八番筋カウンシル

  • 朝日新聞出版 (2009年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784022505293

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

日常の中に潜む現実と人間関係の複雑さを描いた物語は、主人公たちの母子家庭という背景を通じて、深い共感を呼び起こします。津村さんの作品は、地味ながらもリアルな日常を描写し、登場人物たちの内面に秘めた痛み...

感想・レビュー・書評

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  • タケヤスとホカリとヨシズミの三人を中心として展開される、良くも悪くも、昔ながらの商店街を取り巻きながらの人生模様は、三人とも母子家庭であることがポイントのような気もするけれど、それだけではないことは、読んでいく内に気づくと思います。

    最初は、津村さんの地味ながらも、「ああ、すごくわかる」的な「日常オブ日常」の淡々とした素朴な物語に、少々の毒を加えたシニカルな感覚は、いつもの場所に帰ってきた安心感のようなものを感じていたが、突如、内に秘められた冷たい刃のような事情を知ることで、一気に現実に引き戻されることになる。こういう展開の仕方は本当にすごいと思うし、津村さんの書く男性って、なんでこんなにリアルなんだろうとも思います。それも決して、順風満帆ではない人や、心に痛みを抱えている人を。

    表向きは何ともないように見えても、陰では大変な辛い思いをしている。人生を生きる人たちは、皆、表と裏の顔を持っているものなのかもしれない。別に悪い意味ではなくて、人間は単純ではないという意味で。

    人それぞれが、それぞれの物語と問題を抱えており、それに対して、答えを出せたという感覚を自ら実感できる瞬間が、誰にも訪れるであろうという、希望のようなものを最後には実感させてくれる。
    人の数だけ人生があるという言葉は、思いのほか深い。

  • 津村さんの小説では、初めて登場人物がカタカナという構成のものを読んだせいか、慣れるまでは時間がかかった。。のだけど、
    中盤からだんだん引き込まれていった。

    どこにでもある、ちょっとヒリヒリする現実。
    日々に翻弄されながらも傍にいてくれる友人がいることに安心したり。
    津村さんの俯瞰するような、でも地に足がついた視線は、どの小説からも感じられて、静かに力をもらえる気がする。

    一番好きなラストシーン。
    図書館で借りた本だったので、忘れたくなくて書き写してしまった。
    彼らのこれからに思いを馳せられるような最後からいつまでも続く余韻。
    登場人物と一緒に過ごしていると、途中でしんどくなるときもあるけれど、最後に味わう希望の香り、読後感のよさが自分にとっての津村さんの作品の魅力だなと思いました。

  • 以前、津村さん自身が失業中に実家(祖父)の店の在庫処理のために商売をしていた、と対談で読んだことがある。その頃の経験が盛り込まれているであろう、シビアな商店街もの。
    普通、さびれた商店街に若者が戻り商売をする、というと昔ながらの商店主たちとのハートフルな触れ合いものや熱血感動ものになりそうなのに、それぞれの大人の嫌な思惑が入り乱れ、当の主人公たちも冷静で現実的。事件があり、一応の解決があったり、生き別れの親子の再会があったり、エピソード的にはドラマチック要素があるのに、どうも温度が低くて現実的なのはさすが津村さん。一筋縄ではいかない読み応えのある作品だった。
    それにしても、津村さんの描くアラサーの人達は厳しい境遇なのに、みんな堅実で真面目だなあ、と思う。
    ふらふらといい加減に生きる人への憧れや苛立ちがどこかにあるのかもしれないけれど、そうはできない堅実さが滲み出ている。仕事を続け、生きていくのは辛いし大変だけど、真面目に生きるって悪くないな、と思う。

  • 寂れた地方都市の商店街「八番筋」、カウンシルとは評議会のことで、要するに地元の商店街の自治会(青年会)がそんな風に名乗っている。青年会とはいえ所属しているのはもはや青年ではなく面倒くさいオッサンばかり。

    その商店街で育ち、今はアラサーの同級生タケヤス、ヨシズミ、ホカリ(※女子)の三人は、それぞれ母子家庭で、両親の離婚後母親の実家で祖父母と暮らしていたというのが共通点。

    タケヤスはサラリーマンをしながら作家を目指して小説を書いていたがダブルワークで体を壊し、新人賞をもらったのを機に退職、今は無職でふらふらしている。ヨシズミは東京でサラリーマンをしていたが地元に戻ってきて祖父の文房具店を再興しようと計画、ホカリは会社勤めの傍ら、カフェを開く夢を持っていた。

    八番筋カウンシルはそんな彼らにもやれ会費を払えだの会議に出席しろだの嫌味を言い圧力をかけてくる。個人情報筒抜けの地方の小さな町のいや~な感じ。そこへショッピングモール建設の話が持ち上がり、商店街の意見は二分する。そしてその建設の根回しにやってきた営業マンのカジオは、タケヤスたちの元同級生で…。


    読んでいなかった津村記久子を補完中。こちらは2009年の作品なので、比較的初期の部類。最近の津村記久子の持ち味であるくすっと笑えるような描写や表現はなく、ひたすら重い。狭いムラ社会の閉塞感、地方都市あるあるで、読んでるあいだずっと気分が上がらなかった…。

    物語は、現在のアラサーのタケヤスたちと、中学生の頃のある事件の回想とを行ったり来たりする。水商売をしていたカジオの母、カジオと妹のアキは父親が誰かも知らない。そのカジオが、ある早朝に道端でぽっくり亡くなったヨシズミのじいちゃんの死に関係があるという冤罪をかけられ、当のヨシズミやタケヤスが否定してもカウンシルの連中がカジオ一家を攻撃、ついに彼らは町を去らざるを得なくなったのだった。

    仲の良かったカジオを助けられなかった罪の意識をずっとタケヤスとヨシズミは持ち続けており、さらにタケヤスはカジオの妹アキのことも気にかかっていた。一方でタケヤスは、ホカリの従姉妹のカヤナのこともずっと気になっている。カヤナは町一番の美少女で、次々と彼氏を乗りかえ、結局イケメンヤンキーのソウダと結婚、娘が生まれるも離婚して地元にいた。実はこのカヤナがカジオの冤罪事件の鍵を握っており…。

    最終的に主人公たちはある程度夢をかなえ、ラストはハッピーエンドのようでもあるけれど、読んでるあいだずっと元気が出なかった。人間のいやな部分ばかりが目に付いてしんどかった。それはそれですごいというか、カヤナみたいななんの悪気もなくただただ男性に守られて生きていくのが当たり前と思ってるだけの女性の怪物性にぞっとしたりはしたけど、例えば一応主人公ポジションのタケヤスにあまり人間的魅力を感じられなかったのも読んでいて元気がでなかった原因かもしれない。アキのことが気になっているかと思えば、カヤナとワンチャン狙ってるとしか思えないとことか、そのどちらへの好意にもあまり根拠がないとことかちょっと苦手だった。

  • 商店街に戻ってきたアラサー3人の、商店街や親に振り回されたり良さを体感したりする話。
    (と書くとなんて軽い話、と思うが軽くはない。でも主人公達は多分20代後半で他に良い言い回しがない。アラサーという語句は他に良いものは無いのか。)

    津村さんの会社モノのやるせなさと同じ感覚もあるが、それよりももっと希望が無い印象。会社はまだビジネスというドライさがあるが、商店街(イコール近所、地元のしがらみ)や親は割り切りができないからか。私がそういう付き合いが苦手なのもあるかもしれない。

    話は中学生の時と現在が混ざって進んでいく。中学生の時のモヤモヤよりは現在の方が幸せ、というかモヤモヤを晴らすための行動力があって皆なんだかんだスッキリしているようで、良かった。

  • 津村さんがどんどん面白く感じるのは歳のせいなんだろうな、と思うと歳をとるのも全然悪くないな。
    津村さんはこういうどこにでもある町、いる人、その雰囲気を雰囲気のまま文章にする天才だ。なんでもない日常を文章にすることの方がきっと難しいと思う。何も起きない日常なんて退屈だから。それを退屈させず、クスッと笑えたり、ふとさみしくさせたり、そういう日常のなんでもない日々を愉しめる自分が大人になったなって思う。昔なら退屈で面白くないなーって終わってただろう。
    これからもしばらく読むよ、津村さん!

  • 不思議な物語。
    話が、というのではなくて文体や醸し出す雰囲気が、あまり読んだことがないものだった。最初はなんだか読み込みにくくて、「あまり好きじゃないかも」と思ったものの、次第に引き込まれていった。
    商店街のおっちゃんたちもおばちゃんたちも、「いるいる、こういう人!」ってリアルで、でもずーっと平坦な物語(のように思えた)がいったいどんな風に進んでいくんだろう、と見当もつかなかった。
    途中、教会での父との再会のシーンがよかったな。そこから急展開する感じ。
    ほかの作品もまた読んでみたい。

  • とりあえずリアル。「マンガみたいな」とか「ドラマみたいな」、「小説の中では」そういうのの逆。全部リアルな日常。主人公のタケヤスに感情移入ができる。ああ、わかる、そうだよねー実際、と思う。人間のリアルさがあまりに普通に描かれすぎて、淡々としているため、自分自身の日常に感じてうんざりしてきて途中で読むのをやめたくなるほど。けどなぜか最後まで読んでしまう。読んだ後には、自分の何気なくてとるにたらない日常も、まあこんなもんかーがんばるかなーと思える。最後の最後に描かれるちょっとした明るさがいいなあと思う。

  • 15年ほど前の津村さんの本。
    結構前の作品だからか、文章の紡ぎ方が連想ゲームのようで読みづらく、津村さんの好きなところである"自分のシュミ全開感"がないのがすこし残念に思ったけど、そうか、ポトスライムの舟よりはあとなのか。でもたくさんの登場人物に多様なバックグラウンドをつけて、読みながら地図が完成する、みたいな構成はやっぱり彼女は好きなんだろうな。

    ただ個人的には、とにかく登場人物が覚えづらく(これは『つまらない住宅地のすべての家』を読んだ時にも思ったことだけど)、特にメインの3人がすべてカタカナで、しかもあまり馴染みのない苗字だったことから、ラスト3分の1くらいまでずっと誰が誰なのかよくわからないまま読み続けた。

    一方で、ミステリー小説ではないけれど、ラストの方では少しずついろいろな全貌が明らかになっていくのが面白く、最後は一気に読み切ってしまった。ラストに差し掛かるまでの前置きがもう少しあっさりしていてもよかったのかな、と思った。

    久しぶりに日本語の小説を、シンプルに娯楽のためだけに読んで、とても幸せだ。

  • 良く判らないタイトルですね。八番筋は商店街の名称、カウンシルは評議会の意。このタイトルを見ると「頑張ってる商店街」の物語を想像しますが、この評議会メンバーがグズグズで。しかも主人公達は彼等を軽蔑しつつも、自分達も結構グズグズで。。。
    実は昨年末に読み始めて、あまりに低空飛行が続く物語に一旦挫折。年明けに再読し始めました。
    もともと津村さんの文体はズルズルとしたローテンション。テンションが高い方では無い私を5とすれば、3程度。しかもAを語って居たらその関連でBが、さらにCがと文章が繋がって行き、突然のように本筋のAに戻る。批判では無いのです。BやCを描くことで周辺の事情が分かるし、おそらくそんなことも意識して書いていると思います。ただ、本筋が掴みにくかったり、主語不在の文章も有って、振り回され、行方を見失う事も多い。
    10数年前、評議会が一家族を商店街から追い出す原因となった友人の祖父の死に関わる謎が終盤に解明され、物語は穏やかなピークを迎えます。
    スカッとした登場人物などいないのです。様々な家族の家庭崩壊や嫉妬や挫折が描かれ、そんな中で主人公達はそれを何とか乗り越えて行く、そんな姿が訥々と描かれ、読むのに苦しんだ割になかなか良い読後感です。

  • 津村さんも、本質がぶれない人だなと思う。

    誰かを罵ることは簡単で、馬鹿にすることも実は簡単だ。
    でも、大人の汚さ、無神経さを嫌というほど味わった主人公たちは
    そういうことをしない。それは、その人にも、一皮剥けば
    「やんごとなき事情」がびっしりと詰まっていると感じているからだと思う。

    津村さんの描く主人公はそういう姿勢を貫いているから、
    だから読んでしまう。理由はそればかりではないけど。

  • 自分が中学生だった時、どんな子供だっただろう。
    子供だと言われ、自分に決定権は与えられず
    高校受験で人生のすべてが決まってしまうのだ、と思っていた。
    八番筋カウンシルも、そんな無力な子供時代を送ったタケヤスが主人公の話だ。
    八番筋カウンシルといわれるさびれかけた古い商店街は、妬みも嫉みもあるしがらみたっぶり、人間関係の濃い場所である。タケヤスはそんなところで育ち、そして無職になり戻ってきた。
    無力な子供は、理不尽な大人の暴力を黙って耐えるしかなく、大事な友人であるカジオが母親の職業のために街から弾き出された時も、見ているしか出来なかった。

    大人になったタケヤスは、無力な自分から脱却しようと足掻く。濃い人間関係に絡めとられまいとする。
    子供時代は何もできなかった自分から、カジオに関わり父親に関わり、成長しようとする。
    その姿が非常に眩しい。
    この小説は、作者から成長しようとする者に対してのエールだと思う。

  • 津村さんの作品は、どこが面白いのかと訊かれても、はっきり答えにくい。でも、はっきり言えるのは、面白いということだ。会社員や働く人を描くことが多い伊井直行さんの作品もそうだが、気付くと読み耽っている。

    3人の元同級生たちが自宅兼店舗がある商店街で日々暮らしている。30歳に近づきつつある3人の生き方は3者3様で、それなりに考え方はよじれている。そのよじれ方をどう思うかで、本作に対する感想は異なるだろう。自分はばっちりだった。でも、どうしてなのか分からないから★★★★。

    • mayuotukaさん
      どこが面白いのかはっきり答えにくいって、コメントとってもいいなって思います。私もばっちりでした!!
      どこが面白いのかはっきり答えにくいって、コメントとってもいいなって思います。私もばっちりでした!!
      2014/03/18
  • とにかく好きな作家さん。理解できないし、理解されない。つらく、苦しく、抗し難い理不尽ばかりの社会でもがく、偏屈に見えるけど実は素直な登場人物が愛おしい。
    地域社会のじめっとした閉塞感と、小学校・中学校時代の子供の人間関係の残酷さがよく似ているという感覚は、誰にも既視感があるのではないか。とはいえ、育まれた町や子供時代の人間関係は切っても切れないものであるし、懐かしさや、自分のルーツとしての大切さも感じなくはない。実に厄介なものである。
    30歳になっても思い出せば目を背け、悔しさや恥ずかしさで叫びたくなるような、子供時代の苦い思い出の一つや二つ、あってもおかしくないのだけれど、年を取った自分には新しい視点、異なる解釈を持つ力が備わっていて、それがまさに「成長」と呼ばれるものなのかもしれない。気分はずっと学生のままであったとしても。
    ラストはなかなか爽やかで、大人になってよかったー、と思える結末。若さが褒めそやされる日本文化(特に女子は)の中で、もっともっと、年を取るってことは結構いいぞ、子供より大人は楽しくて幸せだぞ、と胸はって言える自分でありたいです。はい。

  • 「大人になれば、自分も他人や酒がなくては幸せを感じられなくなってしまうのだろうか」という帯、と、2009年SIGHT・夏号の著者インタビュー記事より拾った言葉「持ってない人」「自分なんてなんぼのもんじゃい」、これは共感だけどどうなっているんだ、と手にしました。
    帯の場面は主人公タケヤス(名前を決める時、フラワーカンパニーズのギター竹安さんが念頭にあったそう。SIGHTより)が中学生の頃、夜中に、自分の家の前の商店街で騒いでいる人たちの声を聞きながら思ったことです。

    でも、もうちょっと孤独なのかと思ってた。
    それぞれ孤独だけどまだどこかで繋がっている空気、自分に重ねると懐かしいなぁと。

    「自分なんてなんぼのもんじゃい」の感覚、共感。

  • 事情を抱えて故郷の商店街の実家に戻ってきたタケヤスとヨシズミと家族との確執から家を出ようと考えているホカリの幼馴染が中心。物語に登場する家族がどこかしら壊れている。昔ながらの結びつきが強い昭和の空気を残しているような商店街が近隣への大規模ショッピングセンターの進出で揺れ動く。その背景に過去の事件が絡む。その事件の真実がショッピングセンター進出への賛否に影響する。平成の地方都市の雰囲気が滲み出ている作品。ただ土地の持ち主の意向をすぐに聞かないのは作品を引っ張るためとはいえちょっと無理があるかも。でもそのエトさん、自立したホカリ、カジオの妹のアキと、総じて女性が逞しい。タケヤス、ヨシズミ、カジオは相対的に優しい。商店街の人々は癖が強いが皆とても土地に近いところで息をして生活している、所謂市井の人々といった感。カヤナはなぜこんな生き方をするんだろう。笑いどころがなく全体的に重苦しい。最後は未来を見せようとしているけど、でもあまり変わらない日常が続いていきそう。

  • とても面白かった。中学・高校・大学時代の回想と30になった今の進行形の話が交互に書かれていて、昔の情報が今につながるのでそこをちゃんと覚えていないといけない。

    カヤナの女子力
    地味でかわいげのないホカリ
    地元で遊ぶ中学生の不良
    カウンシルの人たちの既得権益
    地元商店街で小売商売をするということ
    企業で働かされるということ
    高校や大学で学ぶということ
    親が離婚するということ
    人の家庭の中で何が行われているのか外からわかることわからないこと

    それがどういうことか渦中にあるとよくわからないのだがある年月がたって俯瞰できるようになるとわかることがある。

  • 人生を泳ぐのが上手い人と下手な人がいるな。とつくづく思う。
    主人公のタケヤスはあんまり上手くないけど弟は上手いな。
    津村さんはダメダメな父親ばっかり登場させるなー、と思いながら読んだ。

    そしてカヤノみたいに、街一番の美少女、って存在は無条件に幸せな人生だろうと昔は思っていたけど、
    そうでもないよな、顔だけで幸せをずっとキープできるほど人生甘くもないよな。
    と思えるようになったのは大人になったってことかなあ。
    結局は自分の心の在り方次第だな、人生を楽しくするのもつまらなくするのも。と思った。
    2014/06/16

  • 何気ない日常を書くのがうまいな~と思い図書館から借りてくる。今回のは、特に思うところがあるわけでもなく、
    商店街など狭い地域でそれぞれが商売という共通項があって生活していたら、こんな関係になるのかな?
    足並みそろえてとか、みんなと一緒とか、団結とかってのはあたしには無理だわ。

  • カウンシルとは「評議会」とか「協議会」という意味。
    関西(方言からしてそうだろうな)のちょっとガラ悪いちょい寂れかけのでもどこにでもありそうな小規模商店街、八番筋が物語の舞台。
    村社会というか、小さなコミュニティにありがちな息が詰りそうな閉塞感、そこの人々もなんとまぁセマっくるしく生きていることか。津村さんの文章がその閉塞感にエエ塩梅でリアリティを加えていて、読んでいてもなんかこうウジウジしてしまう。

    淀むと腐るのは川の流れでも人間社会でも似たようなもの。ただし、清流と淀んだ水溜りでは水溜りの方が生命の数が多く、生息しやすい環境となる一面もある。読者である俺なんかは「八番筋」みたいなとこはウジウジグダグダで住みたくない街に思えるし、主人公たちもその閉塞感に辟易しているのだけど。

    カウンシルに名を連ねる有象無象の商店街メインメンバーはこの淀んだ環境があるからこそ、成分を吸って生息できているっていう側面もあるのかもな。シャッター商店街と通称される寂れてしまった地元のお店…大規模小売店舗の攻勢による衰退とか、行政の失敗とか色んな原因が言われているけど、淀んでしまった水溜りみたいな閉塞感が顧客に疎んじられているって背景もひょっとしたらあるんかも知れないな。

    どんなにエエ環境であっても、淀ませすぎたらアカン。勿論環境を常々激変させるのもアカン。たった1本細い入水管とたった1本細い配水管だけでいいので、詰まらせずに機能させておきたい。この本を思って感じたのはそこである。

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。
2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2023年『水車小屋のネネ』で谷崎潤一郎賞受賞、2024年「本屋大賞」第2位となった。
他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『ディス・イズ・ザ・デイ』などがある。

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