犬身

著者 : 松浦理英子

• 朝日新聞社 (2007年10月5日発売)

感想・レビュー・書評

[tsuzraさんの感想 · 2009年1月18日]

おもしろさがよくわかりませんでした。現実離れしていくに従い気持ちもどんどん冷ややかになっていきます。文学的こころみを読み取ろうとする忍耐力も私にはありませんでした。

[ramourさんの感想 · 2008年10月1日]

待ちに待った割には、あまり肌に合わなかった。犬になって可愛がってもらいたい・・なんておよそ感情移入できないし。。

[bakzanさんの感想 · 2008年9月4日]

ドッグセクシャルというから、どんな変態的な内容なのか、とか思っていたら、
すごい真っ当な犬と飼い主の関係じゃないですか
フサと梓の信頼関係が軸にあったからドロドロもあんま気にならなかったわ

あと朱尾さんはツンデレのお手本のようだったわ

[刹那さんの感想 · 2008年8月25日]

「あの人の犬になって、犬として可愛がられたい」。自分は犬であるはずなのに、なぜ人間なのか。そう悩んでいた房恵は、ある時不思議なバーテンダーと「自分の魂を代償に、犬になり、好きな人に飼われる」という契約を交わす。房恵はフサという名の犬になり、思い人・梓の飼い犬となるが……。
歪んだ家庭に苦しむ梓の傍に、よりそうフサ。言葉はなく、性的感情もない。あるのは身体を触れ合わせ、少しでも梓を癒そうとする犬としての愛。
難しい題材を濃密な文章で描き、陰惨な世界観を醸し出しながらも、心温まるラストシーンまで息をつかせない素晴らしい作品です。

[解雇堂あろゑ。さんの感想 · 2008年8月2日]

一気に読んでしまいました。
完成された文章もさることながら、内容も充実していて言う事ありません。

犬になりたいという願望を持った性同一障害ならぬ種同一性障害の女性の話。
主人公の梓に対するひたむきで一途な気持ちが、とても美しかったです。

内容的にはグロテスクでおぞましいと思うところもありましたが、不思議と読むのが嫌になりませんでした。
これからはゆるやかに幸せな人生（そして犬生）を送って欲しいものです。

[辺土名小次郎さんの感想 · 2008年7月13日]

帯表
『親指Ｐの修業時代』から14年。
今、新たに切り開かれる
魂とセクシュアリティ。
あの人の犬になりたい。
そして、人間では辿り着くことのできない
心の深みに飛び込んで行きたい。
帯背
さまよえる犬の魂
帯裏
「こういうわたしにセクシュアリティというものがあるとしたら、それはホモセクシュアルでもヘテロセクシュアルでもない、これは今自分でつくったことばだけど、ドッグセクシュアルとでも言うべきなんじゃないかと思う。
好きな人間に犬を可愛がるように可愛がってもらえれば、天国にいるような心地になるっていセクシュアリティね」

[NY-Bookさんの感想 · 2008年6月15日]

松浦さんLove

[jyunko6822さんの感想 · 2008年6月8日]

あの人の犬になりたい・・・
種同一障害、珍味な魂などなど初めて体験する分野でしたが、
内容はハラスメント、そして殺人、ストーリー的には
ありがちな。
でも、一字一句詠み落とすのはもったいないほどの。
文章作りの丁寧さには心酔いたしました。
私の犬好きはそこそこの程度のものだったんだなぁ〜
極めればここまでなのね。

[makkenさんの感想 · 2008年6月6日]

本当に面白い「純文学」。犬になりたい房恵がほんとうにフサという犬になる。飼い主の「女性」との間に新しい性愛関係は築けるのだろうか。いまどき「悪魔」まで登場しちゃう、不思議な不思議な作品。

[多賀さんの感想 · 2008年6月2日]

読書完了日2008年06月01日。人間関係がとっても複雑怪奇で感情の縺れ具合が秀逸だと思いました。ただ病んでいる人が多いかなぁと（笑）マトモな人はいないのかー！類友…といってしまえばそれまでだけど。

著者プロフィール

１９５８年生まれ。７８年「葬儀の日」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著書に『親指Ｐの修業時代』（女流文学賞）、『犬身』（読売文学賞）、『奇貨』『最愛の子ども』（泉鏡花文学賞）など。

「2022年 『たけくらべ　現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」