六月の夜と昼のあわいに

  • 朝日新聞出版 (2009年6月19日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022506047

六月の夜と昼のあわいにの感想・レビュー・書評

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  • 恩田陸によるイマジネーション溢れる短編と、新鋭アーティストによる絵画、そしてフランス文学者でもある杉本秀太郎による詩、俳句、短歌のコラボレーション。贅沢なつくりの本である。

    最初の数編は、さすが恩田陸さんだ、と思うような豊かな世界観とイメージの連鎖が素敵な短編だったものの、これもまた恩田さんというべきか、話数を経るにつれて、やや尻すぼみになっていく印象だった。

    「恋はみずいろ」~「約束の地」までは、ああ、今こういうのを恩田さんはやりたいのかな、そういえば「朝日のようにさわやかに」のあとがきで、なんだかそういう「エッセイとも物語ともつかない、曖昧なものを書きたい」みたいなことを言っていた気がするな、と思いながら読んでいた(手元に原本がないのでうろ覚え)。
    緩やかなイメージの連鎖、テーマの反復、意識の奥で感じるデジャ・ヴ……。そういう、恩田さんならではの「ノスタルジー」の感覚を描く際の筆は、好きな人にはたまらないだろう。実際のところ、私も彼女の「そういう感覚」のファンなので、途中まではとても楽しく読ませてもらった。

    思うのだが、恩田さんはあまり俗っぽさを出さない方がいい作家さんの気がする。私は彼女に夢を見せてほしい。リアルとすれすれの、自分だけれど自分ではない、そういう曖昧なロマンチックさ、が私の思う彼女の魅力なのだ。

    幸福な世界の上澄み、という言葉を恩田さんは何度か使っているが、それともまた違う。
    私は彼女の作品世界を、薄い膜のようなものだと思っている。薄い膜、あるいは幕の向こうで、誰かがそっと動いている。その人は踊っているのかもしれないし、歌っているのかもしれないし、あるいは絵を描いているのかもしれない。けれども、それは薄い膜にさえぎられて、はっきりと見えない。ただ、ぼんやりとした影が見えるだけ。
    そして、じっと見ているうちに、あれ、と思うのだ。あれはもしかして私かもしれない、あそこで踊って、歌って、あるいは描いているのは私かもしれない……
    うまく言えないけれど、私が恩田作品に感じるのはそういう感覚で、そういう感覚を私は恩田さんに味あわせてほしいなぁ、と感じているのである。

  • 恩田さんの短編集。全体的に不思議な感じ。

    ・恋はみずいろ
    霊感・インスピレーション。人が忙しくする中で失っていくもの。
    ・唐草模様
    何処となく不気味。つた、母親、風呂敷 あけてはならない
    ・Y字路の事件
    これ好き!大きな下駄の話とかいい
    ・約束の地
    難しかった。いろんな人の死をそれと分からないように書いているような。
    ・酒 ローレライ
    これもすきやった。セイレーンの話みたいな。行かない限り思いだせない店。行こうとしても行けない店。Holicみたい
    ・窯変 田久保順子
    結局何もおこらない
    ・夜を遡る
    グレメ。「飛んで」くるとか常野っぽい
    ・翳りゆく部屋
    話をいつも聞く側の人。その人が育てるものってなんだろう。
    ・コンパートメントにて
    してしまった女と出来なかった男。偶然のかさなり
    ・Interchange
    世界を作るということ。書くということ

  • 幻想的で独特なリズムの短編が10作。
    唐草模様、Y字路の事件、約束の地、翳りゆく部屋、コンパーメントにてが好きでした。
    詩と絵と文と、絡み合い方はストレートではないので、コンセプトがよくわからないという人もいそうですが、私は恩田さんの本を読むと深く考えずその世界観に浸れるのが好きです。
    難しい説明は抜きにして、恩田さんはこういう世界観が好きだったり表現したかったり、こういう世界に棲んでいたり、作っていたりするのかな、と思う。
    ノスタルジアの魔術師と呼ばれるだけあってなんでか懐かしい気持ちになる。
    Y字路の事件は少し怖いながらも、そのノスタルジックさがとても感じられて一番好き。

    魔法に理由はいらない。

  • 恩田陸版「夢十夜」。
    不思議な味わいの短編集。
    わかるものもあれば、さっぱりわからないものも。
    目覚めたあとに残る不思議な「夢の気配」のような本だった。

  • 短編集。
    何が起きたのかハッキリとしない、フワフワとした印象の作品ばかり。
    しいてベストを選ぶなら、「窯変・田久保順子」か。
    読んでいると特別面白いとは感じないのに、何故か読みたくなってしまう、恩田陸さんの不思議な魅力は何なのか?

  • 不思議な短編集。
    どこか癖のある物語が多い。

    中でもきちんと育てられたならばあふれる才能を生かして人類を救える英雄にまでなれた田久保順子が、何の因果か屑の母親と同じく屑でパチンコ中毒の義理の父親に育てられ、パチンコ屋の駐車場で熱中症で死んでしまうまでを描いた物語が、あまりにも読後感が悪く心に残った。

    どんなにいいものを持っていても、それを活かせる環境で育たなければ意味がないのだなぁ。本人の努力ももちろん必要なんだけれど、周りの協力がなければ、小さい頃は何もできない。

    これは幻想小説というのとは違うのだろうけれど、どこか現実を逸脱していて、変な夢を見て目覚めた朝のような気分だった。

  • 気味悪く不思議な話。
    あまり頭に入ってこなかったけど
    ローレライのがよかった。
    スペインの拷問云々とかホントもう・・

  • 杉本秀太郎さんの作品をモチーフにした短編集。挿画が素敵。幻想的でつかみどころのないふわふわした作品。装丁、挿画等も含めた一種の芸術のような本。2013/156

  • 起承転結がはっきりしなくても、小説は小説と言えるのだね……。

  • 恩田さん宛に杉本秀太郎さんの序詞が届き、そこからイメージする絵を選び、短編を紡ぐ構成になっています。夜と昼の間(あわい)に、現実と非現実、現世と異世界の狭間にある様々なタイプの物語です。恩田さんの頭の中にポトッと落ちた序詞、そこから思考が広がり、変化し、短編となってアウトプットされています。

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