役にたたない日々

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.72
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本棚登録 : 257
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022504258

感想・レビュー・書評

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  • シズコさんを読んで、また、あの谷川俊太郎の妻だった人と解説で知り、俄然興味が。期待を裏切らない迫力の筆調で、年を取ること、病気になること、その日々を、淡々と語る。人生の残り時間を知り、金勘定をして、生涯最後の車にジャガーを買う。なんと言うかっこよさ、なんと言う潔さ。でも、彼女のように生きるのは、難しいだろうなあ。自律神経失調症や鬱病と長年戦いながら、生活のために、書き続けた一生。圧巻。

  • 若いころ”オバタリアン”なんてことばも流行っていて、おばさんになるのはいやだなぁ~と思ってたような気がする。だが実際おばさんといわれる年令になってみたら、案外おばさんて悪くない。おばさんが何をしようが他人は気にしていないことがわかるし、この先生きていく時間はこれまで生きてきた時間より短いので、躊躇わなくなる。躊躇ってやめちゃうなんてもったいない。やってみたらあると思っていたハードルは、意外とひょいっと越えられることにも気づいたし。そうしたら、バアさんになった68才はどうやらもっとすごいみたいだ。「この先長くないと思うと天衣無縫に生きたい、思ってはならぬことを思いたい」
    そうはいっても老いは酷だし、癌ともつきあってかなきゃならない。痴呆で寝たきりの母親もいる。佐野洋子はときにぷんぷん怒りながら、ときには声をあげて泣きながら、またあるときは韓流スターに熱をあげて舞いあがりながら、余生を楽しく生きている。そう、癌で余命二年の宣告を受けた時さえ、十数年苦しめられたうつ病がなおり、人生が急に充実してきたという。「死ぬとわかるのは自由の獲得と同じだと思う」
    彼女は幼少のころ大陸で終戦を迎え、困窮ゆえに兄弟を亡くしている。わたしなどには想像のつかないひもじさや苦労を経験してきた人だ。だからこその天衣無縫な「今」なのだ。ちゃらちゃら生きてきた自分が同じようなことのたまうなんておこがましいのだった。
    ただしゃべっているような、思うがままに綴ったかのような語り口で、たびたび声をだして笑ってしまうのだが、おなじくらいに切なく哀しく、泣かされる。かみしめるべき名言がそこかしこにある。この先の人生の指南書かもしれない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「おばさんになるのはいやだなぁ~」
      いつまでも若々しくありたいと思うのは男も女も同じでしょうね。確かにオジサンやオバサンって人間性丸出しの下...
      「おばさんになるのはいやだなぁ~」
      いつまでも若々しくありたいと思うのは男も女も同じでしょうね。確かにオジサンやオバサンって人間性丸出しの下世話さがあって、何と言うか、、、マイナスイメージがありました。
      そんな訳で私は仙人になりたいなぁと、中年熟年を飛び越すコトを願ってました(まぁ、そんなに長生きは出来ないと思いますが)。。。
      「この先の人生の指南書かもしれない。」
      きっと、生きるコトに貪欲でありながら、自然体の人だったからでしょうね。。。
      2013/03/21
  • 2003年秋から2008年冬までの日々。
    二回結婚二回離婚、子どもを育て上げ、ボケた母を見送った著者。
    「達観」という言葉が思い浮かぶ。
    ガンを患いながらも、美味い物を作っては食べ、ボケた母を見舞い、幼くして死んだ兄弟を思い出し、韓流に現を抜かし、友と語り怒り愚痴り、日々を過ごす著者。
    「佐野さん、良い人生でしたね」と著者に声をかけたい気持ちになります。
    でもきっと「あんたなんかに言われたくないね」と怒られそうだけど。

  • 文学

  • 友人の薦めで、終わりのほうだけ読みました。

    ◆2007年夏

    >私は18のときからわかっていた、夫婦生活の何十年かはとてもつらかろう、しかしそのつらさを持続する事は老後のためだけである。もう誰も華やぐ命など与えてくれなくなった同士が、縁側で、「柿むきて云うこともなく」お茶を飲む日のためにあるのだ。

    間違いではないと思いますが、これは考え方次第だと思います。例えば紅葉を「葉の老化に伴う非適応的な副作用である」と言ってしまえばそれまでですから。

    ◆2008年冬

    >「佐野さんはもう一年位で死ぬのに、こわくないの」
    「全然、だっていつか死ぬじゃん、そんなのわかっているじゃん。」
    「だけど何で、そんなに平気で元気なの、こわくないの」
    「こわくないったら。嬉しいよ。あんた死んだらもう金いらないんだよ、かせがなくたっていいんだよ、金の心配しなくていいだけでもラッキーって思うよ」
    「こわくないの」
    「こわくないって、それにガンってすごくいい病気だよ、死ぬ時に死ぬじゃん、もっと大変な病気いっぱいあるじゃん、リューマチとかだんだん悪くなるだけで、ずーっと痛くて治らないとか、死ぬまで人工透析するとか、脳梗塞で寝たきりで口がきけないとか、体が元気で痴呆とか、何でガンだけ『ソウゼツなたたかい』とか云うの、別にたたかわなくてもいいじゃん。私、たたかう人嫌いだよ」


    >私は今、何の義務もない。子供は育ちあがり、母も二年前に死んだ。(略)二年といわれたら十数年私を苦しめたうつ病がほどんど消えた。人間は神秘だ。

    >でも思う。私は死ぬのは平気だけど、親しい好きな友達には絶対死んで欲しくない。死の意味は自分の死ではなくて他人の死なのだ。

    >人はいい気なものだ。思い出すと恥ずかしくて生きていられない失敗の固まりのような私でも「私の一生はいい一生だった」と思える。本当に自分の都合のいいようにまとめるのは私だけだろうか。

    気に入ったところを抜粋しました。
    ご冥福をお祈りします。

  • 老いていくとはこういうことなのか。それでも飄々と日々を過ごしていく。笑えるエッセイ。

  • 日記形式で本当に日記みたいな文章が続くのですが、これが面白くてどんどん読めました。韓流ドラマに嵌まる佐野さんの様子がおかしかったです。

  • 2016*1*6

  • 特に最後の章がいい。
    亡くなる2年前に書かれている。
    これ読むと、元気に(?)死ねそう。

  • 小気味いい人だわー、絵本作家とは思えない…

  • 読むときが良ければ、楽しめるのかも。

  • 佐野さん、お亡くなりになっていたのですね。
    老いを意識して、どう生きるか。作者の考え方、過ごし方は好きです。

  • 作者、佐野洋子さんのとりとめもない日々をとりとめもなく綴った本。
    最初に、石田純一が有栖川何とかに騙されてご祝儀を置いて返ったなんて話が乗っていて、これっていつの話・・・と思いながら読んでいたら、ちゃんと話の最初に2003年秋と書いてありました。
    そこから始まり、2008年の冬まで、春夏秋冬毎に綴られた佐野さんの日常。
    以前この人の本を読んだ時も思いましたが、「とりとめもない」という表現がピッタリじゃないかと思います。

    だって、「プロジェクトX」を見て泣いてたなんて話から突然野菜にドレッシングをかけて食べた話へ、そして手袋が一つしかないという話からベニスの街並が目に浮かんだなんて話へとどんどん話が飛んでいく。
    だからこっちもまともに読もうという気にはならないけど、でも興味があるから見てしまう・・・。

    それも佐野洋子さんの人間的な魅力からくるものでしょう。
    相当に癖のある人だというのは文章からも書いてある自身の行動からも伝わってきます。
    例えば、大震災の被害にあった友人に慌てて電話して何を言うかと思えば、
    「レバーペーストの作り方教えて」
    なんて言葉だったりする。
    何て自分勝手で非常識な・・・。
    もちろん、友人は大激怒したらしい。(当然だ)
    私もそりゃ、それはないだろうと思いつつも、何故かこの人のした事だと思うと本気で怒る気がしない。
    それがこの人の人間力じゃないかな?と思う。

    またこの本には、食べ物の話がたくさん出てきて、この人は食べることを大切にしてきた人なんだなぁ・・・と思いました。

    タイトルの通り、読んでいて「役に立つ」という本ではないけど、読んでいる間、独特な佐野ワールドに浸り、その感性に触れることのできる本だと思った。

  • 「100万回生きたねこ」の作者だと知らずに題名に惹かれて購入しました◎ジャケ買いです◎
    素晴らしい作家は精神病の人が多い‥ような気が(?_?)

  • 佐野洋子さんのエッセイは初めて読みました。
    初めの数行で、読むのを止めようかなと思う文章でした。ちょっとにがて・・・。
    エッセイはほとんど読まないので、こういう物なのかなと、思って読み続ける事にしました。

    佐野洋子さんというと『100万回生きたねこ』はロングセラーで、『おじさんのかさ』や『だってだってのおばあさん』がうちにもあります。子どもたちによく読み聞かせました。
    絵本とまったくイメ―ジがあわないのです。

    内容は正直、おもしろかった。同感するところが多かったです。

    このエッセイは2003年から2008年まで雑誌に掲載されたものをまとめた物です。

    この中で、佐野さんは60代後半。自分を小母さんといい。自分の事、周りの友人達との関わりなどが多く描かれていました。しかも、かなり辛口、悪口?。芸能人や著名人も実名で揶揄する場面もあります。
    母親が長く痴呆を患っている事と年齢の事もあり、呆けについて恐怖感を感じているような場面がよく出てきます。

    読み続けるうちに、佐野さんが戦争で随分食べる事に苦労した事。子どもの頃にお兄さん、弟さん、父親を亡くされている事。うつ病だった事。乳ガンで手術をした事。なども書かれていました。

    最後の章は、ガンで余命2年と担当医に言われ、抗ガン剤も延命も断り、昔通に生活する事を選びます。
    もう、お金を残す必要がないと「ジャガ―」を買って、乗る。
    「十数年苦しめられたウツ病が消えた。」
    「死ぬとわかるのは、自由の獲得と同じだと思う。」
    とご自分の死について、何も恐れず、受け入れ、むしろ清々しく語っている。
    しかし、「私は死ぬのは平気だけど、親しい好きな友達には絶対死んで欲しくない。死の意味は自分の死ではなく他人の死なのだ」と言う。

    すごく深い。

    読み終わると、後半になるにつれて内容は死に近づいていたような気もした。

    佐野さんは2010年11月に亡くなられました。

    佐野さんの絵本をもう一度読みたくなりました。


    ■佐野 洋子(さの ようこ)1938年6月28日 - 2010年11月5日
    作家、エッセイスト、絵本作家。
    北京生まれ。7人兄弟だったが、幼少時に病弱だった兄を亡くしている。
    武蔵野美術大学デザイン科卒。ベルリン造形大学でリトグラフを学ぶ。卒業後、デパートで働くが、すべての工程を自分で決めたいと、デザイン、イラストレーションの仕事を手がけながら、『やぎさんのひっこし』で絵本作家としてデビュー。
    代表作である『100万回生きたねこ』は、人生や愛について読者に深い感動を与える絵本として子供から大人まで親しまれている。海外絵本の訳本もある。
    エッセイストとしても知られ、『神も仏もありませぬ』で2004年度の小林秀雄賞を受賞。『役にたたない日々』の中で、がんで余命2年であることを告白していた。2010年11月5日、乳がんのため東京都内の病院で死去。72歳没。没前後も著書が刊行された。2012年には、晩年を記録した映画『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』が公開された。
    喫煙者であり、ガン宣告を受けても喫煙は止めなかった。後年はメディアなどにも多数出演している。(wikipediaより)

  • 佐野さんの最期を読んで、
    私はどうかな、慌ててるか、何かやりかけでミスってるのに気づいたけど手を打てないまま
    ひゅる〜っとアウトしそう。

    ちょっとサプライズとか、
    ちょっと誰かを笑わせたりして、
    ふっと深呼吸して息が止まるといいな。

  • エッセイというか日記。これも三浦しをんの「三四郎・・・」に出てたんだっけ、他の本で見たんだっけ。面白かった。60代後半でエネルギッシュに生きている。鬱病を患っていたとは思えないほど。非常に攻撃的。ぼけていく心配、韓流ドラマにはまること、戦中・戦後の幼少期。この年代の人が強いわけだ。死ぬ直前、のような書き方をしていたけど、亡くなったのは去年だそうだ。やはり強いなー。

  • 見事。というしかない。惚れ惚れする。男前。そしてキュート。水道局や役所の理不尽な対応に切れて怒り揚げ、そんな自分に嫌気がさして友達に電話して「どんどん悪いおばあさんになっていくの」と訴え、え、あんたイイばあさんだったの?を切り返され、ちょっと黙り「もっと悪いばあさんになっていくの」もともと悪いんかい!?とつっこみが行間に入る感じ。佐野さんの死生観にはうちのめされました。がんで亡くなった友人の母上を友人が自宅で看取ったときのエピソード、息してるかな〜って覗いてると目をぱちっとあけて「まだ死んでへんでえ」とのたまった、を思い出しました。

  • 「百万回生きたねこ」の作者
     
     そう感じながら読んだ。

  • 亡くなってからの再読。さらに圧倒されました。これから年をとっていき、ここまでの覚悟が自分にできるのだろうか。生活の一コマ一コマの描写にも、書くこと自体の潔さにも。
    曖昧にしておいたほうがいいとされることに切り込む、切先の冴えは半端ありません。体でつかみとってきた(というよりむしりとってきた)感じの言葉群は、とにかく腑に落ちすぎます。
    文藝別冊で伊藤比呂美さんが書いていらっしゃいましたが、母親との葛藤を言葉にしてくれたことで、私を含め救われる女性がたくさんいると思います。
    女性として生まれ、人生を終える喜びを感じさせてくれる本です。

  • こんな意地っ張りで、粋で、繊細なのに豪快ぶる、
    そんなステキな年齢の重ね方をしたいって思いました。

  • エッセイ。3章で挫折。書いてあるエピソードがつまらない上に、文章が小学校の日記レベル。この頃、当たりの本が多かっただけに、この落差は大きい。

  •  勤めていた学校の卒業生でした。

     先日訃報を聞き、図書館で紹介されていたうちの一冊。

     作風的に群よう子を思い出しました。

     一人身のおばさんの生き方を切り開いていくかと思うと力が湧いてくる、

     その言葉が印象に残ります。

     ご冥福をお祈りいたします。

  • ご冥福をお祈り申し上げます。

  • 2010年4月8日(木)に読んだ。

  • やっぱり好きです。

  • 壮絶な日記。「シズコさん」と重ね合わせるとより凄みが増す。幼い時の戦争体験が存在の根幹に居座っている、というより、意地でも居座らせ続けてやると覚悟している人のエネルギーが立ち上ってくる。その力は、この作者の場合もやっぱり自らをもむしばんでいて、「乳ガンなんかより何万倍も」つらいという神経症やうつ病にのたうっている。間近に迫っている「死」を休息の時と待ち受ける姿に言葉もない。

  • 大変 面白かったですお正月に葉っぱのために雪をかき分けて友達のところに行く話とか

  • 著者の、毅然とした生き方に圧倒された。
    韓流にハマる様まで毅然としている。
    体と記憶力が衰え、老いと向かい合い、死を感じながら
    暮らす日々を飾らずに記す率直さ、本当にかっこよい
    と思う。

  • 「役に立たない」とは・・・ 社会に対して?家族に対して?人は何かの役に立っていると思いたい。そう思いながら生きたい。役に立っていないと、自分を否定されているようで悲しい。でも作者は、悲しがりも寂しがりもしない。呆けてしまった母親との確執を抱え、今時の若者を批判し、自らの老いを嘆く。でも暗くも明るくも、投げやりでもなく、現実をしっかり見据え、逃げない。あっぱれである。二度、結婚されたらしいが、その一回は確か、谷川俊太郎さんだったと記憶しているが、このエッセーを読む限りどうもイメージ(夫婦の)がわかない。

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家、エッセイスト。おもな著作に、絵本『100万回生きたねこ』『わたしのぼうし』、童話『わたしが妹だったとき』、エッセイ『神も仏もありませぬ』など。2010年没。

「2019年 『はればれ、お寿司 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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