天使のとき

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022504517

感想・レビュー・書評

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  • 佐野洋子というひとの、骨太でタフな感性は好きだ。
    骨太でタフと書くと、何事にも動じない、揺るがない人というイメージを持ちがちだが、
    この人は、しっかり揺るぐし、泣きも怒りもする。そして多分深く傷つきも・・・。
    だけど、この人の泣き方はめそめそではなく、うぉーんうぉーんだろう。
    怒り方もふつふつではなく、ぐらぐらだし、どかーんだろう。
    佐野さんの本を読んでいると、そんな気がする。
    この人は潔いのだ、そして逃げないのだ。
    傷を隠すのではなく、傷を秘めて、二本の足でどっしり立つ。
    そんな人間だという気がする。

    そして、そこに憧れる。

    「天使のとき」は、兄妹の話しなのに、エロくてグロい。
    そこに出てくるチチハハへの描写も辛辣だ。
    コドモから見た親というのが必ずしも尊敬と信頼の対象でないという
    複雑な関係性がきっちりと描かれている。

    だけど、コドモは逃げない。佐野洋子も逃げない。
    あたたかい愛には包まれてはいないけど、これも家族のお話だ。

  • チチとハハから生まれたアニと私。
    ハハはビチビチウンチばかり出すアニを愛し、私のことはそうでもない。その代わりにチチは私を愛す。
    アニと私はカミの住む家へ行き、チチとハハの死ぬところが見たいと頼んだ。どうやらアニは死んでるらしい。

    ハハは私が中年になるまで死なないと私は知る。

    -----------------------------------------------

    佐野洋子さんとお母さんの関係を置き換えた話だったのだろうか。でも、エッセイで読んだお父さんと佐野さんとの関係性と、この本のチチと「私」の関係性はなんだか違う感じだったから、単純にそういうことでもない気がする。
    カミが出てくるあたりから違う世界の話になってしまって、そのままよくわからないまま終わった。

    本を読むということはこういうことなのだ。こういうときはそう自分に言い聞かせることにしている。よくわからない本だって世の中にはたくさんあるのだ。

  • わけわかんないけど、そこまで母が憎かったのか、と言う事だけはわかった。

  • 兄や父母への思い。
    強い意志を持った子どもだった著者。

  • 2014 9/6

  • 佐野さんの他のエッセイを読んでいたので理解はできる。でも、またまた強烈である。
    でも、絵に描いたような幸せなファミリーばかりではない。こういう「どーん!」とした本も必要。

  • ここまでの感性は判らないというのが正直な話。

  • 洒脱なエッセーとは違って、これまたシュールな家族の物語。
    すっ飛んだ表現が、佐野さんらしい作品。

  • 親から学ぶものは大きい。生を受けた時から死の瞬間まで、自分を形成する概要を受け継ぐ。子供時代は残酷でありえるから、自分の親でさえ、生きているのに死んだことにすることはできうる。僕の一番古い記憶が、曾祖母の死の瞬間なので、死を望んでいたと思われるこの物語は強烈に心に残った。たぶん当分この本を再度読み返すことはないだろう。

  • 『シズコさん』につながるハハとの葛藤、アニとの至福の時間。誕生から死へとぐるっとまわる命の物語。チチはハハにのしかかり、ハハは私を憎み、私はアニとたわむれる。家族のシュールな物語を描く、幻の名作、遂に刊行。エッチング12葉付き。

  • 感性で読むのがいちばんよろしい。

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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