい。

  • ベストセラーで映画化もされた「人のセックスを笑うな」を書いた女性作家のエッセイや書評など。

    意気込むのは良いけど作品の受け取り方は読者に委ねてほしいなーと読み手としてひいてしまった文学論より、肩の力が抜けた前半の日常エッセイが心地よい。この感じで書き続けてほしいなぁ。

    誕生日に寿司を食べることにした筆者に分相応な食事をした方がいいとか男の真似だとか言ったらしい読者に、他人事ながら「大きなお世話だよ」と言いたくなった。
    逆に心温まったのは目の前の人を大事にするという担当者のエピソード。
    普通遅刻されたらないがしろにされてるようで腹が立つけど、今頃他の人を大事にしてる最中なんだなと想像すると温かい気持ちになれる。とても素敵な話だ(限度はあるけど)。

    色々経験して裏表も見てて、それでいて素直な心を持ち続け日々前進しようとしている筆者。言うなれば「大人だけが持ちうる若さ」なんだろうな。

  • ナオコーラさんは「ことば」をすごく大事にされているんだなあということがよくわかる本でした。ナオコーラさんは素敵。読んでいてきゅんとした。

  • 山崎ナオコーラさんのエッセイ集です。
    新聞に連載されていたものや、他の媒体のエッセイ、批評などが一冊にまとめられています。

    何気ない日常の一コマだけど話のオチに感心したり、「栞が導くいろんな世界たち」という文章に共感したり、エッセイはほとんど読みませんが、これは新聞に載っているときから毎週楽しみにしていたのを思い出しました。

    山崎ナオコーラという名前はその連載で初めて知って、最近まで本をまだそんなに書かれていないと思ってたのですが、この間有名な賞(芥川賞か直木賞か忘れてしまいました)の候補になっていてびっくりしました(笑)

    エッセイを読むと、作家のバックボーンというか価値観や個人的な概念に変にとらわれて、こういう考え方の人だからこんな小説を書くんだとか、書く人がこういう価値観だからここで主人公はこんな行動に出たんだ、とか意識しすぎてしまいそうで避けているというのもあるのですが、このエッセイを読んだら逆にもっとこの人の本が読んでみたいと思いました。

  • 作家活動を始めた初期の山崎ナオコーラさんのエッセイ。なんだか若い。
    たびたび恋愛を語る。高校生のころまで周囲のひとと距離があったことを語る。大学に通っていたころのこと、会社勤めをしていたときのことを語る。
    むずかしい言葉も、難解な表現も使わずに、誰にでもわかるような文章だからナオコーラさんの考えていることが理解できる。嬉しい。この人はずっと誰にでもわかるような文章で、思考を発信し続けている。立派だ。

    大学受験のときにパニックになって泣いてしまったエピソードがとてもよかった。「試験は水ものだから気楽にね」と言うお母さんが優しい。その後一浪したようで、そのことをポジティブに捉えているナオコーラさんもまた素晴らしい。

  • 初めてのナオコーラsan。とっても素敵です!
    穂村sanやしをんsan達と同じオーラを感じました。飾らないストレートな言葉で、でもキュートで優しくて。心地良すぎです。
    お気に入りは『シロップをこぼした場合の処置法』、『私はカーテン』等々。最後の最後(あとがき)で、完全に魅了されてしまいました。引用UPします☆

  • 山﨑ナオコーラさん「指先からコーラ」(2007.7)、再読です。20代後半の時のエッセイ。ウォーキングのイベントで川沿い20kmを9時から14時までかけて母親と談笑しながら歩いたナオコーラさん、おしゃれだと思います(^-^) 27歳の誕生日、ひとりで銀座の寿司屋に行き2万円の食事をし、1年後の28歳の日は、ひとりで立ち食いそばで、240円のかけそばを。メリハリが効いていい感じですw!

  • 恐れ多いが、どこか自分と似ているなというのは思った。親近感と言うより、気持ち悪さのような。

  •  世には数多の作家さんが存在する。物語の内容を大切にする人、言葉そのものを大切にする人。わたしは後者の作家さんが好きだ。何も起きないお話でもいい、文字が裸で踊るような本が好きだ。そして、素敵な言葉を集めては薄ら笑いを浮かべるのが趣味である。
     このエッセイもまた、たくさんの言葉をわたしに与えてくれた。スコーンを食べているときのお皿みたいに、言葉がぽろぽろとわたしの中に溜まっていく。

     この本では、ナオコーラさんの狂おしいほどの「書きたい」という気持ちと、言葉をていねいにていねいに扱う様子が窺い知れる。若いときに書かれたものだからなのか、正直すぎる姿が可笑しくもあるけれど、好感を持てる文章だ。
     昔「人のセックスを笑うな」を読んだときのわたしもまだ若かった。今読んだらどんな風に感じるのだろう。

  • 不思議な言い回しで、本を読みながら、現実の世界を少し違う観点から見る事が出来るようになりそうな本でした。
    普通の会話でも使えそうな言い回しが多く、勉強にもなりました。

  • 自分には合わなかったみたい。読んでて辛かった。

  • 2014年5月1日読了。
    書いて生きていくことの恐怖と希望が見えた。同世代の女性の感覚だな、と思ったのと、駆出しの作家の雰囲気がばっちり出ていたのと。

  • 読者の五感に訴えるような文章を書きますね。

    また、彼女の小説に出てくる
    「ナヨナヨでメルヘンな発言をする男」は実際に存在し、
    実体験が多少なりともモデルになってる事を知れてよかった。
    ふわふわしてるようで、理想像はしっかりしている。
    理想像があるからこそ素敵な人間や体験に出会えるのではないかと考えた。

    日常をキラキラした視点で語っていて、
    それでいて共感できる。
    感受性が強すぎるのも、揺るぎない地位を得るのもきっとすごく大変な事なのはわかるけど、
    彼女から見える世界に嫉妬してしまう・・。そんな素敵なエッセイです。
    手元に置いて、適当にページを開いて読み返したいなあ。

  • 本好きのちょっと控えめな女の子が描いた素直なエッセイ、という身近な感じがして読みやすい。自分も同じテーマで書いてみたらどんな内容になるかな、なんて思いながら読み進めた。

  • エッセイはあまり読まないのだけど
    ここでの評価が高かったのと
    山崎ナオコーラの文章が好きなので
    普段何考えてるんだろうと思って読んだ。

    このエッセイのときの彼女の年齢と今の自分の年齢が
    ほぼ同じなこともありかなり影響を受けた。

    なんとなく自分のなかにある思いや考えなど
    ふわふわさせて深追いすることすらしていなかったことを
    彼女は短い文章の中に「そうそう!それが言いたかった!」と感じさせる
    見事な表現をしている。
    言葉選びがうまい。
    むしろ私の考えの百歩先に行っていたり角度を変えたり
    なんて部分もたくさんあって感心した。

    「ここはデパートですか?」など小さくても
    くすりとしてしまう出来事がトントンとあるのもよかった。

    ここは心に留めたいと思う箇所が多すぎる。

    あとがきで「初々しい興奮に溢れた文章」と
    山崎さん自身で書いているが
    頑なな決意表明、作家としてのこれからの方向性を
    バシーーッと打ち出しているところなんか
    同年代として迷いに迷って生きている自分としては
    かっこいいしまぶしく感じた。


    あと「この世は2人組ではできあがらない」と
    「長い終わりが始まる」は作者の実体験が結構入ってるんだ
    という発見があった。

  • 小説もいいが、このエッセイ集は特に面白かった。

  • 3回目の応募で見事文藝賞を受賞した『人のセックスを笑うな』作者による、随筆集。

    エッセイを読むより、小説を読んだほうがこの作家がどんな人かわかるような気がした。
    私は、あくまで本業で認めたいと思う読者なので、そう思わせてくれて嬉しい。べつにエッセイがつまんなかったわけじゃない。けど、小説を読まないとこの人がわからないなーと思った。あと、プライドをもって仕事をする人なんだなーと、よくわかった。

    それにしても、昔の恋人には絶対幸せでいてほしい、なんて義なることを臆面もなく素直に言える日が、いつか私にも来るんだろうか。

  • エッセイその他もろもろ。
    間違った文章など無いのだ、という風な一文に衝撃を受けた。この本の所々に散りばめられている著者の思い、文学は芸術であり、自分を自由に表現する手段であるという事が強く伝わってきた。
    文学はクラシックでなくても良いじゃないかと思えた。

  • しゅわしゅわ体の中にすんなりしみ込んでいくエッセイ。
    ナオコーラと友達になりたい。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山崎ナオコーラの作品

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