パリ音楽散歩

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  • 朝日新聞出版 (2008年7月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022504593

作品紹介

ピアニスト、フジコ・ヘミングさんが音楽をテーマにパリをガイド。ショパン、ラヴェル、ドビュッシーらのゆかりの地を案内しながら、とっておきの散歩道を教えてくれます。

パリ音楽散歩の感想・レビュー・書評

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  • 花泉図書館。

  • 先に読んだ本よりは上品(?)な感じ。
    パリってあんまり音楽のイメージなかったんだけど、芸術の都って言うくらいだらか、ゆかりの音楽家はたっぷりいた。
    オケマンにはなじみがないかもね。
    遊びに行っても楽しめるかもしれないと思った。

  • クラシック音楽好きがパリに行く前に、この本を!パリで活躍した音楽家達の足跡を楽しい文章で紹介しています。

  • 冒頭の何頁かをぱらぱら眺めていて、最初に手にとったときの思惑とは違うな、と思った。
    『パリ音楽散歩』と題されたこの本は、著名な日本人ピアニストが、あそこはあの音楽家が暮らした家、そこはあの名曲が生まれた場所、みたいに案内してくれるガイドブックのはずであった。

    「おや」と思ったのは3ページ目の一枚の写真が目に留まったときだ。 老ピアニストが古本屋の前のワゴンを覗き込んでいる。屋外の店ではない。天井のすりガラス越しの柔らかい光が、彼女の白髪交じりの頭や肩を優しく照らしている。私の記憶に間違いがなければ、そこは、パサージュ・ジェフロアの中の古本屋のはずだ。だから、彼女の背景にアウトフォーカスでぼんやり映っているのは、ホテル「ショパン」の入り口であるはずである。

    パサージュと呼ばれるこのパリ独特の屋内商店街は、アーケードやショッピングモールとは、その歴史の古さが決定的に違う。電気照明が普及する前からあるものだから必然的に天窓からの自然光を活かした作りになっていて、それ故の優しく温かい明かりと、部分的に残る陰影とが特徴だ。 この光と影の中に切手専門店だの蝋人形館だのという、ようやく命脈を保っている時代遅れの店が寂れ切らずに残っているのだ。

    鹿島茂さんの著作で、そのパサージュの魅力について読んでいた私は、一昨年のパリ滞在のとき、半日パサージュ巡りをした。現在ではなく、何か追想の中のパリを歩くようなその魅力にすっかり嵌まった。のたのた歩きながら、過去のどこかを彷徨うような老人の姿に魅せられ、何回もシャッターを切ったりした。 フジコが立っているのはまさにそこだった。

    この一冊は、後段こそ音楽にまつわるパリの名所案内になってはいるが、第1章「パリのピアニスト」は、パリで功なり名遂げた彼女が順風であったわけではない人生を振り返る、いうなればこうして私は「パリのピアニスト」になったたという回顧録だ。 女子高生だった17歳の時、デビューコンサートを成功させ芸大のピアノ科に進み修了する。間もなくウィーンでピアニストとしてデビューという念願のチャンスを、突然の病魔により聴力を失いふいにする。 絶望の中、貧しくて砂糖水だけで飢えをしないだこともあった。

    病院で掃除婦をしていたときのことだ。 その病院のサロンにピアノがあって、思わず触れてみた。そしてそのまま弾いてしまった。患者さん、お医者さん、看護婦さんたちが集まってきて、静かに聴いてくれた。皆がとても喜んでくれた。
    「また、弾きたい」とそのとき心から思った。 国際的ピアニストたるフジコ・ヘミングが誕生したのは、天才と呼ばれた17歳のときでも、順風満帆に芸大を卒業した時でもない。絶望の淵でも最後の希望を捨てず、弾く喜びを心から感じたというこの瞬間であったのに違いない。

    それにしても、なぜ若い芸術家は誰もかれもがパリに憧れるのだろう。 フジコも東京やベルリンではなく、活動の場として、そして終の棲家として選んだのはやはりパリだった。 私が思うに、それはニューヨークや東京とは違う、パリの街の寛容さ故ではないだろうか。珍奇なもの個性的すぎるもの、あるいは老いたものや弱いものに対する大人の包容力がパリという街にはある。マンハッタンや渋谷では見かけなくなった物乞いをする乞食が、サンジェルマン・デュプレ界隈では悠々と生き残っている。彼らを見つめる街の人々のまなざしも全く冷たいものではない。パサージュのような200年も前の商店街が死に絶えていないのも古いものへの優しい気持ちの表れだと思う。
    喩えて言うなら、ビールのように一滴残さず飲み干してしまう酒と、ボトルの底に滓が残るワインとの違いのようだ。数多いパリの魅力のひとつは、この古いものも完全に捨て去ることはしない包容力だと思う。
    そしてまた、その包容力は、若い芸術家が宿命的に背負い込んでいる「貧しさ」だとか「偏狭さ」だとか、場合によっては「無軌道さ」さえも優しく受け入れくれる懐の広さがある。勿論それは、お節介に親切を施してくれるというものでは金輪際ちがう、自分とは異なる個性も、その存在を認め、ほっといてくれるという類の包容力だ。
    だから、歩道に溢れる犬の糞のことを愛犬家以外も苦情を言わない。日本の大阪並みにどの通りにも路上駐車が常習的に行なわれているが、クルマを持たない人が迷惑だの邪魔だのと騒いだりしない、愛煙家じゃない人もタバコを吸う人たちを煙たがらない。
    こういう、人と違っていてもほっといてくれるパリの街は、やはり若い芸術家にとっては居心地の良い所であるに違いない。

    また、私はパリに行くだろう。 パサージュを彷徨いながら名も知らぬ老人の人生を追憶するだろう。若き芸術家たちが憧れたモンパルナスもモンマルトルも歩くだろう。

    そして、フジコが歩いた跡を歩くだろう。

  • フジコ・ヘミングが、彼女の暮らすパリを案内する。
    音楽・カフェ・雑貨―パリのおしゃれな雰囲気が伝わる。

    パリ、行ってみたーい!!

  • ピアニスト、フジコ・ヘミングによるパリ音楽ガイド。
    彼女がおしゃべりをしながらパリゆかりの音楽家、ショパン、ラヴェル、ドビュッシーなどのゆかりの地や、お気に入りのパリの散歩道を案内する構成になっています。

    文章が語り口調になっている点に、あまり慣れずにとまどいますが、TVの音楽紀行番組と考えれば、すんなり読めます。
    さまざまな作曲家への尊敬の念や、パリを愛する気持ちが、言葉の端々から伝わってきて、とりわけ彼女が暮らしたモンマルトル、サンルイ島、マレへの愛着がにじみでています。

    「奇跡のカンパネラ」で一躍脚光を浴びた彼女ですが、文章中に「ラ・カンパネラはうんざり、と思うこともある」と書いてあり、なんとも正直な人だなあと思いました。

    パリの石畳がさりげなく似合う人。
    いろいろな苦労を経て、音楽の酸いも甘いも奏でられる人生を歩んだ人だからでしょう。
    豊かではない暮らしを送っている時でも、毅然とした誇りを失わず、優雅な生活を守り続けるという点から、私は彼女に森茉莉のイメージをかぶらせています。

  • フジコさんのエッセイはどれも素敵ですが、今回のはエッセイというより旅がメインだったので星三つ。いつかフランスに行くことがあったら、そのときまた読み返したいと思います。

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