イスラム世界おもしろ見聞録

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著者 : 宮田律
  • 朝日新聞出版 (2009年3月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022505613

作品紹介

アフガニスタンからモロッコまで。ちょっと遠いけど、でもすこぶる人間臭い社会との出会いの旅。

イスラム世界おもしろ見聞録の感想・レビュー・書評

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  • アラブの人と仲良くなるほど、アメリカの政策が嫌いになったし、もともと嫌いなアメリカの映画も大嫌いになった
    アラブに行くまでは、無関心だった
    読み進めながら頷きつづけた

  • パレスチナの章しか読んでないから、読み終えたことにはならないかもしれないけど。
    筆者が実際にイスラエル、パレスチナへ行った時の経験が書かれていて、生のイスラエル、パレスチナを知ることができる。
    国連関係者のふりをすると、検問がスムーズに行くとか、実際に経験しないとわからないことだよね。

  • 欧米社会が発表していることと実態が異なるということを中東研究者が中東寄りの視点から見聞した記録


    <アフガニスタン>
    ○アメリカのブッシュ大統領「タリバンは女性を奴隷のように扱い、女性にブルカ(身を覆う布)を強制してる」⇒アフガニスタンはイスラム性の強い社会なのでブルカは当たり前。

    ○アメリカのアフガニスタンに対する無知:
    ・アメリカからアフガニスタンへの支援物資・・・包装が英語なのでアフガン人は読めない。
    ・市民の安全を考え、深夜に郊外に支援物資をばらまく・・・車をもっている者しか集められない⇒翌朝バザーで売られるだけ。

    ○アフガニスタンには産業がない⇒若者は武装集団に入ることによってのみ生活手段を得る。
     (タリバン政権が崩壊してカルザイ政権になっても続く)

    ○難民キャンプの女の子たちはおそろしく薄着で裸足。⇒静岡県の靴屋が7千足の子供用の靴を寄付⇒日本のNGOに届けてくれるように頼むと「DHLで現地に送れば対応する」との返事⇒東京の大塚モスクに任せる。
    ・・・日本のNGOはポーズだけ。

    ○貧しい街でもモスクは立派・・・信仰心の強さ。目の不自由な子供も保護・・・社会的弱者の救済を強調するイスラムの本質

    ○法律で禁じられていないのに飲酒しない人たち⇒ビールもなかなか売っていない。

    ○文化復興支援事業
    民族ごとに分かれて相互に紛争⇒国際交流基金はスポーツで解決を図る⇒異なる民族の選手が一緒に練習する風景。


    <パキスタン>
    ○ブット元首相の暗殺・・・政府関与の疑い

    ○タクシーでホテルに戻ると、警官、日本語ができるパキスタン人、タクシーの3者がつるんで詐欺。
     ※よく言われる格言:中国人はいくらケチったかで自慢し合い、パキスタン人はいくら騙したかで自慢し合う。

    ○インドのカシミール地方(イスラム地域なのにインドに所属)は、インドとパキスタンの分離の際にカシミール藩王の判断でインドに所属⇒パキスタンのイスラム組織からカシミールへ義勇兵が送られている。

    ○「赤のモスク」制圧・・・子煩悩だが大統領批判等、発言が過激なガズィ師⇒ムシャラフ大統領の武力制圧によりガズィ師を含め、女子学生たち100人以上が死亡

    ○反米と反中・・・アメリカはイスラム世界に軍事的に踏み込んできたから。中国は中国企業がパキスタンに進出しても現地の人間を積極的に採用せず、また中国人女性がイスラムの道徳に反する風俗業に従事するから。

    ○日本に対して・・・アメリカ主導で始まった対テロ戦争に加担していることにより日本についての印書も悪化。アメリカのアフガン・イラク戦争に全面的な支持を与えた小泉純一郎元首相を知っているパキスタン人は多い。

    ○ブッシュ大統領は就任当初はムシャラフ大統領を「独裁者」と評していたが対テロ戦争が始まると「民主主義者」と持ち上げた。⇒自国の立ち位置で評価を変える⇒日本はそんな政策に追随していいのか?

    ○イスラム地域の人からするとタリバンやアルカーイダの人たちは善良だという認識。経済的に貧しい階層の子弟は急進的な神学校に通い、よりイスラム原理主義に近づく。⇒アメリカの軍事介入がもたらした「負の成果」


    <イラン>
    ○大統領が保守派か改革派かによって政策が大きく異なる保守派のホメイニ師やアフマディネジャド大統領がトップに立つと戒律が厳しくなり、改革派のハタミ大統領になると緩くなった。現在は保守的。

    ○王政時代は親米だったが革命によって反米に・・・映画や服装などの文化が聖職者たちを逆なですることになり反感を買っていた。富裕層の青年たちアメリカや日本製の製品を使っていたが、貧困層は使えなかった。

    ○一部ゾロアスター教(拝火教)の信仰が残っている。

    ○親日感情・・・日本のドラマ「おしん」はイランで視聴率80%を超えた。日本のアニメも放映されている。イラン人は日本人を見ると「ジャポン、ヘイリー・ホベ(日本はとてもよい)」といってくる⇒日本製の家電製品が人気、また日本人がアメリカと戦い、敗れたということで共感を生んでいるかも?旧アメリカ大使館ではアメリカの「罪」が展示されていて、その展示内容は広島、長崎への原爆投下から始まっている。

    ○イラン人は安価な労働力として日本では重宝されていた。ドルや円をイランに持ち帰れば大きな金額になったから。

    ○アフマディネジャド大統領政権では革命防衛隊の出身者が社会の中枢を占める。

    ○人口増加が著しく、若者の就職が容易でないため失業率が高い⇒革命防衛隊に入って職や社会的なステータスを得ようとする。

    ○ホメイニ師は「イスラエルは地図から抹殺されるべき」と発言し、アフマディネジャド大統領は「イスラエル国家をヨーロッパに移転せよ」と発言してアメリカやイスラエルの警戒を強めた。

    ○イスラム国家というイデオロギーとともに国家としてのナショナリズムから後進国のパキスタンが持っている核を保有しないわけにはいかないという結論に。

    ○改革派のハタミ大統領の時は「文明間の対話」書店や「文明間の対話」公園で海外知識の導入や国際交流を図っていた・・・が、最高指導者のハメネイ氏らにより抑制されて終わる。

    ○反体制派組織・・・「ジョンド・アッラー」(スンニ派の組織)、「PJAK」(イラン・クルド人組織)

    ○アメリカはNPT(核不拡散条約)に加盟していないインドに核協力を進めているのにNPTに加盟しているイランには圧力をかけている。(二重基準)。⇒民族的誇りを持つイランとイランを憎悪するアメリカの対立


    <トルコ>
    ○強い親日感情を持つ・・・オスマン帝国の弱体化はロシアに惨敗したことが決定的な要因だが、そのロシアに勝利した日本を称賛する感情が沸騰⇒イスタンブールの街路には「乃木通り」「東郷通り」という名前が付けられた。「TOGO」という会社は現在でも活躍している。

    ○オスマン帝国の統治は宗教には寛容・・・非イスラムでボスニア出身の大宰相も出るほど。

    ○さらにミッレト制度という自治制度の下で共存。イスラムでいう「啓典の民」にあたるキリスト教徒やユダヤ人も寛大に扱う。

    ○オスマン帝国は第一次世界大戦で敗れ、イラク、ヨルダン、シリア、レバノン等のアラブ諸国の独立を認めることに。⇒現在では国家的枠組みの中でそれぞれの国家ナショナリズムが成長することに。

    ○イラク北部のPKK(クルド人労働党)との戦闘を繰り返している。(トルコ民族国家として許容できない⇒国内のクルド人蜂起を防ぐ)

    ○軍事干渉に関するイスラム共通の反欧米感情がある。

    ○軍部が「脱イスラム」と「入欧」を支えている。

    ○東西世界の文化遺産や、カッパドキアのような凝灰岩の奇岩の観光地もある。

    ○建国の父ケマル・アタチュルク以来、ヨーロッパに伍してその仲間入りをすることを目標としてきたが、トルコのEU加盟は進まない。むしろ反ヨーロッパ感情が大きくなり、反米小説や反米映画が大人気を博する。
    入欧を目指してはいるが、国のアイデンティティーはイスラム世界を目指している?


    <イスラエル・パレスチナ>
    ○イスラエルの治安関係者は過剰なほどに荷物のチェックをする。

    ○イスラエルの政府関係者に会う場合、約束の時間の30分前には行かなければ間に合わない⇒厳重なセキュリティ・チェックがあるため。

    ○聖地エルサレム・・・城壁によって囲まれ、ムスリム地区、ユダヤ人地区、クリスチャン地区、アルメニア人地区の4つに分けられている。

    ○パレスチナ自治政府のアラファト議長はオスロ合意の当事者となり、ノーベル平和賞をもらう。⇒イスラエルでタカ派のシャロン政権になると「テロリスト」のレッテルを貼られるようになる。

    ○アラファト議長の一族でカジノを運営⇒腐敗した政府が原理主義組織ハマスの人気を上げる。

    ○イスラエルは女性にも兵役が課せられる⇒気が強い。

    ○ハマスは欧米や日本だとテロ組織の印象が強いが、現地では人々に教育や福祉を施し支持を得ている。

    ○イスラエルの分離壁(ベルリンの壁よりも長い)⇒停戦ラインよりパレスチナ側に入り込んで設置(実質的には領土拡大)

    ○ユダヤ人間でも差別がある⇒ヨーロッパ系ユダヤ人の「アシュナケージ」と中東・北アフリカ系ユダヤ人の「セファルディ」があり、イスラエルを建国以来支配してきたのは「アシュナケージ」。黒人系ユダヤ人は最も差別されている。

    ○イスラエルが第三次中東戦争で占領したシリア領のゴラン高原の返還は視野に入っていない。

    ○イスラエルのガザ攻撃は婦女子を含めて1,300人以上のパレスチナ人の命を奪った。その原因となったハマスのロケット攻撃による死者は18人。


    <エジプト>
    ○1997年11月、外国人観光客がテロに狙われる(イスラムの倫理に合わない服装をしているため)
     ⇒セキュリティ・チェックが厳しくなり、警官の数を大増員し、テロを防ぐ(2000年代はほぼ0)

    ○ベリーダンス(ベリーとはお腹のこと)が流行っている。

    ○エジプト革命の主導者ナセルによるスエズ運河の国有化⇒戦争はエジプトに不利な状況で終わったがナセルは英雄視され、アラブ、アフリカの独立の象徴となった。

    ○第4次中東戦争で勝利したサダト⇒キャンプ・デービッド合意でイスラエルと和平⇒1981年の戦勝記念日(10月6日)に軍隊の中のイスラム主義者によって暗殺される。

    ○イスラムの復興現象が顕著に⇒カイロ大学でも女子学生の半数以上はイスラム的装い

    ○ムバラク大統領の親米的姿勢はムスリム同胞団などのイスラム勢力の反感。


    <マグレブ諸国>
    ○アルジェリア
     ・軍部が力を持つ・・・「FIS(イスラム救国戦線)」が第一党となった選挙を無効に

     ・フランスの支配・・・コロン(植民者)が大量に移住し、フランス語を公用語化し、キリスト教への改宗を進めた⇒1954年から1962年の独立戦争に

     ・GIA(武装イスラム集団)はパリのエッフェル塔に飛行機で突入する計画を持っていた。⇒9・11の同時多発テロのモデルに


    ○チュニジア
     ・観光資源に恵まれる(観光客が多い)

     ・イスラム原理主義の勢力が増大し、大量の警官により抑えられていた。

     ・欧米人が宿泊するリゾートホテルを爆破する事件もあった。


    ○モロッコ
     ・人口の増加率は3%以上、人口の45%が16歳以下。⇒失業率大(大都市では25%に)

     ・イスラム王室は預言者ムハンマドの直系を自任しているが、イスラム原理主義勢力が台頭するリスクはある。


    ○全体として
    ・AQIM(イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ組織)が北アフリカから英米勢力を追い出そうとしている。



    <中央アジア諸国>
    ○中央アジアは時計回りにカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5国

    ○キルギス
     ・人口500万人ほどの小国。キルギス人48%、ロシア人28%、ウズベク人12%、タタール人2%。

     ・キルギス人は日本人に似た顔立ちをしている。

     ・日本人鉱山技師誘拐事件・・・IMU(ウズベキスタン・イスラム運動)とタジキスタンの武装集団が半々のメンバーで鉱山を襲撃。目的は金銭。キルギスからタジキスタンに移動する際、人質を横取りされないかどうか警戒していた。

     ・キルギスのモスクは南部に集中。首都ビシケクを含む北部は自然崇拝のアメニズムが盛ん。

     ・キルギスで台頭するイスラム組織はヨルダンで生まれた「解放党」⇒若者に職がないために台頭する。

     ・首都ビシケクには今でもレーニン像が立つ⇒ロシアに対する愛着があり、経済的結びつきが強い。

     ・2005年3月に政変が起き、アカエフ大統領の政権が倒された。⇒欧米のNGOの支援があった。⇒欧米とロシアの対立。


    ○ウズベキスタン
     ・中央アジア諸国の中で最も観光に力を入れている。

     ・また中央アジア五か国の中でイスラム復興が最も顕著。

     ・日本人とのかかわり・・・第二次世界大戦時にソ連軍の捕虜になった日本兵がタシケントに連れられてきた。⇒ウズベク人は日本人に対して良好な感情を持っていたため、シベリアに比べれば生活は楽だった。

     ・日本の途上国支援のモデルとしてウズベキスタンが対象にしようとしている。⇒ウズベキスタン人には日本語を話すものが増えてきた。

     ・ソ連政府は中央アジアを統治する際、伝統的に存在した「マッハラ」とうい地域組織を活用。
      ⇒マッハラには長老がいて、モスクなどの宗教施設もあり、行政機能があった。⇒中央アジアのイスラム復興に寄与した。

     ・ウズベキスタンのカリモフ政権は独裁的⇒警官や軍隊の抑圧を受け、貧困な状態で暮らす人は「IMU」や「解放党」に吸収され、脅威になっている。

     ・ウズベキスタンには朝鮮族居住地がある⇒日本のスパイになることを恐れたスターリンのせい。

     ・ティムール朝の首都サマルカンドがある。⇒タシケントやサマルカンドにはティムール像がある。(ティムールはモンゴル人だが、サマルカンドを中心にティムール朝を興したためナショナリズムをくすぐる)

     ・他の中央アジア諸国に比べて「もてなし」の伝統がある。

     ・ティムール朝は学芸を手厚く保護し、天文学にも力を入れていた。⇒第4代君主ウルズ・ベクの天文台⇒現代の一年間と時間的誤差が一分も満たない天文台⇒学問水準の高さを示す。

     ・ブハラ・・・ブハラ・ハーン国およびブハラ・アミール国の首都でサーマーン朝に征服され首都になったこともある。現在は観光地として遺跡の復興がなされている。

     ・ヒヴァ・・・ヒヴァ・ハーン国の首都だったところ。野外博物館としてユネスコの世界遺産に登録されている。


    ○タジキスタン
     ・隣国アフガニスタンで戦争があったのでNGOや諸外国政府による援助活動が盛ん。

     ・砂の入った水が水道から出る。

     ・娯楽が少なく、川辺でのんびるするのが数少ない娯楽の一つ

     ・2007年時点で1000人のタジク人がパキスタンでイスラム神学を学び、タジキスタンで活発に活動を行う。パキスタンの神学校はタジク人に奨学金を出し、パキスタンの商人たちも指摘に支援する。

     ・タジキスタンでも政治腐敗によりイスラム組織が台頭している。

     ・ロシア軍から流出する兵器の売買はタジキスタンのラフモノフ大統領の一族が関わっている。

     ・外国からの支援の80%は政府関係者の懐に入ることになっている。

     ・地域的縁故主義が横行しており、ラフモノフ大統領の出身地ダンガラー地方の者が政府の要職についている。

     ・ラフモノフ大統領の一族がタジキスタン経済を牛耳っている。

     ・インテリ層の85%が政府の腐敗を嫌い、国外に流出している。

     ・タジク人はカザフスタンのアルマトゥイ、キルギスのビシケク、ロシアを経由してパキスタンに向かう。


    ○カザフスタン
     ・カザフ人はカザフスタンに798万人、ウィグル自治区に126万人居住している。

     ・首都がアルマトゥイからアスタナに変更された。北部にある資源をコントロールする目的。

     ・北部はヨーロッパ人が多く、欧米化している。

     ・カザフスタンは中央アジア諸国の中で最も石油資源に恵まれている。

     ・アメリカの会社も進出しようとしているが、隣国ロシアの影響が強い。また、中国とのパイプラインが2005年になって開通した。


    ○トルクメニスタン
     ・「中央アジアの北朝鮮」と形容される独裁国家。長期にわたって独裁していたニヤゾフ大統領は2006年に亡くなったが、同様の状況は続く。

     ・閣僚にはトルコ国籍のままのトルコ人がいたこともある。

     ・トルクメニスタンの国土の四分の三は砂漠。

     ・トルクメン人の尊敬を集めているのはトルクメン人の聖人で家畜を保護する者とみなされている「ゼンギー・ババ」

     ・トルクメニスタン政府はイスラムの宗教活動を警戒しており、宗教に基づく政党の設立を禁じている。

     ・トルクメニスタンのアハル・テケ種は名馬として名高い。

     ・競馬場で観客同士で賭けを行っている。(イスラム教で賭けは禁じられているが)

     ・絨毯が名産で絨毯博物館もある。

     ・パルティアをトルクメニスタンの起源として捉えようとしていて、元首都のニサを修復している。

     ・アッバース朝、セルジューク朝の首都になったことのあるメルヴの街

     ・天然ガス資源が豊富なので電力の供給もガスによって支えられ、街は明るい。

     ・アメリカの石油企業がトルクメニスタンからアフガニスタンを経由してパキスタンに至るパイプラインを建設しようとした。⇒アフガニスタンの戦争でなしに。

     ・新大統領になって、ロシアとの関係強化に乗り出し、中国も関係を検討し、イランとは鉄道でつながっている。


    ○SCO(上海協力機構:中国、ロシア、中央アジア4カ国が参加)
     ・2006年に開催、共同宣言を採択した。

     ・中央アジアに対して、ロシアの影響力が強まっている。⇒アメリカ離れを突いて



    <カフカス諸国>
    ○カフカスは中東イランからトルコ、あるいはヨーロッパに向かう経路にあたる地域。人々の移動がカフカス社会を特徴付ける一つの重要な要因。


    ○アゼルバイジャン
    ・隣国アルメニアと「ナゴルノ・カラバフ紛争」を抱えている。(ナゴルノ・カラバフ自治州はアゼルバイジャンの国土だがアルメニア人80%以上)

    ・アゼルバイジャンのポピュラー音楽は日本の演歌のように哀調を帯びている。

    ・ソ連支配が70年続いたため、ムスリム人口が多いがイスラムではタブーのカジノやキャバレーがホテルにある。公然とデートしている姿もみられる。

    ・街中で副首相を囲んで世間話が始まるなど、気さくな社会。

    ・バクーの「殉教者の小道」・・・ソ連政府による民族暴動やナゴルノ・カラバフ紛争の犠牲者の墓がある。

    ・ナゴルノ・カラバフ紛争で人口800万人のうち100万人が難民状態に。

    ・人口の65%が貧困層⇒反体制的なイスラム運動へ

    ・1997年に石油ブームが訪れ、カスピ海油田が「第二の中東」と表現されるようになったが、北海油田程度の埋蔵量しかないため、各国が手をひいた。

    ・日本の石油開発会社の関係者は「アゼルバイジャンほどビジネスがしやすい法的環境をもっている国はない」と述べている。

    ・アゼルバイジャンには「火の国」という意味があり、古代では地中から湧き出る石油に火がともり、それが拝火教(ゾロアスター教)の祭壇になっていた。今でもバクー郊外に「アーテシュギャーフ」と呼ばれる寺院が残っている。

    ・日本で処刑されたスパイのリヒャルト・ゾルゲの出身地で「ゾルゲ公園」がある。


    ○アルメニア
    ・301年にアルメニア人はキリスト教に改宗。(ローマ帝国が採用するより前)

    ・トルコ、ロシア、ペルシアに囲まれ、モンゴルの侵略にもあい、オスマン帝国の支配により苛酷な扱いを受けるなど、艱難の時代が長く続いた。

    ・アルメニア人の姓は全て「YAN」で終わるため、名前を聞けばアルメニア人であることが識別できる。(作曲家のハチャトリアンや指揮者のカラヤン)

    ・トルコ領のアララット山(ノアの箱舟が到達した山)はアルメニア人にとっての霊峰。このアララット山がよく見える丘の上にアルメニア人虐殺の記念碑が建っている。一部の過激なアルメニア人は今でもトルコに対する報復テロを考えている。

    ・エルサレムのアルメニア居住区でもアルメニア博物館でアルメニア人虐殺の展示がなされている。

    ・アルメニアでは間断なく水が湧き出る水飲み場がよく見られる。栓はなく出しっぱなし。

    ・エレバン郊外のエチアミジンという協会は世界各地に離散したアルメニア人の巡礼の場。

    ・アルメニアの典型的な工芸は絨毯⇒古代アルメニアで「カペルト」・・・カーペットの語源


    ○グルジア
    ・世界でも最も古いキリスト教国の一つで1世紀にキリストの12使徒の1人聖アンデレがグルジアに伝道に行ったといわれる。

    ・アラブの軍事力に飲まれ、かなりの数のグルジア人がイスラム教に改宗した。

    ・トビリシという都市は天然温泉が湧き出る「ハンマーム(公衆浴場)」がある。「トビリシ」には「温泉の出るところ」という意味がある。

    ・グルジアは独裁者スターリンを生んだ国。スターリンが愛飲した「キンズマラウリ」という甘口の赤ワインがある。

    ・知性が苦情の要衝であったため、他国の侵略を頻繁に受けた。

    ・ロシアに対して良好な感情を持っていない。旧ソ連からの独立後もロシアの脅威を感じている。アメリカの対カフカス政策に積極的に協力し、地政学上のの要衝となっていることをアピール。



    <アメリカ>
    ○アメリカのイラン人(大学生)はイスラム共和国体制に対して農村社会等への貧困層に対する福祉を充実させたことを評価する反面、人権抑圧や女性に対する服装規制を批判するのが定番

    ○UCLAの中東研究はアメリカの大学の中でも充実。各国の研究をしている人が1人はいる状態。

    ○イランに存在しにくいイラン発の宗教「バハーイ教」はアメリカではちょこちょこいる。
     イランでは弾圧されていた。

    ○アメリカの中東政策についてはイスラエル・ロビーの活動が大きな影響を与えている。特にAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)が強い。クリントン大統領が1996年に成立させたイラン・リビア制裁法もAIPACが企画した、とAIPACの所長が語った。
    また中東政策を理論づけるのはワシントンのタカ派のシンクタンク。その一つが「ワシントン近東政策研究所」⇒AIPACと強く関連のあるシンクタンク。

    ○穏健な考え方をしているシンクタンクもある。ジョージタウン大学の「現代アラブ研究所」「ムスリムとキリスト教徒の理解センター」など。しかし、イスラエル・ロビーの影響力に押されている。

    ○アメリカの動きに追随する日本は大丈夫?
     ⇒アメリカは9.11事件からイスラエル化した⇒日本人の治安にとってマイナス要因

    ○イスラエルは国連の総会で国際法に違反するという非難決議が成立されることがよくある。⇒アメリカは国連安保理でイスラエルに不利な決議が提出されると拒否権を発動するか棄権してきた。(アメリカは国連で最も拒否権を多く行使してきた国だが、そのほとんどがイスラエル関連)

    ○アメリカ在住のユダヤ人にはイスラエルに関心を持たない者もいる。


    <日本>
    ○日本における歪な報道⇒日本ではイラク兵の遺体等は一切報道させなかった。米軍の死者の数は報道してもイラク軍の死者の数は報道しなかった。クウェートから撤退するイラク軍に容赦ない攻撃を加えたことも報道されていない。

    ○日本のイスラム世界への関心は10年周期。1979年のイラン革命⇒1991年の湾岸戦争⇒2001年の9.11同時多発テロ

    ○日本の政府関係者の言う「国際社会」はイコール「アメリカ」になっている。

    ○アメリカ一辺倒の政策により、日本でもテロを恐れなければならない時代がくるかもしれない。

  • アメリカの中東政策を理論づけるのは主にワシントンのタカ派のシンクタンクである。
    パキスタンの部族地域は巨大な武器市場。武器工場の設立や活動を1980年代のアフガニスタンの対ソ戦争の際にアメリカやパキスタン政府は支援した。アフガニスタンにおけるタリバンの復活はもはや抑制できない状態になっている。

  • 読み手が悪いのか・・・とっちらかった雰囲気:どうも・・すーっと入ってこないのは地域毎に見ていて時間が飛んでいるからか〜アフガニスタン・パキスタン・イラン・トルコ・イスラエル・パレスチナ・エジプト・マグレブ諸国・中央アジア諸国・カフカス諸国・アメリカ・日本〜それぞれに伝統があり,イスラム化した経緯があり,他国への感情や,自国政府に対する不満ありというのは,アメリカ人も日本人も同じ。やはり,テレビはチラ見する程度で良く,本を読んだ方がマシだと考えさせられた。しかし,随分,あちこちに出掛けている人だなあ。これじゃあ,出世しない。しなくて良いのだろうけど。しかし,人と国って切り離すことが不可能なんだろうなぁ

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