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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784022504999
感想・レビュー・書評
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作家・北杜夫と、その一人娘でエッセイストの斎藤由香が語り下ろした親子対談。書名のとおり、北杜夫が長年病んできた躁うつ病にまつわるエピソードを中心に、北家の歴史を振り返った内容である。
斎藤由香が最後に「これでインタビューは終わりね」と発言しているとおり、彼女は父から話を引き出す役割に徹していて、対談というよりロング・インタビューのようだ。
対談集というのはじつにピンキリであって、キリのほうには「この著者には本を書く時間や能力がないから、対談ですましちゃえ!」という感じで安直に作られたものが多い。
本書は、どちらかといえば「キリ」寄りである。「ヨタヨタで老いている」(斎藤のあとがきの一節)81歳の北杜夫には、もはや一冊の本を書き上げる余力はないのだろう。「テープ起こしをそのまま載せました」みたいな箇所も散見されるし、どうでもいい雑談も少なくないし、わりとイージーな作りの対談集だ。
とはいえ、だからつまらないかといえばそうでもない。躁うつ病についての印象的なエピソードが満載で、北杜夫ファンなら最後まで興味深く読める。躁期になると株売買にのめりこむ奇妙なクセをもつ北杜夫は、なんと、株で破産したこともあるのだという。
破産に象徴されるように、客観的に見れば悲惨なエピソードも多いのだが、北杜夫も斎藤由香も育ちのよいおぼっちゃん・お嬢様だから、語り口は上品でおっとりしており、読者に悲惨さを感じさせない。
また、うつ病はとかく自殺念慮に結びつきがちだが、北杜夫はうつ期にもまったく自殺念慮を起こさないそうで、それが救いになっている。「楽しい躁うつ病」などというお気楽なタイトルにできたのも、一つにはそのためだろう。
印象的な一節を引く。北杜夫が躁病を発病して気持ちが昂ぶり、夫人にも暴言を吐くようになった時期のエピソードである。
《由香 ママは泣きはしないんだけど、最初の頃は、悲しがってばかりいたママが、義母の輝子おばあさまに相談すると「私も茂吉とうまく行かなかったときに、お父様から看護婦になったつもりでいなさいって言われました。喜美子も宗吉に対し、看護婦だと思ってつきあいなさい」と説得された。
それで急にあるときからママも元気になっちゃって。パパが「出て行ってくれ!」と言うと「あなたは患者さんで、私は看護婦です。しかも、ひとりしかいないから婦長さんなのよ。婦長さんで偉いから、あなたこそ、私の言うことを聞いてください!」と言うようになっちゃって。
北 あの頃は大変だったなあ……。
由香 大変ってママが大変だったの! また他人事みたいに(笑)》 -
躁うつ病は、仕事も家族も失ってしまうと、言われます。北氏のように、長期間にわたって家族を巻き込んだ闘病生活で家族が離散しなかったことは賞賛すべきです。,現在の社会情勢が違うことや、北氏が著名人であったことによる求心力が一般人と異なることが要因なのかもしれません。,でも、こんな明るいテイストの対談集を娘と出せるとは、うらやましい限りです。
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予想に違わず、おもしろい本だった。
いずれにせよ、人間は「矛盾の束」である。完璧な人間などいないのだから、いい加減に生きるのがうつ病にならないコツだと、私は思う。
北杜夫の前書きのことば。
60点で満足、それでいこう。 -
北さんて変わってるね(笑)
躁病を楽しんじゃうなんて、無敵の考え方だな。
素敵なご家族。
お庭で表彰なんて、豊かな、味わいある人生だなって、ご苦労の部分も含め、思った。
注目されるひとって、対価を支払っているんだな。
なにかをたくさん持ったら、なにかを手放さなきゃならないのかもしれない。
愛は例外? -
図書館で、たまたま目に止まった本。
対談形式で、あまり面白くなかったが、
同じ症状をもつ父の子として、
あ〜あるあると、思いながら読んだ。 -
全然進まず。途中で返却。
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医学博士で著述家の北杜夫氏と、その娘である斎藤由香氏の対談本。
中身は、娘が生まれたときの思い出話から始まり、躁病で株をやり続け、借金を作る杜夫氏の状況などが書いてある。
いや~、なかなか躁病の実態はうわさでしか知りませんが、本当にすごいですね。中身は濃くないですが、その時の状況、そして家族の見守っている姿はなかなか読んでいてほのぼのしました。 -
雑誌で由香さんのエッセイを読んだことはあったけてど本は初。大変なのにのほほんとした不思議な対談。
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図書館ぶらついてて目にとまったから借りてみたんだが微妙だった。
おそらく超有名で裕福な方々なんでしょうが、私はお二人のこと全く知らず…
対談形式はいいんだが、前半は家族の思い出話ばかりに思え、よーわからん。。途中で読むのやめた。 -
将は-7
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躁うつ病の存在を一般に認知させたことで有名な北杜夫氏とその娘さんによる、北(斎藤)家の思い出を語り合った対談本。北氏は80歳を超えるご高齢なのもあってか、話がかみ合わない部分も多く、やや読みにくい。さらに老人特有の「都合の悪いことは忘れる」傾向も見て取れ、対談本でありながら少し読み進めるのに疲れる。
私自身同じ病気の当事者であるが、一読して得た感想は、「うらやましい」であった。
もちろん、本人もご家族も病気と付き合いながら生活されてきたことは大変だったと思う。しかし、作家(北氏によれば「著述家」)という職業は、毎日同じペースで仕事をしなければならないサラリーマンと比して、病気を受け入れ、ありのままの姿で生きることがしやすかったであろうと思われる。
また、これは私の僻みでもあるが、北氏はかの斎藤茂吉の実子であることから、いつも家に「お手伝いさん」がいたり、まったく浮世離れした世界の中に暮らしている。まさに上流階級の世界で、私などとはまったく生きている環境が違うのだな、と改めて実感させられた。 -
うつ病も今は現代病として有名ですが、それを知らしめたのは北杜夫と言われていると本人は言っているという話から、躁病、うつ病のエピソードまで話しているのが、おもしろいです。
それにしてもここの一家は、乱気流のようなエピソード満載なのに、明るく生きていて素晴らしいと思うのです。
どうにでも生きられるのかもしれないなぁとある種の勇気は湧いてくる、かも。 -
作家・北杜夫とその娘・齋藤由香が対談。北杜夫の躁鬱病生活の一部始終を赤裸々に、明るく語る。
まず、作家というものは、かくも変わり者なのかと驚いた。躁鬱病であることもあるだろうが、それにしても思考が常人とは違う。躁状態の時のエピソードは確かに面白いが、それを一緒に面白がって付き合う家族の精神も相当太い。実際躁鬱病で悩んでいる人には、こういうケースもあるという参考と、気が楽になるという部分で、良いかもしれない。 -
由香さんの書く斎藤家にまつわるお話は、どこかとりとめの無いような……
でもこれは対談だから、もとより思わぬことが出てきたりするもの、
軽くて楽しい読み物でした。 -
「マンボウ最後の大バクチ」のなかに娘の斎藤由香さんのことが出てきます。
この本は北杜夫さんと斎藤由香さんの父と娘の対談集です。
2009年1月の出版で、「マンボウ最後の大バクチ」とほぼ同じ時期に出ています。
とても読みやすい本でした。
斎藤由香さんは1962年生まれです。
北杜夫さんの35歳の時のお子さんです。
お二人は今82歳と47歳くらいです。
斎藤由香さんが小学生の時に「お父さんの職業調べ」が行われます。
円グラフの勉強のためです。
由香さんは父親の職業が分からず、父親に尋ねると「著述業」ということで困ってしまいます。
いまどき、「お父さんの職業調べ」をクラス全体で行ったら大変です。
でもわたしも小学生の時の記憶があります。
熊本駅の近所の小学校だったので、クラスの4分の1が「国鉄職員」でした。
職業名が模造紙に書かれて張り出されていました。
この親子は夏は軽井沢の別荘で過ごしています。
北杜夫さんは子供を別荘に連れて行ったと認識していますが、由香さんはどこにも連れて行ってくれなかったと見ています。
生活の拠点が移るのと家族旅行は違うというわけです。
由香さんが小さい頃は父親と娘でよく買い物に行っていたそうです。
大晦日の買い物には由香さんが中学の頃まで行っていたそうです。
高校生になると由香さんは友人やボーイフレンドと明治神宮に初詣に出かけるようになっていきます。
由香さんは本職は会社員です。
友人のパワハラ事件についても触れられています。
終身雇用制の崩壊、成果主義の蔓延についても語っています。
リストラかコストカットと鬱病との関連についても由香さんは言及します。
いろいろな作家との交流も豊かです。
遠藤周作、阿川弘之、辻邦生、井上靖との交流について書かれています。
「時刻表二万キロ」の宮脇俊三さんはお隣さんです。
阿川佐和子さんと斎藤由香さんは仲良しだそうです。
阿川佐和子さんの「オドオドの頃を過ぎても」には北杜夫さんと斎藤由香さんとの対談が掲載されているそうです。 -
「どくとるマンボウ」シリーズ、大ヒットの当時お腹を抱えて笑い転げたっけ。
そんな北杜夫氏の躁とうつが交差する長い時間、「破産」まで共に体験してきた娘の由香さんとの親子対談。
おぼっちゃまがそのまま大きくなったような父と、しっかり者でユーモアのセンスは父譲りの由香さん。
文壇での親友、阿川家・遠藤家とのお付き合いもなんだか桁外れのウソ話が交差して面白い。
由香さんは「パパの躁の時の方が面白いよ」と巻き込まれる混乱を楽しむ余裕すらある。
父の躁がなせる嵐にまみれて生き抜いた由香さんは、何があってもたじろがない包容力のある女性に育ったんだね。
今までの来し方を語り合う親子というものはいいですね。
どうぞ長生きしてください。 -
家族、友人、仕事すべてに恵まれてる。安心して病気になれただろう。と思ってしまうほど明るい対談。
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