徒然王子 第一部

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 129
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022505125

作品紹介・あらすじ

不眠症の王子・テツヒトは首都の森に引き篭っていた。ある夜、仙人が現れ、「旅に出るか、憂愁の森にとどまるか」と王子に迫る。世界に再び若さを取り戻すため、そして妃を探すため、王子は元お笑い芸人の従者・コレミツと共に宮廷から家出する。二人は、場末の酒場からホープレス・タウン、奥の細道へと向かう。ドロップ・アウトした人々と出会い、黄昏の国の残酷物語に触れたテツヒトは、仙人・ツルと記憶師・アレイ君の導きで、さらに前世を巡る冒険に出る。

感想・レビュー・書評

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  • 王子テツヒトは病んでいた。

    夜は良く眠れないし、視界は青く染まり、この国の行く末も憂いていた。そんなテツヒトは、元芸人のコレミツを連れてより良き王になるために見聞と妻探しの旅に出る。

    旅の先で色んな人に出会う。
    世捨て人の集まる街では、社会に属さず、自由に生きている人がいた。自然と溶け込んで生きている人もいた。

    そしてテツヒトは前世を巡る旅に出る。
    どんな前世が待っているのか、テツヒトは良き王になれるのか。

  • 明らかに、日本の皇室をモデルにしたと思われる感じがなんとも・・というかそれ以外はどうもこれといって・・・正直何が書きたいのか今一つピンとこない。パロディ小説的なおかしさがあるかと思えば急にシリアスになったり、またちょっとお笑いな感じになったり。。。新聞連載なんでしょうか?ちょっと話に統一感がない。読んでいて「第二部はどうなるんだろう?!」という期待感があんまりないので。。。

  • まだおもしろさが入ってこない
    詳しい感想は第二部で

    読みにくくないのに
    やたら時間かかったから星は2つ

  • 輪廻転生って仏教の概念?
    ファンタジーのような、歴史小説のような・・・なんというジャンルか説明しかねます。
    なんとも不可思議な小説でした。が、不思議と違和感なく受け入れられます。日本人に共通する感覚を上手に表していますね。
    こういう雰囲気は島田さんならでは。この人の頭どうなってるのかなあ、と思います。。

    関係ないけど顔もかっこいいんですよね、島田さんて。

  • 麻呂眉王子。まさかの二部作

  • 朝日新聞の連載小説。最初は新聞で毎日読もうと思っていたが、それができず、これを読むことにした。

    とても読みやすい小説。

    王子・テツヒトは世界を救う人となりうるのか?
    ホープレス・タウン、奥の細道、そして仙人の導きにより、前世を巡る冒険に出る。

    ホープレス・タウンでは、ドロップアウトした者たちの悲痛な声を聴く。この世は失楽園。王子は今生きる現代にも通底している世の行く末を担うことができるのか?
    続きが気になるところだ。

  • 朝日新聞の連載小説。 文庫本にならないかな。

  • 一国の王子が、下界に触れながら自分を見つめ直そうと出奔する。
    世捨て人が集うホープレス・タウン周辺の人々との交流(第1部)から、4つの前世を彷徨う旅(第2部)へと、かなり色合いの違う内容で構成されている。
    長い長い前世を巡るまどろみの旅の後、現世に戻ってきた王子は愕然とする事実を知るが、そこに一筋の光明があり、歴史が続いていくことを確信する。

    1部と2部はどうつながるのか。
    それは端的に、2部385ページ半ばに記されていると思う。
    長いので引用はしないが、歴史は繰り返し、反復する、ということの示唆として、1部(現世)と2部(前世)の出来事が王子のなかで重なっている。

    それでは、著者はなぜ4つの前世、具体的にいうと縄文時代、源平合戦時、戦国の天下人の時代、江戸末期を選んだのだろうか。
    ずっとそれを疑問に抱えながら読み終えたが、その答えは、著者が朝日新聞の連載を終えて書いた一文に示されていた。

    「歴史の転換点では、人々は過去の原則に回帰する。自分たちが独自の文化を立ち上げ、権勢をふるった栄光の時代に。日本は中華文明とは別の文化的理念を打ち立てた時代に回帰すべきで、徒然王子も旅した戦国時代に一つのモデルがある。また江戸時代はほかのどこにも類例のない文化を生み出した直近の過去である。源氏と平家が争った時代もまた中国との貿易利権を独占した一族に対する狩人の末裔(まつえい)たちの反乱だった。そして、日本列島の人々が他民族と違う文化を初めて築いたのは、縄文時代だった。」

    時代の転換期にあって、「日本人とは何か」ということに強く思いを馳せることのできる過去へ、王子は旅する必要があったのだ。
    そして、前世にあってそれぞれ姿や立場は違えど、王子は常に「弱き者」の側に立っていた。
    日本人は本来、弱きを助ける優しさを持ち合わせているはずだ、というのが、本書の最大のメッセージだろうと思う。

    ホ―プレス・タウンは現代の「公界」か?
    「この町は人を原点に回帰させる場所なのかもしれない。人が本来あるべき姿をそっと諭してくれる聖地なのかもしれない」(2-p.385)と書かれているが、王子がそうしたように、いろんな精神的・物理的な装飾物を取り払って、一個の裸の人間として価値があるかどうか、多くの現代人は自らに問う必要がある。

    と、こんな感想を書いているが、ふつうに読み物として面白い。
    ブラックなユーモアも随所に効いていて、読んでいて全く飽きない。
    信長をノブ、秀吉をヒデと呼ぶあたりが、聴覚にも新鮮で心地よい。

  • 天皇家のような、テツヒト。その従者コレミツ。自分探しと妻探しの旅に出る。

  • 前世を彷徨い漂う徒然な王子の物語。
    歴史を背負い、現代を生きていくことの重要さを教えてくれる書。

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著者プロフィール

島田 雅彦(しまだ まさひこ)
1965年東京都に生まれ、東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業。1983年在学中『海燕』掲載の『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビューし芥川賞候補。1984年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞受賞。『僕は模造人間』(1986年4月)『ドンナ・アンナ』(1986年9月)『未確認尾行物体』と、郊外の新興住宅を舞台にした若年層の生活を、奇抜な語彙を用いつつ軽妙な筆致で描く作風で、新世代の作家として注目を浴びる。1987年までに6度芥川賞候補となり最多候補記録。1992年『彼岸先生』泉鏡花賞受賞。『忘れられた帝国』(1995年)、『自由死刑』(1999年)2003年には「自らの代表作とすべく書いた」という『無限カノン3部作』(『彗星の住人』『美しい魂』『エトロフの恋』)を完成。2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞受賞、2008年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2016年、『虚人の星』で毎日出版文化賞受賞。1998年近畿大学文芸学部助教授に就任。2003年法政大学国際文化学部教授。2000年から2007年まで三島由紀夫賞選考委員、2010年下半期より芥川賞選考委員となる。

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