- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022503473
作品紹介・あらすじ
子供が「選抜」で真っ先に殺された二つのゲットー、アウシュビッツ、死の行進-たった10歳の少年がひとりぼっちで生き延びたのは、いくつもの幸運が重なったからだった。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
幸せな子、という言葉の複雑さ、深さを思うと言葉が出てきません。
アウシュビッツを一人で生き抜いた少年の物語。後に国際法を学び、人権問題で活躍されている著者が、振り返った過酷な体験を、まるでそばで語りを聞いているような分かりやすさで伝えてくれています。
次々と彼と家族、仲間を襲う命の危機、そして殺されていく周囲と、偶然と知恵と援助と勇気とで切り抜けて生き延びる少年、トニー。
あえて、非人間的という表現は使わない、と書いている箇所がありましたが、人間としていかに生きるべきか、悲劇を繰り返さないために何ができふか、何をすべきか、問われています。
読むことが、ささやかでもその一助になればと思います。 -
いくつもの幸運が重なり、アウシュビッツ強制収容所から生き延びて国際司法裁判所判事にまでなったトーマス・バーゲンソール氏の自伝。
「ある人は、たとえ自分が損をしても品性と威厳を失わない倫理的強さを持ち続けられるのに、ある人は、自分の生存のためなら人を殺せるほど無情になれるのは、人間の内にある何によるのだろうか。」
これは日常でもふと感じる疑問。改めて、"人間の内にあるもの" に思いを巡らす。言葉にできるような答えは出ないけれど。。
「僕はこれから踏み出そうとしている人生が、過去のために台無しにされたり、壊されたりすることは許さないつもりだった。過去は僕の将来に力を与え、そして意味を与えてくれるはずなのだから。」
私たちはつい、どうにもならない過去の呪縛に苦しんで、限りある人生の時間を費やし、未来への道を自ら閉ざしてしまったりするけれど、そんなの悔しいな…と改めて思った。過去に未来を潰させてはいけないよね。
「ホロコーストで自分たちの身に起こったことを忘れずにいることは重要だけれど、僕たちにしたことの責任を、犯罪人の子孫に負わせないことも同じくらい重要だ… そうしなければ、憎しみと暴力の悪循環は決して終わらないのだ。」
きっと彼には使命があって、だから生かされたのだろうと思わずにはいられない。
-
幼い子供ながら、アウシュビッツやその他の強制収容所に移送されても何とか逞しく生き延びた著者の自伝。アウシュヴィッツに送られたことを幸運と言い(運良く選別されてガス室送りにならなかった)、たくさんの人に助けられた幸運を、現在の仕事である国際司法や人権問題に生かしている。著者の人柄の良さが感じられる。
-
比べる物ではないのは重々承知だが、夜と霧に比べるととても読みづらい。訳が良くないんだと思う。それと戦争後の話は必要だったのか…
-
幸せな子という題だが この著者の生きようとする生命力の強さと機転の早さが ホロコーストを生き抜くという幸運を手繰り寄せたのだと思った。
残念ながら お父さんとは再会できなかったが、お母さんと再会できて 本当に良かったと思った。 -
アウシュビッツの悲惨さ…涙でそうになった
-
2009/5/12