誰も書かなかったアメリカ人の深層心理 その誤解が招いた日本社会の弊害

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022504913

感想・レビュー・書評

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  •  世界的に信頼があるギャラップの世論調査をもとにしている。

     先ずは家族を皆大切に思っていることだ。アメリカ人の殆どがそう思っている。このことは日本人も「同じだよ」と思うかもしれないがアメリカ人はチョトちがうのだ。家族を大切にしていることを日本人は控えめにしてるところがあるけどアメリカ人はそのことを自信を持って前面にだすところが違う。
     「良い家族を持つこと」に続いては「高い自己評価」、「健康」「達成感」「厳しい倫理観に従って生きる」このへんは日本人とそんなに違いはないととおもう。
     続いて、七割が「死後の世界を信じている」それに比べると日本人は二割にも満たない。
     半数が毎週「教会へ通」っている。
    神を信じている人では94%に対して日本人は38%.
    で続いて「あなたの行動を神が見ていると思うか?」そしてそれに対して報酬や罰を与えると思うか?の質問に対してYESと答えたのが

     アメリカ   68%

    インド   90%

    日本    18%

     これはどう解釈すればいいのか、加藤は「心が崩壊して、、、世界で最も市場主義の悪影響を受け」たとしている。つまりは分かりやすくいうと「拝金主義」が見え隠れしているということ。でもその背後には無宗教観みたいなものがあるかもしれない。

     次に金持ちの人を羨ましか思うか?の質問に対して、殆どがそうは思わないと回答している。この背後とあるのは幸福の尺度は「自分とは同じ」だということだ。 「頑張って働く気になれば、お金持ちになるチャンスはあるか?」の問いには「ない」と答えた人は10%でしかない。これぞアメリカドリームだ。

      ここでアメリカ人の資質、性格を列挙すると。

    ○「信じられないような強さと楽観的性質がある」
    ○「家族」を大切にする。しかも内外にアピールするほどの家族愛がある。社会的特色としてはそれぞれの家庭では「犬」を飼ってる人が多いらしい。どこに行くにも一緒。
    ○ はっきりと自己主張する。聖書を90%以上のひとが読んでいる。


     アメリカ人のこのれらのデータ群からみえてきたものは、日本人の真の姿が客観的に知ることができたということだ。つまり、日本人は自分自身に自信が持てないということ、結果おとなしくなる。人よりも目立つことはしなくなり、平均化して、没個性的になる。我関せず、事なかれ主義になっている。


     このことをアジアに目を向けててみると自分自身に自信を持っていて自己主張する国はいっぱいある。中国、台湾、韓国、などである。でも
    私達はアメリカ人やヨーロッパ人に対しては遅れをとって劣等感に近いものをもってるが、アジア人に対してはというとちっとちがう。日本人はアジアにはブライトもってるのだ。「おまえらとはチョト違う」と。

  • アメリカ人が、宗教信仰を土台とし、家族を大事にすることで、貧困層から富裕層まで総じて幸せ。超楽観主義の国

    日本人は、宗教などの土台がなく、家族関係が希薄ゆえ、幸せと感じる割合が低い。超悲観主義の国

    資本主義を論じる場合、日本では「株など金儲けできれば何でもあり」となりやすい

    アメリカでは「単に金儲けでは尊敬は得にくい。能力があり、人々に価値を提供」が尊敬される

    上記が本の要約だが、昔は神道により、日本でも「お天道様が見ている」的なものがあったが、近年はそれらの考えが希薄になり、「何でもあり」を危惧する

  • ――――――――――――――――――――――――――――――○
    アメリカのレーガン政権によってメチャメチャにされたのは日本とイギリスである。サッチャー首相は、レーガン政権の経済政策にならって競争主義、成果主義を取り入れた。しかし残念ながらイギリス人は、アメリカ人ほど強くはない。格差を格差と感じない強さが、イギリス人にはない。イギリス人や日本人には、失敗の中で、自分の人生の明るい未来を思い描く楽観的なところがない。アメリカ人にはこれがある。74
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    心理学者のマズローが、心理的健康な人、つまり自己実現している人の考え方の特徴として「それにもかかわらず」(in spite of)ということを挙げている。ある事実を、心理的に健康な人が解釈するのと、神経症的傾向の強い人が解釈するのでは全く違ってくる。77
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    アメリカにおいて企業が競争主義とか成果主義とかいうものによって経営されようがされまいが、それらのことによってアメリカ人の心理的安定や信頼感のある人間関係は日本に比較してあまり影響されない。(…)アメリカの強さの本当の原因は、所得の低い人たちの心理的安定である。144
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    心の世界を持っていないと、事業に失敗したときに単に「この事業では駄目だった」と思うのではない。これで自分の人生が終わると思ってしまうのである。したがって失敗の怖れのレベルが違う。心の支えがある社会における経済活動と、心の支えがない社会における経済活動とは、どう考えても違う。つまり社会の中における経済活動の位置が違う。人びとの心の中における経済活動の位置が違う。日本ではアメリカに比べて重要な位置を占めすぎている。148
    ――――――――――――――――――――――――――――――○
    アメリカを見習っているつもりで、実は一部の深刻な神経症者を見習っているということもある。(…)そしてまた、アメリカの一部の神経症者を見て「もうアメリカは駄目だ、駄目だ」と騒いでいる人びともいる。230
    ――――――――――――――――――――――――――――――○

  • 夫がアメリカ人なので、バックグラウンドを知るべく読んでみました。

    「権威と宗教と家族を大切にする」
    「家族を大切にしていなければ、経済的成功者も尊敬されない」

    統計結果を数字で表しながら、各国との比較も含めて述べられている。

    結婚・離婚が多いのは「自立」が早く、かつカップル社会だからと考えていたが、
    「素敵な家族」に対するあこがれや信念によるところも強いのかもしれないと考えた。

    読んでみて、夫本人からは聞かないアメリカ像が得られた。
    きっと、夫の方も日本人について私が考えもしないことを、「へー」とか「なんで?」とか思っているのだろうなぁ。

  • 派遣社員を使い捨てのモノ扱いする前は、企業が「心理的な家族という共同体」の役割も持っていたのかもしれない。それが『母性の経営』 http://booklog.jp/users/micahmicah/archives/4883384284 のいうところの、「社員の精神面をカウンセリングする母性型リーダー」名のではないかと思う。読書そのもの、または読書から学んだことを、自分の共同体となる家族として、各々の心の中にすることが、国の経済においても、個人の仕事の人間関係においても大切になる。そのための価値観となる読書を提案することも書評の務めではないだろうか。

  • 「事実」と「真実」は違う
      事実を元にしながら、真実とは正反対の一般化が行なわれる場  合がある。

    「だます心 だまされる心」 安斎育郎 岩波新書
      全部ホントのことを言って、全体として錯誤に導く方法
      肝心の情報を隠すというほ法

  • 事象は心象によって変化する。
    近代化以前の日本人の、「心の拠り所」って何だっただろう? そして現代日本人の、「精神的支柱」になりうる「何か」って何だろう?
    いわゆる「オタク」や「歴史」、「仏像」のブームって、やっぱりそういう「何か」を探す過程だから起こってる現象なのかな。

  • アメリカは、権威と宗教と家族の国である。

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著者プロフィール

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科を修了。元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員。現在、早稲田大学名誉教授。
主な著書に、『自分の心に気づく言葉』『心を安定させる言葉』(以上、PHPエディターズ・グループ)、『心の休ませ方』『自分のうけいれ方』『不安のしずめ方』『自分に気づく心理学』『やさしい人』『絶望から抜け出す心理学』(以上、PHP研究所)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』(三笠書房)、『心と体をすり減らさないためのストレス・マネジメント』(大和書房)などがある。

「2023年 『ブレない心のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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