- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022504562
作品紹介・あらすじ
中国、韓国、台湾、ベトナム-。「アヘン戦争」から「中国の改革・開放」まで、10のテーマを切り口に歴史の現場のいまを訪ね歩き、東アジアの「つながり」と「異なり」を理解する。
感想・レビュー・書評
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2007〜08年新聞連載の書籍化。現在との関係を意識して東アジア近現代史の10のテーマを取り上げており、通史ではなくエピソードという感じ。ある程度簡略化しているのは仕方ないだろうが読みやすく、国外も含め記者の取材が豊富で各地の視点が分かる。ソウル龍山に日本軍が駐屯したのは、鉄道拠点が近かっただからとは。
各章ごとに日中韓台の中学生教科書を比較している。日本の教科書は、その10年前と比較すると「南京大虐殺」の呼称が改められたり、国民とアジア各国での犠牲の記述が簡略化されたりしている。授業時間が減ったことと時代背景の両方の要因があるようだ。満州事変と満州国建国は「侵略」としているが。他国からはどう見えるのだろうか。また、台湾の教科書はかなり「台湾化」している。
教科書も含め、各国の歴史認識の違いがよく分かる。一国の中でも、韓台では民主化の前後で、中国でも国民党の役割の評価で、変化がある。日本には国立の戦争博物館のような「公的記憶」がまだないことが指摘されているが、あとがきにあるように、「『異なり』を理解する」ことが重要なのだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史を東アジアそれぞれの国の視点からみたらどうなるか、東アジアという大きなくくりでの連関を歴史から探ろうという本。
昨今鳩山政権が言う東アジア共同体構想に立ちはだかる歴史認識についての本。企画力、取材力ともに今まで自分が読んだ本の中ではベスト。まぁ、自分が歴史好きなことを除いてもこの評価かな。