共生経済が始まる 世界恐慌を生き抜く道

著者 : 内橋克人
  • 朝日新聞出版 (2009年3月19日発売)
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  • レビュー :5
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022505408

作品紹介・あらすじ

破滅的危機回避のキーワードは"連帯・参加・協同"。市場原理主義に一貫して警鐘を鳴らし続けた著者による経済コラム集大成。

共生経済が始まる 世界恐慌を生き抜く道の感想・レビュー・書評

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  • グローバルスタンダードに始まり、格差社会、自己責任等という言葉が当たり前のように受け入れられてきたような感がありますが、最近のアメリカの醜態等を見ていると今までのやり方が見直される時期が来ているのではないかと思うこのごろです。

    資本主義はいずれ修正されるべきだと思いますが、その次として、この本の著者である内橋氏は共生経済というものを考えているようです。共産主義はなかなか上手く行かないようですが、皆が幸せになれる社会が実現できるのは良いことだと思います。

    市場原理主義から共生経済(連帯・参加・協同)へと上手に転換できれば良いなと思いました。その中で現在使用されているお金が存在価値を失って、地域通貨が使われる可能性も感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・2008年秋からの雇用調整は、かつて5年を必要としたものを、10分の1の短期間で済ませている(p17)

    ・アメリカ企業が編み出した究極の「働かせ方の自由化」であるインディペンデント・コントラクター(独立契約者)が日本でも増加している(p38)

    ・20年前にあった「まるきん・まるび」と「勝ち組・負け組」の違いは、1)この格差拡大を是認する勢力が増えた、2)アメリカ同様に少数の富裕層がさらなる減税を求めている、3)人口減少、がある(p42)

    ・市場至上主義者らのいう競争力や価格の高低だけを尺度とする「合理的選択」とは次元の異なる取り組みにより、独自のマーケットが生まれつつある(p53)

    ・デンマークでは既存の電力会社は、再生可能エネルギーによって生み出された電力は、すべて買い入れる義務がある(p60)

    ・地域社会では、読者の密度は圧倒的に地元紙が強い、東京で思い込まれているほど中央紙は強くない(p86)

    ・共生経済を可能にする地域通貨についてドイツのミヒャエル・エンデは、お金とはパン屋でパンを買う購入代金としてのもの、マネーは株式取引所で扱われる資本としてのもので、両者は全く異なると説明している(p93)

    ・高知で始めた地域通貨(RYOU)は、現在では高知の経済力が弱いので円高リョウ安となる、輸入品が高くなるので自給率をアップする工夫をするようになる、一方で輸出競争力は高まるので外貨を獲得することも可能になる(p94)

    ・2000年4月にアルゼンチンで実施された「預金流出防止法」によって、一般預金者の定期預金は凍結解除後も、そのまま解約できずに国債に変更させられた(p118)

    ・IMFは経済的に困窮する国に救済融資を行っているが、融資と引き換えに市場化、国有企業の民営化を迫っているのが実態(p120)

    ・全世界の国が貿易決済に必要とするドルは総額で8兆ドルだが、世界を駆け巡っている投機目的のドルの総額は300兆ドル、全ての国のGDPが30兆ドルと考えると、投機はとても大きい(p121)

    ・ヘッジファンドが享受してきた巨大な利益の源泉は、世界に存在するあらゆる「格差:規制格差、為替格差、価格差、税率格差、生活格差」にある(p131)

    ・ハイテク先端工場の現場に働く労働者に4種類の差別が常態化した、1)少ない正社員、2)派遣、パート労働者、3)業務受託会社から来るフリーター、アルバイト、4)擬似独立自営業者(擬似請負)、である(p158)

    ・日本の対外純資産の9割は、為替相場に大きく左右される債券であり、基軸通貨国であるアメリカ次第(p181)

    ・郵政民営化の選挙において、獲得議席数ではなく獲得票数でみる
    と、自民・公明は合計3350万票、非与党の合計は3450万票であり民意は「ノー」ともとれる(p203)

    ・ほんものの「いざなぎ景気」は、1965年11月から1970年7月まで57ヶ月続いたが、生活実態に近い名目GDPは2.2倍に成長したが、今回の景気回復期(2002年2月から2006年11月までの58ヶ月)における名目GDPは1.04倍、雇用者報酬は115%増加に対して、今回はマイナス0.8%(p211、223)

    ・景気循環の仮説が崩壊している根拠として、1)日本の勤労者は正当報酬を得ていない、2)短期の株価経営、成果を労働でなく株式配当、3)利益は海外で稼ぐ、日本上位10社で外貨収入の3分の1、30位で半分を稼ぐ、これが小泉改革=新自由主義改革の成果(p213)

    ・アメリカにおいて、サブプライムローンに特化する業者には連邦政府の規制なし、プライムローンには厳しい規制がある、本来は逆(p219)

  • 労働契約法
    参考書

  • 2012/02/23:読了。
    第一部:書き下ろし。
    第二部:NHK教育で2005年に放送された人間講座の再編集
    第三部:2002年の記事の再編集

     『始まっている未来 新しい経済学は可能か』
       内橋 克人, 宇沢 弘文 2009/10/15
    と同時期の本だったが、書き下ろし部分以外は、
    過去の記事。

    内橋さんの現状認識を読みたいが、なかなか
    新しい本がでない...

  • 日本が「市場至上主義」にひた走り、経済から倫理が失われ、国民が分断され格差が開いていく、グローバライゼーション真っ盛りの2000年前半が主な焦点。 対抗経済として「共生経済」を提示。地域に根ざし、人と人のつながりを重視する。市場は万能ではなく、市場主義にそぐわない部分を補うのが「共生経済」。 ムハマド・ユヌス氏の言う、ソーシャルビジネスと同じような視点。 市場主義はすべての価値を貨幣価値に統一してしまうが、本来人間の価値観は多様であり多元的・多層的な世界であるはずで、市場経済だけに頼れば歪みは大きくなるばかり。 [more] 例えば、森林では植物が苛烈な生存競争を繰り広げているが、その地上部分が「市場経済」だとすると、それらすべてを育んでいる土壌が「共生経済」と言えると思う。 土壌なくして植物は育たないのに、その土壌を蝕もうとしているのが「市場至上主義」である、と。 ・競争セクター(分断・対立・競争)と共生セクター(連帯・参加・協同) ・競争は公平な場で行われなければならない。競争に敗れた敗者には再挑戦の機会が等しく与えられなければならない。 ・弱者と敗者はまったく異なる。ハンデを背負い公平な競争に参加できないのが弱者であり、敗者とは違った手当てが必要となる。 ・FEC自給圏:フード、エネルギー、ケアを、人がつながりあえる範囲内で自給すること。これらは人の生存の最も基礎となる要素であり、ここに市場主義が入り込む余地があってはならない。これこそは共生経済の基礎である。 ・ミヒャエルエンデの「マネーとお金」の話

  • 本書においても、市場原理主義の批判がなされている。この本を読んで、「賢い消費者」であることがとても大切なことだと感じた。途上国(あるいは国内)で、労働者を低賃金で搾取した結果の安価な商品は買わない。エネルギー効率や環境貢献度の高いものにランクをつけ、そのような商品を選ぶといった事で、安定した継続性のある社会に貢献することができる。
    地域経済を支えてきた中小企業を守る、モノづくりを生かす、人が人として生きられる環境を守るのは決してマネー経済やグローリズムではないと筆者は主張する。
    内橋氏の本を読むと、自分も何か行動しなければという気持ちにさせられる。

    • accoさん
      合理性ばかりを追い求めた結果が、今現在の我々が直面する問題の数々なのかもしれませんね。今だからこそ、このレビューのような考え方は受け入れられやすいと思います。これまで構築してきたシステムの良い面は残しつつも、原点回帰が必要なのかもしれません。
      2011/05/16
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