さとし わかるか

著者 :
  • 朝日新聞出版
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レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022505651

感想・レビュー・書評

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  • 289.1
    母親の回想記

  • 著者には福島智氏のほかに二人の子どもがいるが、智氏が小さいころから入退院、通院を繰り返しており、二人の兄と夫もかなりの苦労をされたと思う。そういうことはあまり書かれていないが。智氏は子どものころから利発で、しっかりした明るい性格であったため、この想像を絶する苦しみを力にかえることができたのだろう。
    お母さん立派だな、すごいな、偉いな、と思うけど、智氏の書いたものも読まないと本当の本人の苦しさはわからないだろう。

  • <内 容>
     2008年に東大の教授になった福島智氏のお母さんが、来し方を振り返って書いた本。3人兄弟のかわいい末っ子が1歳で目の病気を患い、4歳で右目を摘出。その後左目も失明し、聴力にも問題が生じる。そんな中でも常に前向きにパワフルに成長した息子を、母の目で伝える。

    <ひとことコメント>
    『指先で紡ぐ愛』の福島氏の生い立ちが、高校3年生まで描かれています。

  • 子の病と向き合いつつ育てていくことは本当に大変だったと思う。
    いやなこと、つらいこともたくさんあったに違いない。
    ただ、個人的な愚痴や恨みのような部分は読んで気持ちの良いものではなかった。

    自分が外出している際に若手医師によってたびたびおこなわれた小さな手術、小学校でのアレコレ…
    許せない気持ちは分かるが、知る人が読めば名前が特定できるようなイニシャルを使い、因果関係がはっきりしないのにそのせいで病状が悪化したかのように書くことはどうかと思う。

    誰か注意してあげるひとはいなかったのだろうか・・・

  • 『生きるって人とつながることだ!』の作者、福島智さんのお母さま、福島令子さんが書かれた本です。

    幼い智少年が眼球摘出から失明し、その後も難聴、さらにまったくの聴覚障害にいたるまで、入退院を繰り返す壮絶な闘病を、母親の視点から描いています。

    想像もできない苦難の連続でしたが、つねに明るく、どこかアッケラカンとした雰囲気が感じられるのは、令子さんのお人柄のおかげでしょうか。

    たとえば、こんな描写があります。
    子供の頃から飲み続けてきたクスリに不信を抱くようになった智さんが、一日一食の玄米菜食で、10キロのランニングをする治療法を試みようとしたときのことです。

    全盲で、難聴も進んでいた智さんは、伴走なくしては走れません。
    伴走とはいえ、令子さんは10キロ走れませんから、腰に紐を縛りつけ、自転車で引き、智さんを走らせました。

     知らぬ人が見たら、あれ、何やっているんや? 犬の調教みたいやな、と思ったかもしれない。
     人に見られるとちょっとはずかしい気もしたけれど、しかし今はそれどころではないという気持ちの方が強かった。

    お住まいのある神戸は坂の町です。

     でこぼこの土の道もあり、上り下りが激しい。少し走っただけで私はもう弱音を吐く。
     「しんどいわ。もう休もう」
     「何言うとるんや。あんた、自転車やろが! 僕は走っとるんやで。僕のほうがしんどいに決まっとるやないか。だめだ。まだ10キロ走ってない」

    悲壮な気持ちで、一日10キロ走ろうとしているのに、二人のやりとりは、ボケとツッコミの漫才みたいです。

    全盲ろうとなったあとのコミュニケーションは、点字タイプライターで言いたいことを打ち出し、智さんに渡す。それを読んだ智さんが答えるという気が遠くなりそうなコミュニケーションです。でも、どんなに息子が不憫だと思っても、言うべきことははっきり言うのが令子さん流です。

     私—さっきのあんたの態度はまったく人を馬鹿にした、無視した失敬な態度です。いくら母だとて許しません。それでは立派な人にはなれません。(略)

     智—おかんの態度で腹が立つのは、まず説明をしてからでなく、何も知らせずにただ動作——それも原始的、かつ不明瞭——だけで、自分の意志を伝えようとすることである。

    指点字というコミュニケーションの考案も、この遠慮のない「あうん」の呼吸があってのことだったのだと思います。

    病院に出かける直前、支度のできていない母に「まだ準備できとらんのか。はよせな、病院に遅れるやないか」
    偉そうな物言いの息子に、なにか言い返してやりたいと思っても、点字タイプライターを打っている時間はない。そのとき、とっさに、智さんの手を取り、人差指、中指、薬指の六本の指を、点字タイプライターのキーに見立てて、打ったのが指点字のはじまりだというのです。

     私は、その後ゆっくり、はっきりと智の指に点字の組合せでタッチした。
     「さ と し わ か る か」
     智は即座に、「ああ、わかるで」と答えた。それまで文句を言っていた智がにこりとした。通じた!

    指点字が生まれた瞬間でした。

  • 福島智さんの母・令子さんによる本。母の本、だからか、生井さんの本とも、妻の光成さんの本とも、えらい違う感じがした。

    福島さんの博論のタイトルは「福島智における視覚・聴覚の喪失と「指点字」を用いたコミュニケーション再構築の過程に関する研究」というのだそうだ。
    これって「当事者研究」?
    視覚につづいて聴覚をうしない、神戸での療養をおえて、盲学校の寄宿舎に戻ったときの光景を令子さんが最後に書いている。

    ▼智が何人もの友達の手に触れ、点字を打ってもらって笑っている。智のこれほど明るい笑顔はひさしぶりに見た。

    智はもう、一人ではない。智には多くの仲間がある。(P.217)

    ひとりぼっちではないこと、仲間がいること、文字通り「多くの手」に支えられていること、そのことは、令子さんにとって、どんなにか心強いものだったことだろうと思う。

    ゲラゲラ笑える本というわけにはいかないが、福島智のタネになるものが、この母にあるんかなあと思った。
    福島さんの兄たちの言葉も、読んでみたい。

  • 盲ろう者の息子を育てた母の記録

  • 09/08/20読了

  • お母さんががっくり来ているときに宗教関係の人が近寄ってきたというのがほんと わかるなぁ と。不幸のニオイに敏感な。

  • 指点字を思いついた素晴らしい作品 だと思う。

    『読みづらい』っていうのが難点。
    感動作である事は、そうなのだろう。
    表紙に点字が打ってある。多分題名(瑠璃は点字を理解していないから読めない)。
    これはある意味 画期的。

    私的には智さんの方が知りたい。
    全盲で大学の教授をしていらっしゃるそうです。
    てか、全盲で大学に入った事も智さんが初めてとの事。
    こっちの方が興味あります。

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